日本消化器内視鏡学会雑誌
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45 巻, 9 号
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  • 冨田 栄一, 菅野 昭宏, 塩屋 正道, 名倉 一夫, 種村 廣巳
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1863-1873
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡診療におけるクリニカルパス(CP)の意義として,DRG/PPSへの対応,在院日数の短縮のみならず,医療の効率化と標準化,EBMの実践による医療の質の向上,チーム医療の実践,インフォームド・コンセントの充実(患者参加型の医療),さらにはセーフティーマネジメントにおける効用などがあげられる.腹腔鏡下胆嚢摘出術や内視鏡的大腸ポリペクトミー・胃粘膜切除術などは日常臨床の中で定着してきており,その他の内視鏡的治療にも応用されつつある.しかし,ERCPなどのようにバリアンスの多いCPの運用にあたっては,バリアンスの内容を細かく分析し,それぞれに対応策を考え工夫を加えることによって,より使いやすいCPに進化させる必要がある.今後は,各種ガイドラインに沿い用語も標準化(MST)されたCPの作成が必要であり,かつ普及しつつある電子カルテ(医療情報システム)にも柔軟に対応できるCPが求められている.しかし,CPはあくまで臨床的なツールの一つであり,患者個々人の病態に応じた対応が最も肝要であることを忘れてはならない.
  • ―RECIST基準との比較検討の試み―
    太田 正穂, 村田 洋子, 井手 博子, 中村 努, 林 和彦, 成宮 孝祐, 大井 至, 高崎 健
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1874-1880
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    〈目的〉食道癌の術前治療に対する超音波内視鏡による評価の有用性,Response Evaluation Criteriain Solid Tumors(RECIST)との適合性につき検討した.〈対象と方法〉術前治療後に切除した胸部進行食道癌でEUSによる効果判定が可能であった62例を対象とした.術前治療の前後でEUSを施行し,(1)腫瘍の最大の厚さを測定して縮小率を求めた.(2)RECISTに準じて縮小率30%未満をPD-SD,縮小率30%以上をPR,画像上腫瘍が消失した場合をCRとして病理組織学的判定と比較した.〈結果〉(1)EUSによる縮小率は病理組織学的判定Grade 0-1で11,8±21.0%,Grade2で48.1±17.0%,Grade3で72.8±19.5%で3群の縮小率に差がみとめられた.(2)Grade0-1の80%がPD-SD,Grade2の91%がPR,Grade3の22%がCRと診断され,非奏効例の80%,奏効例の93%が診断可能であった.〈結論〉EUSによる腫瘍の厚さの縮小率は病理組織学的判定を反映しておりRECISTを用いた効果判定基準は有用であった+EUSによる効果判定はRECISTに対応可能と思われた.
  • ―除菌後,3年以上経過観察しえた24例の検討―
    郷田 憲一, 多田 修治, 青崎 真一郎, 小山 浩徳, 大門 秀光, 櫻井 健一, 一二三 倫郎, 竹川 博之, 水足 秀一郎, 真鍋 哲 ...
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1881-1892
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃MALTリンパ腫に対するHelicobacter pylori(以下H.pylori)の除菌療法は,広く受け入れられるようになったが,その長期予後はいまだ不明な点が多い.今回,除菌後3年以上の経過を内視鏡的に観察しえた胃mucosa-associated lymphoid tissue(以下MALT)リンパ腫24例について検討した.除菌療法を行ったI期の胃MALTリンパ腫51例のうち,除菌後3年以上経過観察しえた24例(平均観察期間5年5カ月)を対象とした.24例中21例は除菌(再除菌1例含む)により寛解し,最長8年間(平均8年1カ月)寛解を維持した。除菌が無効であった3例のうち2例に化学療法を追加し寛解がえられた.除菌無効で再除菌にも反応しなかった1例は,4年9カ月間不変のままであった.今回の検討では,除菌療法により24例中21例(88%)において長期の寛解がえられた.全例において重篤な合併症や死亡例は認められず,quality of life(QOL)も良好であった.長期経過の面からもI期の胃MALTリンパ腫に対する除菌療法の有用性が示唆された.
  • 岩下 生久子, 鵜池 直邦, 古賀 充, 奥村 幸哉, 清成 秀康, 米増 博俊, 牛尾 恭輔
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1893-1899
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL/L)における日和見感染の病態を明らかにするために,消化管の検索がなされたATL/L96例を対象として消化管症状,臨床検査成績X線および内視鏡所見を検討した. 消化管の日和見感染が病理学的に証明されたものは,7例であった.これら7例は大きく2つの病態に分けられた.すなわち, 1.化学療法による骨髄抑制に伴う免疫不全の状態.この群では,顆粒球の著明な減少が認められた. 2.ATL/Lそのものの病勢の進行による免疫不全の状態.この群では,末梢血にATL細胞が多数出現し,血清LDHが異常高値を示していた.
  • 菊地 徹, 高橋 功, 浅野 直子, 鵜飼 克明, 鈴木 雅貴, 萱場 佳郎, 加賀谷 浩文, 畑中 恒, 小野寺 博義, 立野 紘雄
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1900-1905
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は60歳男性.胸部中~下部食道原発の2型食道腺癌で,胃噴門部小彎側ならびに腹腔動脈近傍のリンパ節腫大,さらに腹部大動脈周囲のリンパ節腫大も数個認め,これらは遠隔リンパ節転移巣と考えられた.進行度はStage IVaであり,低用量FP療法を2コース施行した.食道原発巣は治療終了時に,遠隔リンパ節転移巣は治療終了8カ月後にいずれもCRとなった.外科手術単独では完全治癒が望めない進行性食道腺癌症例に対する治療として,化学療法は重要な選択肢のひとつであることが示唆された.
  • 中村 俊幸, 小松 大介, 平栗 学, 清水 忠博, 小池 祥一郎, 岩浅 武彦, 菅 智明
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1906-1910
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は50歳女性.2000年6月左乳癌に対し非定型乳房切除術を施行した.2001年1月から骨転移に対し化学療法を施行した.2002年2月1日吐血にて入院,上部消化管内視鏡で胃体部の病変から出血を認めた.同部の生検で乳癌胃転移と診断された.trastuzumabによる治療を開始し,転移巣の縮小をみた.乳癌胃転移はまれで,文献的考察を加えて報告する.
  • 清水 健, 玉城 清酬
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1911-1918
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は97歳女性.吐血を主訴に来院.胃体上部に胃vascular ectasia(以下VE)を確認し,露出血管からの出血を認めたため,内視鏡的にアルゴンプラズマ凝固(argon plasma coagulation; APC)法を施行し止血した.
     近年,出血性上部消化管VEの本邦報告例は55例あり,中でも出血性胃VEの平均年齢は73.2歳と高齢者に多く,急性出血を主訴に重篤な貧血をきたす症例がみられた.露出血管を伴う胃VEの報告は未だないが,高齢者における胃VEからの急性出血に露出血管が関与している可能性が示唆された.
  • 中沢 和之, 井上 泉, 前田 浩輝, 森畠 康策, 中谷 佳弘, 紺谷 忠司, 前田 恒宏, 寺澤 宏, 清水 靖仁, 一瀬 雅夫
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1919-1923
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は69歳,男性.誤嚥性肺炎で近医に入院中,第6病日にタール便があり,上部消化管内視鏡検査にて,十二指腸上十二指腸角から下行部にかけて多発性の黒色びらんを認めた.絶食,中心静脈栄養,抗生物質の点滴加療を受けていたが,第27病日,再びタール便と血圧低下を認めたために当院を精査加療目的で紹介され入院した.上部消化管内視鏡検査では,.レニ指腸下行部膵臓対側にDieulafoy潰瘍を認め,噴出性出血があり,HSE 8mlを局注し,クリップにて内視鏡的に止血した.十二指腸下行部に認めたDieulafoy潰瘍はまれであるので報告する.
  • 安藤 拓也, 山崎 雅彦, 深尾 俊一, 横田 広子, 中野 浩一郎, 本庄 孝行, 呉原 裕樹, 堅田 武保, 舟曵 純仁, 中野 貞生
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1924-1927
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は42歳男性.繰り返す腸閉塞にて当院受診。大腸内視鏡を用いた逆行性回腸造影にて回腸に大きな憩室を認めた.Meckel憩室にて腸閉塞を繰り返していると診断し手術を施行した.回腸末端より約55cm口側の回腸にMeckel憩室を認め,憩室を含めた小腸切除術を施行した.Meckel憩室は回腸末端付近に存在することが多いため,Meckel憩室の診断には逆行性回腸造影は非常に有用である.
  • 高澤 磨, 平澤 大, 内海 潔, 野村 美樹子, 松永 厚生, 藤田 直孝
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1928-1933
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は41歳の男性.腹痛・悪心・嘔吐を主訴に来院し,腸閉塞の診断で入院.小腸造影にて近位空腸に隆起性病変を認め,小腸内視鏡下の生検で高分化型腺癌と診断.空腸癌の術前診断で空腸部分切除術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯より70cmの部位に存在し,40×25mm大で,高分化型腺癌,seであった.原発性小腸癌はまれで,術前生検で組織学的に診断し得た報告は本例が25例目であり,文献的考察を加え報告した.
  • 山科 哲朗, 川西 奈々恵, 中島 隆晴, 村上 系, 赤澤 修吾, 新津 洋司郎
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1934-1938
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は33歳,男性.突然の大量下血で入院になった.下部消化管内視鏡検査で出血源は小腸と予想されたが,血管造影で所見は認められなかった.しかしながらその後も大量下血が持続するため自然経過での止血は困難と考え,同日緊急手術を行った.手術所見では回腸末端部より約60cmの部位に径約15mmの小隆起性病変を認めた.同部位を出血源と判断し,切除を行ったところ,病理学的検査で回腸に発生した迷入膵と診断された.大量下血で発症する回腸迷入膵はきわめて稀であるが,小腸出血時の鑑別診断の際には考慮すべき疾患と考えられた.
  • 金子 榮藏, 棟方 昭博, 岩男 泰, 勝又 伴栄, 多田 正大, 花井 洋行, 樋渡 信夫, 福田 真作, 松井 敏幸, 原田 英雄, 丹 ...
    2003 年 45 巻 9 号 p. 1939-1945
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 45 巻 9 号 p. 1950-1955
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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