日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
45 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 眞柴 寿枝, 宇佐美 明彦, 曽我 美子, 檜垣 直幸, 清家 裕貴, 三宅 康之江, 野村 勝弘, 二宮 常之, 田中 美和, 前田 智治 ...
    2003 年 45 巻 5 号 p. 929-934
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】消化管GVHD(Graft-versus-Host Disease)の的確な診断は臨床的に極めて重要であるが,内視鏡診断についての知見は,未だ不十分と言わざるをえない.GVHD腸炎の内視鏡像を詳細に解析し,共通所見及び特徴的所見の有無を検討して,GVHD腸炎の内視鏡.診断の有用性を明らかにすることを目的とした.【方法】同種骨髄移植後または末梢血幹細胞移植後に水様下痢や下血が出現し,内視鏡下生検にて組織学的にGVHD腸炎と確定診断された10症例の大腸内視鏡像をretrospectiveに検討した.【結果】多彩な内視鏡像(びらん,びまん性点状・斑状発赤,アフタ様潰瘍形成など)を呈する一方で,粘膜固有層の浮腫を反映した特徴的な亀甲状粘膜模様(tortoiseshell pattern)が全症例に認められた.【結論】特異的な亀甲状粘膜模様は極めて重要な内視鏡所見と考えられ,GVHD腸炎の診断における内視鏡観察の有用性が示唆された.
  • 原 右, 野口 光徳, 杉山 克郎, 山口 正明, 海上 雅光, 今谷 晃, 大原 秀一, 下瀬川 徹
    2003 年 45 巻 5 号 p. 935-939
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は52歳男性,マロリーワイス症候群に伴う吐血にて当院入院となった.内視鏡所見では門歯より35cmの中部食道に樹枝状不整型の黒色斑を認めた.生検では粘膜基底層に紡錘形,多角形で大きく空胞状の核を持つ異型メラノサイトの不整な密生を認めた.免疫染色では,HMB-45抗メラノーマ抗体,S-100白で陽性であった.切除標本での組織所見上は基底層に限局する異型大型のメラノサイトが密集し,メラノファージの出現も認めることからmelanoma in situとの診断であった.病変は一カ所に限局しskip lesionは認めなかった.粘膜内癌で発見された食道原発の早期悪性黒色腫はこれまで報告が無くきわめて稀である.
  • 半田 有紀子, 中江 遵義, 中 友也, 勘野 貴之, 生馬 和樹, 熊本 光孝, 岡 陽子, 石原 靖士, 東 克己, 北内 信太郎, 一 ...
    2003 年 45 巻 5 号 p. 940-944
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    正二部消化管内視鏡で黒色の食道粘膜を呈した極めて稀な急性壊死性食道炎を経験した.嚥下痛,嚥下困難,上部消化管出血を初発とし,生検で確定診断される.吐血で発症した81歳女性の症例を経験した.内視鏡で食道粘膜の下半分が黒色で,生検は粘膜全層の壊死を認めた.本症の発生要因として一過性の食道粘膜の虚血,胃酸逆流,感染,放射線障害,化学物質による腐食等が考えられている.致死的となる病因もあり,注意を要する.
  • 横沢 秀一, 新倉 則和, 須澤 兼一室, 長谷部 修, 今井 康晴, 長田 敦夫, 保坂 典子
    2003 年 45 巻 5 号 p. 945-949
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は44歳男性.2000年1月検診の上部消化管造影検査にて異常を認めたために施行された近医での内視鏡検査にて,胃前庭部に30mm大の隆起性病変を指摘された.2月に当院で施行した内視鏡検査では同部に粘膜下腫瘍を認めたが,サイズは15mm大と縮小していた,10月下血を認めたため施行された内視鏡では腫瘍表面の正常粘膜は脱落し,出血を伴う20mm大の円形の腫瘤の露出を認めた,病変に対し艶鏡下胃部分切除術を施行.病理見はinflammatory fibroid polyp (IFP)であり,腫瘍の形態変化,出血を伴った興味ある1例と考えられた.
  • 芳澤 社, 菊山 正隆, 笹田 雄三, 平井 律子, 岩本 諭
    2003 年 45 巻 5 号 p. 950-954
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    70歳男性.胃前庭部3型胃癌より出血し人院した.内視鏡的に止血術を行った..腫瘍は肝転移を伴い治癒切除困難と判断した.幽門狭窄に対して先端バルーンを持つ内視鏡的イレウス管挿入システム用のロングオーバーチューブを使用しステントを留置した.デリバリーシステム挿入時にチューブ先端が狭窄部より口側へ脱落せず,小腸内視鏡用オーバーチューブに比較し留置術が容易に行えた.
  • 佐野 正浩, 岡 祐一郎, 松井 秀隆, 松浦 文三, 堀池 典生, 恩地 森一, 福原 稔之, 本田 和男, 小林 展章, 須崎 紀一, ...
    2003 年 45 巻 5 号 p. 955-960
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は69歳,男性.便潜血陽性の精査目的で大腸内視鏡検査を施行され,横行結腸に隆起性病変を指摘された.組織学的に転移性腺癌と診断され,さらに消化管精査にて十二指腸乳頭部と虫垂部に腫瘍を認め手術を施行した.大腸病変は病理組織学的,免疫組織学的に乳頭部癌の転移によるものと診断された.乳頭部癌と虫垂癌の合併例は,医学中央雑誌で検索した限りでは本邦ではこれまでに報告がなく,考察を加えて報告した.
  • 浦松 雅史, 炭山 嘉伸, 斉田 芳久, 長尾 二郎, 浅井 浩司, 若山 恵
    2003 年 45 巻 5 号 p. 961-964
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸多発憩室内に癌を合併した報告は散見されるが,単一の真性憩室内に癌を合併した報告は認められない.今回われわれは,上行結腸真性憩室内に発生したと考えられた早期結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は74歳女性.腹痛を主訴に来院.注腸検査では,上行結腸中部に2cmの1型の腫瘤性病変を認めた。大腸内視鏡では,同部に一部絨毛状成分を有する隆起性病変を認め,腫瘍の近傍には正常粘膜を有する陥凹部分を認めた.5型に分類されると考えた.生検で癌と診断され,3群郭清の結腸右半切除術を施行した.摘出標本では,25mm大の粘液付着を伴う賠外性発育の腫瘍を認めた.組織学的に突出部分は真性憩室であり,腫瘍はその内部に存在した.発育形態は,固有筋層を進展性発育を示すが筋層内に浸潤なく,真性憩室内に発生した粘膜内癌と診断した.
  • 追矢 秀人, 大川 清孝, 野口 篤志, 河野 美月, 青松 和揆, 山崎 智朗, 青木 哲哉, 加島 和俊, 根引 浩子, 井上 健
    2003 年 45 巻 5 号 p. 965-969
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,.女性.近医での注腸検査および内視鏡検査にて直腸下部に隆起性病変を指摘され,当科での再検の内視鏡検査にて同部に粘膜下腫瘍を認め,生検にてMALTリンパ腫と診断した.自験例はHelicobacter pylori陰性であったが,除菌療法を施行した.除菌療法終了6カ月後の内視鏡検査では病変は完全に消失していた.自験例は除菌療法が奏効した点および内視鏡的に経過を追えた点で興味深い症例とF考えられた.
  • 塩崎 道明, 有坂 好史, 藤原 新也, 本合 泰, 宮地 克彦, 小島 博, 井上 俊宏, 野口 誉生, 勝 健一, 野村 俊之, 板橋 ...
    2003 年 45 巻 5 号 p. 970-975
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は38歳男性.飲酒歴なし,食後の上腹部痛が2年間持続するので受診したところ腹部CTで膵企体の萎縮と主膵管の著明な拡張が認められた,ERCPを施行され数ケの膵管内透亮像が認められたのでX線非陽性膵石症と診断された.内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(以下ENPD)を施行して造影下で体外衝撃波結石破砕療法(以下ESWL)を行い非侵襲的に膵石を完全排石させ腹痛も消失した.本例でのESWLにおけるENPD併用の意義は,(1)フォーカシング(2)破砕片のドレナージ(3)治療効果判定(4)膵液性状の検索という点で非常に有用性が高かったので報告した.
  • 平山 敦, 岡 俊州, 岡村 圭也, 阿部 環, 長川 達哉, 宮川 宏之, 藤永 明, 須賀 俊博, 野村 直弘, 近藤 敦, 石川 邦嗣
    2003 年 45 巻 5 号 p. 976-983
    発行日: 2003/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1998年より2001年までの胃・十二指腸悪性狭窄症例,12例に対し,self expandable metalic stent(SEMS)留置を実施した.全例で狭窄解除に成功,自覚症状改善とともに食事摂取が可能となり,良好なQuality of life(QOL)が得られた.また偶発症として,1例に敗血症性ショックT2例にmigration,工例に嘔気.嘔吐の残存,1例に腹部重苦感,吃逆を経験した.偶発症に対する対策として,病巣部感染が疑われる場合や狭窄区間の長い場合(今回経験した症例は13cm)には,SEMS留置施行については慎重であるべきである.また化学療法無効例では早期再閉塞の可能性があり,Coveredstentによる対処が必要である.
feedback
Top