日本消化器内視鏡学会雑誌
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45 巻, 11 号
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  • 木下 和郎, 礒崎 耕次, 廣田 誠一, 西田 俊朗, 中原 征則, 筒井 秀作, 篠村 恭久
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2181-2187
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Gastrointestinal stromal tumor (GIST)は消化管間葉系腫瘍のほとんどを占める腫瘍であるが,他の腫瘍にはない,幾つかの特殊性を持つ腫瘍である.第一に,カハール介在細胞(inter-stitial cell sof Cajal; ICCs)と同様にc-kit受容体型チロシンキナーゼ(KIT)やCD34を発現しており,ICCs由来の腫瘍である可能性を示している.第二に,高頻度にc-kit遺伝子の機能獲得性突然変異を有しており,c-kit遺伝子がGISTの発生に関与していると考えられる.第三に,KITレセプター活性阻害薬による分子標的治療がc-kit遺伝子変異を有するGIST患者に対して有効であり,このことは第二の特殊性と密接な関係があると考えられる.ここではGISTの分子学的メカニズムと治療について述べる.
  • ―臨床例での検討―
    三島 利之, 長南 明道, 石橋 潤一, 日下 利広, 三宅 直人, 有泉 健, 安藤 正夫, 望月 福治
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2188-2196
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    当施設でEMRがなされた早期胃癌251病巣を,これまでの適応にあたるグループA(139病巣),拡大適応にあたるグループB(112病巣),に分けて検討した.グループBでは切除回数の増加,絶対完全切除率の低下がみられた.偶発症に関しては,出血率はやや増加したが,有意差はなかった.穿孔例はみられなかった.遺残再発はグループAの3,2%,グループBの6.5%にみられたが有意差はなかった.治療時間はグループAで平均30.1分,グループBで平均47.0分と,拡大適応まで含めても平均50分以内に治療を終了していた.EMRの適応拡大にあたっては,正確な粘膜内範囲診断とマーキング,全マークを含めた切除,厳密な病理組織学的検索,完全切除と判定できない病巣に対する密な経過観察といった一連の流れが確実に行われることが重要である.この条件下に本拡大適応は臨床的に妥当であると考えられた.
  • 白井 賢二, 溝上 裕士, 白石 貴久, 三浦 崇幣, 奈良坂 俊明, 竹山 裕樹, 松岡 健
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2197-2202
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,女性.不明熱,胸やけを主訴に入院となった.上部消化管内視鏡検査で下部食道に周囲がやや隆起するびらんを認めた.下部消化管内視鏡検査では回盲部を中心にアフタ様病変を認め,同部の生検で非乾酪性肉芽腫が証明されたが,食道病変部からの生検では非乾酪性肉芽腫は証明されなかった.成分栄養療法とMesalazine内服にて自覚症状の改善と回盲部及び食道病変の軽減を認めた.
  • 真喜 志知子, 金城 福則, 外間 昭, 内間 庸文, 宮里 史郎, 仲本 学, 岸本 一人, 比嘉 えりか, 金城 渚, 佐久川 廣, 中 ...
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2203-2208
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.平成14年2月近医で多発性肝腫瘍を指摘され当科へ入院した.上部消化管内視鏡検査では,胸部中部食道から胃噴門部に灰白色調で多発性の粘膜下腫瘍様隆起を認めた.病理組織検査で悪性リンパ腫と診断し,化学療法を行った,40日後に食道病変は黒色へ変化し,悪性黒色腫の診断に至った.化学療法は奏効せず,5カ月後に死亡した.淡色調を呈する腫瘍は悪性黒色腫を疑うべきであるという教訓を残した貴重な症例と考えられたので報告する.
  • 服部 昌和, 大野 徳之, 細川 治, 海崎 泰治, 道伝 研司, 林 裕之, 森田 信人
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2209-2214
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は85歳,男性.1999年3月に上腹部痛,黒色便を主訴に当科を受診した.上部消化管内視鏡検査にて,胃噴門部後壁側に約4cm大の粘膜下腫瘍を認めた.腹部CT検査では膵体尾部,左腎および後腹膜に浸潤を認め,手術困難例と判断した.2年間の経過観察中,腫瘍からの出血のため計4回の左胃動脈塞栓術を必要とした.その後も腫瘍の増大傾向が続いたため,十分なインフォームドコンセントの後,2002年1月よリイマチニプを300mg/日で開始した.投与前には290cm3であった腫瘍体積が,2002年12月には12cm3と著明な縮小(縮小率95.9%)を示し有効と判断した.2002年9月には内視鏡下生検組織所見より,c-kit陽性GISTと診断された,服薬直後より軽度の眼瞼浮腫がみられたが,それ以外の有害事象は認めていない.イマチニブが胃GISTの原発巣に対し奏効し,著明な腫瘍縮小効果を認めた.今後c-kit陽性GISTに対しては,イマチニブ投与が原発巣治療の1つの選択肢となると考えられた.
  • 森 義徳, 岩井 彰, 稲垣 孝憲, 上野 浩一郎, 城 卓志, 大原 弘隆, 埜村 智之, 中沢 貴宏, 伊藤 誠
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2215-2219
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性.主訴は右側腹部痛.腹部CTにて腹水を認め,精査目的で入院となった.腹水中adenosine deaminase(ADA)が高値を示した.腹腔鏡検査では腹膜に白色小結節を多数認め,生検にてLanghans型巨細胞を伴う肉芽腫を認めた.生検組織の培養にて結核菌が検出され,結核性腹膜炎と診断した,抗結核剤の治療により腹水が消失した.本症例では結核性腹膜炎の診断に腹腔鏡下生検が有用であった.
  • 勝部 智也, 中村 志郎, 岡崎 博俊, 井谷 篤史, 斯波 将次, 渡辺 芳久, 押谷 伸英, 樋口 和秀, 松本 誉之, 荒川 哲男
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2220-2224
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は85歳女性.平成11年4月に子宮頸癌に対し,外照射45Gyと内照射20Gyの放射線治療が施行された.同年11月頃から排便時に新鮮血の混入が出現した.翌,平成12年12月の大腸内視鏡検査で直腸下部前壁に易出血性の毛細血管拡張病変が認められ,放射線腸炎と診断した.同病変に対しアルゴンプラズマ凝固療法を高周波出力40w,アルゴンガス流量0.41/分~0.61/分にて計3回施行した.治療後は,ごく一部に毛細血管拡張の残存を認めるも,現在まで再出血は認めていない.本治療法は処置に伴う苦痛や侵襲が非常に少なく,Sherman分類1度の放射線腸炎の治療法として有用であると考えられた.
  • 渡辺 卓也, 川端 英博, 高瀬 郁夫, 村田 陽捻, 野口 純也, 北原 光太郎, 伊達 和俊, 小野 一之, 樋口 正一, 川口 誠, ...
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2225-2231
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,男性.臍上部痛で発症した悪悪性膵内分泌腫瘍の1例である.血液検査で,貧血と血清ガストリン,VIP,グルカゴン,ソマトスタチンの軽度上昇を認め,腹部CT,MRI,腹部血管造影検査で,膵頭部に8cm大の血流に富む腫瘤が存在した.十二指腸内視鏡検査では,下行部粘膜面に腫瘍が広範に露出,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.免疫組織学的にACTH,グルカゴン,VIP陽性であった.膵内分泌腫瘍は組織浸潤傾向が乏しいとされるが,本症例での十二指腸浸潤は高度で,このような進展程度は,極めて稀であり報告する.
  • 田久保 海誉, 原 右, 野口 光徳, 杉山 克, 山口 正明, 海上 雅光, 今谷 晃, 大原 秀一, 下瀬川 徹
    2003 年 45 巻 11 号 p. 2232
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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