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田尻 久雄
2004 年 46 巻 6 号 p.
1153-1159
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
これまでの消化器内視鏡の現場では,研修医が基本的な技術の知識と見学の後に,直接患者に内視鏡を施行するのが一般的である.しかし,今後の医療の方向を考えると内視鏡教育のステップとして,まず座学を含めたTutoria1の後にSimulatorで十分技量を向上してから実地を行うようなシステムが望まれる.内視鏡治療を行う場合は,さらに豚切除胃を用いたモデルなどで実際の機器の使用に習熟した後に,経験豊富な指導医のもとで段階的に技術を現場で身につけていくことがより教育効果を高め,偶発症の発生リスクを減らし得ると考えられる.現在,医学教育に対する考え方は大きな変革期である.社会の中における医療のあり方,役割をわれわれ自身がこれまで以上に考え,さらに国際的視点に立ちながらも日本人の良質な部分を損なわずに独自性を生かした教育研修システムを確立していくことが重要であると思われる.
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多田 雅典, 安藤 昌之, 青木 望
2004 年 46 巻 6 号 p.
1160-1163
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
便潜血検査(FOBT)陽性の精査目的で1004例の全大腸内視鏡検査(TCS)が施行され.大腸癌81例(8.1%,進行癌43例・早期癌39例)が発見された.大腸癌の最終的治療内容はポリベクトミー25例・粘膜切除1例・外科的切除51例・その他4例であった.試算によると,TCSによる二次検診により,FOBT 100,000件あたり少なくとも数十例の大腸癌死と治療上のQOL低下を予防でき.ると推測された.
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中屋 照雄, 永尾 重昭, 奥平 圭輔, 田島 一美, 井上 拓也, 橋口 一利, 宮崎 純一, 松崎 宏治, 川口 淳, 三浦 総一郎, ...
2004 年 46 巻 6 号 p.
1164-1169
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
今回われわれは,比較的若年者の巨大胃過誤腫を内視鏡的切除後,経口的に回収し得た1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する,症例は30歳女性.上腹部痛・貧血を主訴に受診.上部消化管内視鏡検査にて胃体中部後壁に起始した有茎性巨大ポリープを認めた.長茎を有しその頭部は幽門輪直前の彎入に嵌入していた.精査後,2チャンネルスコープにて内視鏡的ポリープ切除術を施行した,まず,ポリープ起始部に高張ナトリウムエピネフリン溶液を局注し,茎部をクリッピングして血流を遮断後に通電切除した.その後,回収ネットと5脚バスケットを併用し分害することなく経口的に一塊で回収しえた.病理組織学的には,76×46×25mmの巨大な過誤腫であった.
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呉原 裕樹, 山崎 雅彦, 深尾 俊一, 横田 広子, 中野 浩一郎, 本庄 孝行, 安藤 拓也, 堅田 武保, 池上 雅博
2004 年 46 巻 6 号 p.
1170-1175
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃glomus腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は37歳,女性,健診における上部消化管造影検査で,幽門前庭部後壁に隆起性病変を指摘され,精査目的に当院受診,上部消化管内視鏡検査・超音波内視鏡検査で粘膜下腫瘍と診断され,その後4年にわたり経過観察された後,カルチノイド腫瘍などの悪性腫瘍も否定できないため腫瘍核出術を行った.病理組織学的に核は小型均一で,異型が少なく,比較的明るい細胞質を有する細胞が索状,胞巣状,充実性に増生していた.免疫染色ではα-smooth muscle actin陽性,クロモグラニン,グリメリウス陰性であり,胃glomus腫瘍と診断された.
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櫻井 丈, 吉田 和彦, 山田 恭司, 小野田 恵一郎, 嶋田 久, 山口 晋
2004 年 46 巻 6 号 p.
1176-1180
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は48歳,男性.腹痛,嘔気を主訴に来院した,胃内視鏡検査で胃体下部大彎に中心壊死を伴う周堤を有した隆起性病変を認めた.同部位の生検にて低分化型腺癌の診断を得た.また,上部消化管造影検査で宵小腸内瘻形成を認め,上腹部単純CT検査で腫瘍の横行結腸への浸潤を認めた.以上より胃癌の小腸穿通,横行結腸への浸潤の診断で,幽門側胃切除,空腸部分切除,横行結腸部分切除術を施行した.摘出標本で腫瘍は空腸3カ所,横行結腸1カ所に穿通していた.胃外発育型胃癌で消化管に内瘻を形成した報告例は本邦で過去に5例に過ぎず,極めて稀な症例であるといえる.
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福富 尉, 田近 正洋, 山崎 健路, 岩田 圭介, 清水 省吾, 安田 成雄, 大西 弥生, 清水 勝, 佐々木 栄作, 加藤 則廣
2004 年 46 巻 6 号 p.
1181-1185
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎の経過観察のため予定した大腸内視鏡の前処置としてpolyethylene glycol electrolyte lavage solution服用により腸内大腸菌の血中移行をきたし,敗血症および椎管内膿瘍を併発した1例を経験した.パルスフィールドゲル電気泳動法を用いたDNAパターン解析により糞便と血液より採取培養された大腸菌株は同一歯株由来のものと同定された.
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仁木 敏晴, 廣畑 成也, 千堂 宏義, 花房 正雄, 長野 秀信, 前田 哲男, 奥谷 俊夫, 西崎 朗, 埴岡 啓介, 安武 晃一, 川 ...
2004 年 46 巻 6 号 p.
1186-1191
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は61歳,一女性.3型胃癌に対して幽門側胃切除術を施行後,ドキシフルリジンを投与された。投与9カ月目に下痢,下血が出現したため内視鏡検査を施行したところ,直腸,S状結腸に多発潰瘍を認めた.抗癌剤の中止と腸管安静とにより治癒傾向が得られ,組織学的検討からも抗癌剤起因性腸炎と診断した.本例では全身状態の悪化にともない発現したと考えられたが,投与9カ月目の発症は極めて遅発性であり,また出血性腸炎は稀であるため報告する.
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本田 邦臣, 伊藤 健一, 高橋 誠, 貞元 洋二郎, 吉村 理江, 久保川 賢, 田中 宗浩, 佐々木 達, 中村 和彦, 原田 直彦, ...
2004 年 46 巻 6 号 p.
1192-1197
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は63歳男性.平成10年より,浮腫・腹部膨満感が出現し,当院を受診.低アルブミン血症,α1アンチトリプシンクリアランス試験高値でssmTeヒト血清アルプミンシンチグラフィーにて小腸に異常集積を認めた.消化管内視鏡検査にて上部空腸および終末回腸に白斑の散在を認め,同部位の生検にて粘膜内のリンパ管拡張を認めたため,腸リンパ管拡張症.による蛋白漏出性胃腸症と診断,成分栄養剤,利尿剤,ズテロイドなどの治療に奏効せず,平成13年9月よりソマトスタチン誘導体の投与を開始した.その後,浮腫,低アルブミン血症は改善し,内視鏡検査所見も改善した.本症例では,腸リンパ管拡張症による蛋白漏出性胃腸症の症状及び内視鏡検査所見の改善にソマトスタチン誘導体が有効であった。
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三澤 倫子, 赤松 泰次, 村木 崇, 横沢 秀一, 進士 明宏, 立岩 伸之, 川村 葉子, 越知 泰英, 清澤 研道
2004 年 46 巻 6 号 p.
1198-1202
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
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30歳,32週の妊婦.激しい下腹部痛を主訴に某病院産婦人科に人院.腹部単純X線撮影,腹部CT検査で腸管の著明な拡張を認め,腸閉塞と診断し当院へ転院した,画像所見より人腸捻転症を疑って大腸内視鏡検査を施行,S状結腸捻転症と診断して内視鏡的整復術を行った.その後再発なく無事女児を出産した.妊娠中のS状結腸捻転症の報告は比較的下希で,妊婦における急性腹症の原因の一つとして留意する必要がある.
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菅原 淳, 後藤 研介, 花野 伸一, 池田 英司, 末廣 満彦, 川中 美和, 新山 豪一, 戸川 三省, 山田 剛太郎
2004 年 46 巻 6 号 p.
1203-1207
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は60歳,女性.黄疸と全身倦怠感を主訴に近医受診され精査目的で当院紹介となった.既往歴で無症状胆嚢結石を指摘されていた.腹部超音波で総肝管部に2cm大の結石と肝内胆管の拡張,胆管気腫および萎縮した胆嚢を認めた.総胆管結石嵌頓と瘻孔形成を疑いERCPを行ったところ,胃前庭部と胆嚢に瘻孔を認めまた胆嚢と胆管に瘻孔を認めた.ENBDを留置しESWLを施行後内視鏡的に排石した.胆汁細胞診,胆嚢胆管瘻部の胆管生検,ブラッシング,胆嚢胃瘻部の生検を行ったが悪性所見は得られなかった.瘻孔閉鎖目的に右肝内胆管に7Frプラスチックステントを留置した.以後黄疽の再発や胆管気腫を認めていない. 内視鏡的治療が奏効した胆嚢胃瘻と胆嚢胆管瘻の形成を有する総胆管結石症の稀な1例を経験した.
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柴山 隆男, 大竹 寛雄, 比島 恒和
2004 年 46 巻 6 号 p.
1208-1216
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
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目的:本研究の目的は肝表面に認められる赤色紋理の臨床的意義を明らかにすることである. 方法:対象はB型慢性肝疾患232例とC型慢性肝疾患246例である.この内の30例に対して赤色紋理部に狙撃正検し,4例に対して手術時に赤色紋理部を楔状肝生検し,赤色紋理部を病理組織学的に検討した.さらに,腹腔鏡を施工した478例の進展度を診断し,各進展度における赤色紋理の出現頻度と肉眼形態を分析し,赤色紋理の出現時期を検討した.結果:赤色紋理は,門脈域にpiecemeal necrosisが認められる慢性活動性肝炎の初期ではなく,肝炎の持続により肝被膜直下肝実質に脱落・壊死を来たした後に出現した.そして,肝被膜直下肝実質の脱落・壊死巣が拡大し肝小葉構造が改築するに従い網目状あるいは出血斑様赤色紋理が出現し,肝被膜に毛細血管の増生・拡張などの変化を認め肝被膜と肝被膜直下肝実質の脱落・壊死巣の血流変化が認められた.赤色紋理は肝硬変への移行期に最も頻繁に出現し,赤色紋理が出現した後慢性肝炎は肝硬変へ急速に進展した. 結論:赤色紋理は組織学的にpiecemeal necrosisではなく肝被膜直下肝実質の脱落・壊死に対応した.赤色紋理は肝硬変への移行期に出現し,その出現は肝硬変への進展予測の良い指標となった.
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田中 三千雄, 薄田 勝男, 折原 正周
2004 年 46 巻 6 号 p.
1218-1219
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
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責任者:竜田 正晴
飯石 浩康
2004 年 46 巻 6 号 p.
1220-1223
発行日: 2004年
公開日: 2024/01/29
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2004 年 46 巻 6 号 p.
1227-1232
発行日: 2004/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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2004 年 46 巻 6 号 p.
1317
発行日: 2004年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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