日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
45 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 乾 和郎
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2301-2305
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    本邦でも増えている内視鏡検査時のsedationについて最近の文献から考察を行った,内視鏡検査時のsedationによる偶発症は,日本消化器内視鏡学会偶発症対策委員会が5年毎に行っている報告によれば,1993~1997年に12,043,781件中73件(0.0006%),死亡例2例であった,発生頻度は前回調査と比べて低下しており,同委員会を中心とした啓蒙により対応がいきわたったことが要因と考えられる.本邦で多く使用されている鎮静剤はベンゾジアゼピン系鎮静薬のジアゼパムとミダゾラムであり,その他には麻薬の塩酸ペチジンやベンゾジアゼピン系鎮静薬のフルニトラゼパムが使用されている.最近欧米ではミダゾラムと比較して覚醒が良いとされるプロポフォールが増えている.本邦ではまだ会議録しかないが,今後増えていくと予想される.内視鏡検査を安全に,苦痛無く行うためには,sedationに関する知識を持ち歌適切なモニタリングを行うことが重要である.
  • 曽我部 正弘, 中園 雅彦, 福野 天, 辻上 幸司, 大喜田 義雄, 林 広茂, 谷木 利勝, 六車 直樹, 岡久 稔也, 岡村 誠介, ...
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2306-2313
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性、肺癌に対して呼吸器科にて化学療法,放射線療法が施行されたが,嚥下障害が出現し経口摂取が困難となった.胸部CTにてリンパ節転移腫大がみられ,上部消化管内視鏡および造影検査にて胸部上部食道に圧排性の著明な狭窄を認めた,このため,食道用Expandable Metallic Stent(以下,EMS)を留置し,経口摂取可能となうた.食道ステント留置1カ月後にリンパ節腫大および食道ステントに伴う気管狭窄を認め,気道閉塞回避のためにDumon stentを気管に留置した.その後,食道再閉塞症状を認めることなく経過し,食道ステント留置3カ月後に呼吸不全で死亡する直前まで経口摂取可能であった.剖検にて食道,気管のステントの開存を確認することができた.肺癌や食道癌の進行症例の食道・気管狭窄に対してDou-blestents留置はQuality of life(以下,QOL)の改善に有効な治療法と思われる.
  • 日比 知志, 伊藤 真悟, 山本 均, 永田 健, 大野 和也
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2314-2320
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は25歳の男性.右下腹部痛を主訴に当院受診.腹部超音波検査により回腸末端の腫瘤性病変を指摘され,大腸内視鏡検査で回腸末端に約20mm大の粘膜下腫瘍を認めた.17日後の大腸内視鏡検査再検で,同腫瘍は亜有茎性に発育し,頂部にはびらんを,周囲粘膜には著名な発赤を認め,内視鏡的に腫瘍の一部を切除した.病理組織学的には小血管の増生が著しい部分と,粗な線維基質及び好酸球中心の炎症細胞浸潤を認め,inflammatory fibroid polypと診断した.その後同腫瘍を先進部とした腸重積を併発し,同腫瘍を含む約4cmの回腸部分切除術を施行した.小腸inflammatory fibroid polypは本邦において比較的稀な疾患で,術前診断は極めて困難とされる.今回われわれは,小腸inflammatory fibroid polypを各種画像検査によりとらえ,術前病理診断を得ることができたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 宇野 良治
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2321-2326
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は75歳,女性.数年前から便秘と腹部膨満を生じ,さらに腹痛,低蛋白血症を来たし当科に入院した.腹部単純X線写真で多量のガスを左側結腸に認め,S状結腸は15cmに拡張していたが,右側結腸にはガスが少なく拡張もなかった.開腹手術を希盟しなかったため経皮内視鏡的S状結腸瘻造設術を施行した.瘻孔造設後,チューブからの排ガスと順行性浣腸を施行した結果,巨大結腸の改善を認め,便通も良好となった.本例は経皮内視鏡的S状結腸瘻を造設した本邦最初の報告である.
  • 五十嵐 裕章, 篠崎 幸子, 向田 武夫
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2327-2332
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は21歳の女性.トラックに追突し上腹部をハンドルで打撲した.受傷2週間後より発黄,閉塞性黄疸にて入院.ERCPにて中部総胆管に全周性の滑らかな狭窄を認め,7FrENBDチューブを留置した.外傷性総胆管狭窄の診断にて,内視鏡的にプラスチックステント8Fr,10Fr,12Frと順次入れ替え,計約6カ月にて抜去,その後経過良好である.外傷性胆管狭窄には内視鏡的胆管ステンティングが第一選択の治療法になると思われた.
  • 竹島 寿男, 横畠 徳行, 福島 亮治, 小川 不二夫, 荻原 崇, 冲永 功太
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2333-2337
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    拡張術の際にバルーンの位置を明確にするため,バルーンダイレーターにX線不透過メッシュ型マーカー付きフィルムを貼付して,食道吻合部狭窄症例の拡張術に使用した.X線不透過メッシュ型マーカーは柔軟性を持ち,バルーンに貼付しても操作性に問題はなかった.本法により,透視モニター下で,的確にバルーンダイレーターを狭窄部に留置させることが可能であり,拡張中のバルーンの逸脱も生じなかった.メッシュを等間隔の格子状にしたことで,拡張中に,狭窄径,狭窄長および拡張径が計測.可能であり,臨床的に有川であった.
  • 成宮 徳親, 二村 浩史, 藤崎 順子, 荒川 廣志, 一志 公夫, 田尻 久雄
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2338-2345
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Sentinel lymph node(SN)は,病変部から最初にリンパ流が到達するリンパ節である.胃癌において,SN診断を行うためのトレーサーとして色素であるindocyanine green(ICG)が用いられている.そこでICGを病変部に注入し,リンパ流を流れるICGを赤外線で観察した. 実験的にはICG局注後,リンパ管が濃い青色の線として描出された.臨床例でも病変部にICG局注後,ICGがリンパ管からSNに流れていくのが明瞭に観察された.手術中20分間の観察で,SN染色リンパ流域の数は1方向が53.5%,2方向が42.8%,3方向が3.7%であった. SNの描出は1症例あたり平均3.3個であった.術後の摘出リンパ節のICG陽性率は,通常内視鏡像で26.4%,赤外線画像で43.2%と,通常内視鏡像に比べ赤外線画像が明瞭であった.赤外線画像では通常内視鏡像で不可視なリンパ流,SNが明瞭に描出され,赤外線観察はSN診断に有用な新しい方法と思われる.
  • 押谷 伸英, 平山 一久, 横井 佳博, 馬場 聡
    2003 年 45 巻 12 号 p. 2346
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top