症例は71歳男性.下部食道癌性狭窄を呈した手術不能の高度進行食道癌症例に対し,本人の強い在宅加療希望を考慮し,self-expandable metallic stentを挿入し,外来で携帯型持続微量注入ポンプを使用したCDDP+5FUによる化学療法を施行.結果として,SEMS挿入後,262日在宅加療し,264日経口摂取可能で282日生存した.経過中,SEMS両端に炎症性の肉芽が増生し,口側に壁内転移による狭窄をきたしたが,ブジー,Argon plasma coagulation及び,Stent in Stentによって対処可能であった.進行食道癌患者のQOLの観点からは,早期のSEMS挿入と外来化学療法という今回の治療法は,十分なインフォームドコンセントの下で,従来の放射線化学療法とともに選択肢の一つとして呈示されても良いと思われた.
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