日本消化器内視鏡学会雑誌
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45 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 池田 真幸, 倉岡 隆, 斎藤 聡, 今村 保文, 須田 浩晃, 中島 俊一, 石塚 俊一郎, 掛村 忠義, 吉本 一哉, 酒井 義浩
    2003 年 45 巻 4 号 p. 835-842
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    新たに開発された直腸肛門用超音波プローブ(以下直腸プローブ)を用い,描出能および有用性を検討した.使用したのはオリンパス光学社製の7.5MHzまたは12MHzのメカニカルラジアル走査式で,専用機と同じ振動子を装備した棒状,硬性プローブである.40例の直腸肛門,および近傍臓器病変を対象とした.通常内視鏡で観察した後,細径プローブ(および専用機)にて病変の描出を行い,引き続き直腸プローブで病変の描出を行った.金例挿入は容易で,偶発症はなかった.診断に満足し得る画像が得られたものは40例中35例(87.5%)であった.得られなかったものは5例(12.5%)で,その内2例は径3mm以下の小病変例で,内視鏡機構を欠く本機では病変の特定が困難なためであった.その他は明瞭に描出され,腫瘍性病変および静脈瘤など血管性病変等も描出良好であった.直腸プローブは直腸肛門部の病変を,簡便かつ鮮明に描出することができ,臨床応用可能と考えられた.
  • 指山 浩志, 神津 照雄, 菱川 悦男, 宮崎 信一, 落合 武徳
    2003 年 45 巻 4 号 p. 843-848
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性.下部食道癌性狭窄を呈した手術不能の高度進行食道癌症例に対し,本人の強い在宅加療希望を考慮し,self-expandable metallic stentを挿入し,外来で携帯型持続微量注入ポンプを使用したCDDP+5FUによる化学療法を施行.結果として,SEMS挿入後,262日在宅加療し,264日経口摂取可能で282日生存した.経過中,SEMS両端に炎症性の肉芽が増生し,口側に壁内転移による狭窄をきたしたが,ブジー,Argon plasma coagulation及び,Stent in Stentによって対処可能であった.進行食道癌患者のQOLの観点からは,早期のSEMS挿入と外来化学療法という今回の治療法は,十分なインフォームドコンセントの下で,従来の放射線化学療法とともに選択肢の一つとして呈示されても良いと思われた.
  • 福家 浩三, 安田 貢, 仁木 美也子, 高橋 義典, 山ノ井 昭, 鳥巣 隆資, 板東 玄太郎, 林 亨, 大黒 隆司, 坂下 修, 山本 ...
    2003 年 45 巻 4 号 p. 849-855
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.昭和50年に胃ポリープにて幽門側胃切除(B-I法)を受け,昭和63年に残胃の多発過形成性ポリープと診断された.平成9年,残胃大彎に20mm大に増大した山田IV型ポリープを認め,生検で癌を疑いEMRを施行した.p53免疫染色を含めた組織学的検索にて,過形成性ポリープから異形成巣を介して発生した腺窩上皮型の高分化型腺癌と診断した.過形成性ポリープの癌化はまれであるが,残胃ではその大きさや性状の変化により注意が必要と考えられた.
  • 井上 拓也, 畑田 康政, 金澤 浩介, 斉藤 正人
    2003 年 45 巻 4 号 p. 856-861
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は26歳男性.平成9年5月急性腹症にて手術(回腸末端より約30cm口側の小腸穿孔にて小腸部分切除,端々吻合術)施行.この時,クローン病と診断された.以後,外来通院中であつたが,平成11年12月より消化管通過障害を認めたため,小腸造影を施行した.ところ回腸に約1cmの狭窄を認めた.下部消化管内視鏡検査にて回盲弁より約20cm口側の回腸に狭窄部を確認しえたため,Microvasive社製Regiflex TTS®大腸用バルーンカテーテル(外径12mm,15mm)を使用し2度にわたり狭窄部の拡張術を施行,以後22カ11間消化管通過障害はみられていない.クローン病に伴う小腸狭窄の内視鏡的バルーン拡張術は本邦では報告が少なく,長期間の効果についても一定の見解は得られていない..しかし,腸管の保存という観点からも,再手術率の高いクローン病では,手術の前に試みる価値のある治療法と思われた.
  • 平山 一久, 土屋 泰夫, 五十嵐 章, 林 忠毅, 横井 佳博, 中村 利夫, 馬場 聡
    2003 年 45 巻 4 号 p. 862-867
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は85歳の女性.嘔気を主訴に当院を受診し,人院後,熱発が持続した.人院8病日目に下daし,内視鏡検査でS状結腸に境界明瞭なpunched out ulcerとその口側に虚血性腸炎を認めた,食事制限・抗生物質投与で潰瘍は改善せず15病日目にS状結腸部分切除術を施行した.経過中べーチェ症状は無く,病理学的には非特異性炎症所見を示す筋層断裂を伴う.深い潰瘍で,臨床経過とあわせてS状結腸の単純性潰瘍と診断した. S状結腸発症の単純性潰瘍の報告例はまれであり,回盲部単純性潰瘍と比較すると,べーチェト病を合併せず,発症部位・年齢も異なる点より病因の違いが示唆される.単純性潰瘍には穿孔・穿通例が多く手術時期を逸しないことが重要である.
  • 竹葉 智至, 北村 静香, 伊原 隆史, 宇田 高弘, 塚本 浩崇, 藤山 佳秀, 馬場 忠雄
    2003 年 45 巻 4 号 p. 868-871
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.腹部膨満感にて受診,大量の腹水を認めた.慢性膵炎の明確な既往歴はなぐ,CTにても膵に異常は認めなかったが,血1中および腹水中の膵酵素の上昇を認めた.内科的治療にて腹水消失後,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)を施行したところ,仮性膵嚢胞から腹腔内への造影剤の漏出を認め,仮性膵嚢胞破綻による内膵液瘻が原因の膵性腹水と診断された.膵性腹水は慢性膵炎の経過観察中に生じることが多く,内膵液瘻が証明されれば診断は確実である.しかしERPにて内膵液瘻が必ずしも認められるとは限らず,ERP後の膵炎,腹水の再発も危惧される.本症例は明らかな慢性膵炎の既往は認めず,ERPにて内膵液瘻証明後も膵炎,腹水の再発,悪化を認めなかった.
  • 猪熊 哲朗, 坂本 岳史, 片山 幸子, 上尾 太郎, 柴峠 光成, 井谷 智尚, 三村 純, 小森 英司, 藤堂 彰男
    2003 年 45 巻 4 号 p. 872-880
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は76歳女性.健診にて肝機能異常を指摘された.腹部超音波検査にて総胆管・膵管は拡張し,総胆管結石と膵頭部に豊富な血流シグナルを有する腫瘤を認めた.乳頭切開にて結石を除去したが,乳頭切開部より腫瘤が露出.し,生検にて内分泌腫瘍の診断を得たため,膵頭十二指腸切除術を施行した.免疫組織的検索にて,pallcreatic polypeptidel場性の膵内分泌腫瘍であり,主膵管内腔に沿って乳頭部に進展しており,膵管上皮由来と考えた.総胆管結石の合に腫瘍の存在が影響した可能性が示唆された.内視鏡下生検にて膵内分泌腫瘍が診断されることは極めてまれであり,文献的考察を加え報告した.
  • 宇野 良治
    2003 年 45 巻 4 号 p. 881-886
    発行日: 2003/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後に誤嚥性肺炎を発症する症例は少なくない.その対処方法にはPEGの胃瘻を介して空腸にチューブを留置する方法がある.しかし,従来の方法はコストが高く技術的にも困難であった.そのため,著者は胃瘻部から空腸に超細径内視鏡を挿入し,安価で太径の経鼻用チューブを空腸に留置する方法を行った.施行時間は16例全例15分以内であった.空腸チューブ留置後,発熱低下と栄養剤の逆流所見の改善が認められた.
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