症例は25歳,男性.臍上部痛で発症した悪悪性膵内分泌腫瘍の1例である.血液検査で,貧血と血清ガストリン,VIP,グルカゴン,ソマトスタチンの軽度上昇を認め,腹部CT,MRI,腹部血管造影検査で,膵頭部に8cm大の血流に富む腫瘤が存在した.十二指腸内視鏡検査では,下行部粘膜面に腫瘍が広範に露出,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.免疫組織学的にACTH,グルカゴン,VIP陽性であった.膵内分泌腫瘍は組織浸潤傾向が乏しいとされるが,本症例での十二指腸浸潤は高度で,このような進展程度は,極めて稀であり報告する.
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