日本消化器内視鏡学会雑誌
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46 巻, 10 号
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  • 平嶋 麻里, 田辺 聡, 三富 弘之, 佐田 美和, 勝又 伴栄, 西元寺 克禮
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2261-2266
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】これまで詳細な検討がなされなかったシドニーシステムに準じた生検病理組織診断に必要な胃生検組織の大きさについて検討を行った.【方法】生検鉗子(球形,孔付,針なし)の一方のカップに対する組織の大きさをフルカップ群,3/4カップ群,1/2カップ以下群に分類し,各群についてシドニーシステムのうち,「炎症」と「萎縮」の組織診断評価に十分な材料であれば2点,不十分を0点,その中間を1点として検討した.また,生検材料の組織計測も行った.【結果】「炎症」は,フルカップ群,3/4カップ群は1/2カップ以下群より有意に組織診断評価のスコアが高く,「萎縮」では,フルカップ群が他の2群より有意にスコアが高かった.組織計測では,フルカップ群は,他の2群よりも有意に組織片が厚く,粘膜深部まで採取された材料が多かった.【結論】シドニーシステムのうち,「炎症」と「萎縮」の両者を満足する生検病理組織診断を行うには,生検鉗子フルカップの組織採取が必要である.
  • 牛山 淳, 太田 有紀, 斯波 忠彦, 永田 順子, 斉藤 哲朗, 五十嵐 宗喜, 峯 徹哉
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2267-2271
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は,52歳男性.嗄声,嚥下障害を機に上部消化管内視鏡検査を施行しI型の食道癌と,嚢胞状を呈したリンパ節転移による壁外性圧迫を認めた,低血圧症のため手術不能であり放射線治療を行ない,一時的に主病巣,リンパ節転移ともに消失したがリンパ節にのみ再発を認め転移リンパ節内にピシバニール(OK-432)の局注を行ったところ,リンパ節の縮小と嚥下障害の改善が得られた.また,この一回の局注のみでその後一年間,再発は認められていない.
  • 吉川 一紀, 平田 大三郎, 大野 芳敬, 河原 泰彦, 秋山 陽子, 中西 崇, 白川 寛夫, 川崎 陽介, 山本 剛荘, 安井 弥
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2272-2278
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は15歳の女性.2歳時に左膝海綿状血管腫の手術既往あり,皮膚血管腫と鉄欠乏性貧血を認め,消化管精査にて胃・大腸血管腫を認めたためblue rubber bleb neeus sylldromeと診断した.内視鏡的粘膜切除・エタノール局注により血管腫消失をみた.以後新たに出現する胃・大腸血管腫に内視鏡的治療を行い,開腹せずに10年間経過観察した.本症の消化管血管腫に対する内視鏡的治療は安全かつ有用治療法と思われた.
  • 杉山 宏, 土屋 朝則, 金森 堂, 山田 泰弘, 塚田 良彦
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2279-2285
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸憩室出血の3例を経験した.食道,胃,十二指腸に明らかな出血源がなく,十二指腸内に鮮赤色の血液を認めた場合,十二指腸憩室出血を考慮すべきであった.透明フードを装着すると内視鏡を憩室内に挿入しても病変と一定の距離を保つことで良好な視野が確保され,通常観察では困難な憩室内が至適距離で観察可能であった.また,直視鏡を使用するためクリップ法などの内視鏡的止血術も容易にでき,透明フードは極めて有効であった.
  • 稲葉 宏次, 大内 健, 滝川 康裕, 折居 正之, 鈴木 一幸
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2286-2290
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は64歳男性.心窩部痛,血性下痢で発症し,初診時に関節痛および四肢に紫斑を認めた.内視鏡にて十二指腸下行部から水平部にかけて全周性の浮腫を伴う出血性びらんと潰瘍を認め,Schon1ein-Henuch紫斑病に伴う十二指腸病変と診断した.2度にわたるステロイドパルス療法により止血が得られたが,経過中貧血に対し計46単位の頻回,大量の輸血が必要であった.
  • 小沢 俊文, 渡辺 秀紀, 堀江 裕子, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 海上 雅光
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2291-2297
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は73歳男性.高血圧にて通院中であったが緩下剤などの服用はなかった.数日来の便通異常ののち突然の下腹部痛が出現し入院した.第2病日に少量の下血があり全大腸内視鏡検査にて下部直腸主体に発赤や白苔をともなう全周性のびらん,浅い潰瘍を認めた.組織学的には虚血性変化であり,便培養で陰性であることや抗生剤の使用も無いことから虚血性直腸炎と診断した.直腸周囲に異常血管はなく原因は不明であったが,発症前の便通異常による腸管内圧上昇や糞塊の圧排による腸管壁血流障害が誘因として考えられた.
  • 杉森 聖司, 中江 遵義, 加藤 寛正, 生馬 和樹, 熊本 光孝, 中路 幸之助, 谷口 友志, 堀川 浩司, 廣岡 紀之, 清水 達也, ...
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2298-2303
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は68歳女性,下痢及び腹痛を主訴とし来院.腹部単純X線検査や腹部CT検査で右腹部に異常百灰化像,さらに大腸内視鏡検陛で盲腸から横行結腸肝彎曲にかけて暗青紫色調粘膜を認めたため静脈硬化性腸炎と診断した.整腸剤と抗血栓剤で軽快し,経過観察中であるが再発はない。
  • 坂本 茂夫, 大野 健次, 斉藤 典才, 袖本 幸男
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2304-2309
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は64歳男性.検診にて貧血1を指摘,腹部CTにて,残胃に連続した空腸に中心壊死を伴う不整形腫瘤を認めた,上部消化管X線検査では,吻合部空腸に不整潰瘍を伴った腫瘤性病変を認め,潰瘍面からの生検より,粘液癌と診断.手術にて,管腔外発育潰瘍型の小腸粘液癌,ss,n0,1y0,v0であった.小腸粘液癌は腫瘍径は大きいがリンパ節転移は少なくく,予後が良い可能.性があると思われた.
  • 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2310-2311
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 櫻井 幸弘, 中津 雅美, 佐藤 裕子, 佐藤 絹子
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2312-2318
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    目的と背景 強酸性水は強力な殺菌作用を有することが知られている.われわれはHBV陽性患者あるいはHCV陽性患者に使用された内視鏡の残存ウイルスを検討し,強酸性水による洗浄消毒の有効性を評価した。対象と方法 HBV陽性患者109例とHCV陽性患者107例について様々な理由で行った上部消化管内視鏡検査による内視鏡のウイルス汚染をprospectiveに検討した,10mlの生理食塩水を生検鉗子口より注入し,内視鏡先端から回収された液についてHBVとHCVをPCR法で測定した.内視鏡検査終了後空気を十分吸引した直後と,酵素洗浄液を加えた水道水200mlを吸引した後,ついで水道水の下にてブラッシングを行い,強酸性水に10秒浸漬し50mlを内視鏡先端より吸引した後の3段階で前述した方法で回収した液を用いて残存ウイルスの有無をPCRをもちいて検討した.結果:空気のみ吸引後の回収液からはHBV陽性患者109例では39例に,HCV陽性例では107例では20例にHBVあるいはHCVの残存を認めた.ついで酵素洗浄剤含有水道水200ml吸引後ではHBVは12例.HCVは6例に残存が認められた.ブラッシングに加えて強酸性水を使用した洗浄消毒後には,全例ウイルスの残存はなかった.結論:HBVとHCV汚染内視鏡の洗浄消毒には強酸性水は有効である.
  • 佐々木 賀広, 羽田 隆吉, 棟方 昭博
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2319-2324
    発行日: 2004/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     【研究の背景】電子内視鏡で観察される消化管粘膜の赤みの程度はヘモグロビンインデックス(IHB)を測定すれば定量可能である.しかしながら,その測定値は同一被写体でも撮影条件によって変化する.本研究の第一の目的は,IHBの値を正確に測定するためには原画像に加えられたγ補正を除去する処理が不可欠であることを強調することである.第二の目的は,潰瘍性大腸炎患者の内視鏡像を,測定したIHB値のグレースケール画像に変換し,画像特徴量を抽出してMattsの重症度を特徴づけ,これにより潰瘍性大腸炎のコンピューター支援重症度診断システムを構築することである. 【方法】潰瘍性大腸炎患者55人におけるデジタル内視鏡画像130枚(Matts1が30画像,Matts2が70画像,Matts3が20画像,Matts4が10画像)を対象とした.原画像からγ補正を外し(IHBのグレースケール画像に変換した後に),画像全体におけるIHBの平均値,IHBの標準偏差,IHBの尖度,コントラストフユーチャーを計算し,これら4つの特徴量から,ベイズの決定理論に基づいてコンピューター支援重症度診断システムを構築した. 【結果および結論】Matts1とMatts2とを比較するとMatts2でIHBの平均値に有意の増加がみられた.Matts2とMatts3あるいはMatts3とMatts4を比較した場合にはIHBの標準偏差とコントラストフユーチャーに有意の増加がみられた.IHBの尖度は,Matts1あるいはMatts4と比較してMatts3で有意に大であった.この重症度診断システムがMatts1とMatts2,Matts2とMatts3あるいはMatts3とMatts4を鑑別する感度・特異度は,それぞれ84%・96%,94%・70%,100%・85%であった.コンピューター支援重症度診断システムは,潰瘍性大腸炎に対する治療効果の定量判定に資すると考えられた.
  • 責任者:浅香 正博
    加藤 元嗣
    2004 年 46 巻 10 号 p. 2325-2331
    発行日: 2004年
    公開日: 2024/01/29
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