日本消化器内視鏡学会雑誌
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46 巻, 11 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 田辺 聡, 北村 匡, 西元寺 克禮
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2391-2398
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Argon plasma coagulation(以下APC)は非接触型の高周波凝固装置で,1991年に内視鏡治療の分野に導入された比較的新しいデバイスである.本法は病変に接触せずに広範囲な凝固が可能であり,血管性病変や悪性腫瘍に対する凝固治療,さらに消化管出血に対する止血や静脈瘤に対する地固め治療,Barrett食道に対する焼灼治療など様々な疾患に応用されている.いずれの疾患に対しても短期的な有効性は明らかであり,今後は長期予後の検討が望まれる.特に本邦では,食道,胃,大腸などの早期癌に対する粘膜切除術(EMR)の追加治療あるいは単独治療として用いられている.焼灼深度が浅く安全性の高い治療であるが,合併症として穿孔,壁内気腫の報告があり十分な注意が必要である.各疾患に対する適切な焼灼方法の確立,他の治療との無作為比較試験,長期予後の評価など今後の検討が期待される.
  • 大重 和典, 岩切 裕二, 伊東 徹, 下川原 尚人, 前畠 良智, 岡江 耕二郎, 宇都宮 民治, 内園 均, 山口 淳正
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2399-2402
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は75歳の女性.倦怠感を主訴に来院し,貧血を認めたため入院.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部の傍乳頭憩室辺縁に拍動性の出血を伴うDieulafoy潰瘍を認め,クリップで内視鏡的に止血した.止血後再出血は認めなかった.十二指腸下行部のDieulafoy潰瘍はまれであり,また傍乳頭憩室辺縁に発症したDieulafoy潰瘍の報告は過去に例がない.上部消化管出血に対する内視鏡検査においては憩室内のみならず憩室周囲からの出血も念頭におく必要がある.
  • 須浪 毅, 井上 透, 八代 正和, 西原 承浩, 小川 正文, 前田 清, 中村 志郎, 平川 弘聖
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2403-2408
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は54歳,男性.1血便の精査目的にて大腸内視鏡検査を施行.盲腸から下行結腸まで,粘膜は暗青紫色調を呈しており,浮腫による管腔の凹凸が強く認められた.S状結腸では発赤,浮腫が強く,攣縮を認めた.内視鏡所見から静脈硬化性腸炎を疑った.腹部単純X線撮影および腹部CTにて,盲腸から横行結腸にかけて,腸管の走行に沿う線状の石灰化陰影を認めた.生検にて粘膜の萎縮,静脈周囲に膠原線維の沈着が認められ,静脈硬化性腸炎と診断された.
  • 鈴木 貴久, 鈴木 孝, 篠田 昌孝, 高士 ひとみ, 山口 晴雄, 三宅 忍幸, 石川 卓哉, 神谷 徹, 田代 和弘, 木村 昌之
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2409-2415
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は46歳男性で便潜血反応陽性のため来院した.注腸X線検査でS状結腸に長径4cmの有茎性ポリープを認めた.大腸内視鏡検査で同部位に有茎性の非上皮性腫瘍を認めた.クリッピングを行い,留置スネアをかけた後にポリペクトミーした.病理組織学的に海綿状血管腫と診断された.留置スネアを用いて内視鏡的に切除され診断・治療可能だった大腸血管腫の1例を経験したので報告した.
  • 鹿田 久治, 北條 宣政, 内田 直之, 河野 政志, 木村 行雄, 佐々木 美穂, 山之内 純, 高田 清式, 杉田 敦郎, 鎌田 洋一郎 ...
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2416-2421
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は80歳,女性下腹部痛と下血を主訴に入院.大腸内視鏡検査で径2cmの2型進行大腸癌(潰瘍限局型)様の腫瘤性病変を認めた.生検でALアミロイドーシズを認めたが悪性所見は得られなかった.MP療法およびDMSOにて保存的に加療し軽快した.AL型の消化管アミロイドーシスは稀に粘膜下腫瘍や大腸癌様の形態を示すことがあり,いわゆるmimicking carcinoma of colon所見と考えられた.
  • 越川 均, 須山 正文, 崔 仁煥, 窪川 良廣, 田所 洋行, 神谷 尚則, 大久保 裕直, 松村 祐志, 稲見 晃一, 佐藤 信紘, 川 ...
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2422-2428
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は70歳,女性.大腸癌の精査で当科に入院した.腹部超音波検査,CTにて胆嚢内に濃染する塊状腫瘤を体部から底部に認めた.ERCP,MRCPでは正常な膵胆管合流部を示したが,胆管内胆汁のアミラーゼ値は7,722IU/L,リパーゼ値は26,243IU/Lと高値を示した.病理組織所見は結節浸潤型30×20×20mmの腺扁平上皮癌で,腺癌部分にはびまん性に丈の高い乳頭状腺癌および過形成の混在を認めた.潜在的膵液胆汁逆流現象と胆嚢癌との関係を示唆する症例と思われた.
  • 猪股 正秋, 遠藤 昌樹, 照井 虎彦, 小穴 修平, 久多良 徳彦, 千葉 俊美, 折居 正之, 鈴木 一幸, 菅井 有, 上杉 憲幸, ...
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2429-2435
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     73歳,女性.胆石症・肝機能障害にて当科紹介.胆管造影にて総胆管結石に加え下部胆管壁に多発性の小半球状陰影欠損を認めた.同病変は経口胆道鏡では粘膜下腫瘍状隆起で,管腔内超音波検査では低エコー腫瘤として描出され,生検では炎症性ポリープの診断であった.総胆管結石の截石,胆嚢摘出術を行い,ポリープについては経過観察とした.10カ月後の胆管造影・経口胆道鏡・管腔内超音波検査ではポリープはすべて消失していた.
  • 小林 清典, 勝又 伴栄, 五十嵐 正広
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2436-2437
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 中村 真一, 村田 洋子, 光永 篤, 大井 至, 林 直諒, 鈴木 茂
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2438-2447
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     【背景】食道静脈瘤の治療法として内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)と内視鏡的硬化療法(EIS)が施行されているが,両治療法の血行動態による適応は明確でない.3次元超音波内視鏡検査(3D-EUS)による血行動態の検討に基づいてEVLの選択基準を検討した.【方法】対象は食道静脈瘤89例で,治療前に胃噴門部から下部食道をスキャンし,3D-EUS画像を構築し,血行動態を1型:Cardial-inflow type without paraesophageal veins, 2型;Cardia1-inflow type with paraesophageal veins,3型:Azygos-perforating pattern,4型:Complex patternに分類した.EVLを44例,5%ethanolamine oleateによるEISを45例に施行し,累積非再発率を検討した.【結果】3D-EUSによる血行動態は1型41例(46.1%),2型12例(13.5%),3型7例(7.9%),4型29例(32.6%)であった.治療後24カ月時の累積非再発率は1型:EVL28.9%vs,EIS71.1%(p<0.05,Kaplan-Meier法,log-rank検定),2型:EVL72.9%vs,EIS50.0%(NS),3型:EVLvs.EIS100%(NS),4型:EVL61.9%vs.EIS64.8%(NS)であった.【結論】3D-EUSによる食道静脈瘤の血行動態の分類により,内視鏡的治療法の選択の基準が明確になった.食道静脈瘤に並列する側副血行路を有し,局所の結紮でその血行路に血流を改変できる症例はEVLが奏功する.
  • 井田 和徳, 中澤 三郎, 芳野 純治, 比企 能樹, 赤松 泰次, 浅木 茂, 栗原 稔, 嶋尾 仁, 多田 正弘, 三隅 厚信, 加藤 ...
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2448-2456
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
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     本研究は早期胃癌に対する粘膜切除術(endoscopic mucosal resection; EMR)を中心とする内視鏡治療の現状と問題点,その適応拡大の可能性について検討することを目的として,1994年から開始され,2002年に終了した.肉眼型が0-I,IIa,IIb,IIc・UL(-),高~中分化型の粘膜内癌で長径20mm以下の病変をI群,同性状の長径21~40mm,および40mm以下の未分化型の粘膜内癌の病変をII群とした.登録例412例(1群305例,II群107例)中258例(1群199例,II群59例)が評価対象となった,I群全体の一括完全切除率は71.9%であり,10mm以下82.4%,11~15mm67.2%,16~20mm45.5%と長径の増大とともに低下した.初回EMR後の癌遺残に対する追加治療例も加えた長期成績では,199例中8例(4.0%)が再発したが,うち5例が内視鏡治療により局所治癒し,最終的には196例(98.5%)に局所治癒が得られた.II群の分化型癌に対する一括完全切除例は52例中24例(46.2%)であった.追加治療を含めて59例中57例(96.6%)が内視鏡治療で局所治癒した.残り2例(3.4%)の再発例は外科手術が実施された,I群,II群を問わず,初回EMRによる切除組織から粘膜内癌であることが組織学的に正しく診断されれば,分割切除や凝固法の併用治療例でも,規則的な経過観察のもとでは治療後の再発病巣も含めて内視鏡治療で局所治癒が得られること,併せてII群への適応拡大も十分可能であると結論された.
  • 上西 紀夫
    2004 年 46 巻 11 号 p. 2457-2458
    発行日: 2004/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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