日本消化器内視鏡学会雑誌
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46 巻, 9 号
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  • 井戸 健一, 冨樫 一智, 山本 博徳, 佐藤 貴一
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2079-2085
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     通常抗血小板薬・抗凝固薬服用中に内視鏡治療を行うにあたり,術中および術後の出血を予防するために服薬の中止を行っている.しかし服薬を中止すれば,当然のことながら血栓塞栓症の危険は増すことになる.しかも血栓塞栓症は重大な合併症につながりかねない.そこで,内視鏡部が院内関連各科に協力を依頼して,二つの相反するリスクを考慮した内視鏡治療時の抗血小板薬・抗凝固薬の暫定的な取扱指針を決めた.本邦における明確なエビデンスのない状況で造られた指針であるが,関連各科と協議の上造られたことに意味があると思う.既に版を重ねている米国消化器内視鏡学会のガイドライン,本邦循環器関連学会の関連ガイドラインと合わせて紹介する.
  • ―滴状浸潤(droplet infiltration)の有用性―
    江頭 秀人, 柳澤 昭夫, 加藤 洋
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2086-2094
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     [目的] 内視鏡的粘膜切除後に,m3食道癌のリンパ節転移(pN)の有無を判定する組織像は未だ明確にされていない.今回,その具休的な組織像を明らかにすることを目的とした.[方法]外科切除m3食道癌27例を対6,pNと関連する滴状浸潤(droplet infiltration.:di)の組織像{長径(dis),構成細胞数(din),主病巣からの距離(did)}に注目し,pN子測因子として脈管侵襲(vp)と比較した,[結果]dis≦20μm,din≦4.およびdid≧200μmがpNと関連する組織像であった(P=0.001,0.006,0.03).pN予測因子としてdis≦20μmとdin≦4は感度.陽性結果の尤度比(LR)がvpと同等以上で.did≧200μmは特異度,LRともvpより低かった.[結論]m3食道癌のpN予測因子としての組織像は,dis≦20μmとdin≦4であった.
  • 伊東 英輔, 幕内 博康, 千野 修, 島田 英雄, 西 隆之, 田仲 曜, 木勢 佳史, 釼持 孝弘, 田島 隆行, 山本 壮一郎, 原 ...
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2095-2100
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     46歳男性.健診で食道異常陰影を指摘された.内視鏡検査では胸部上部食道に青白調の隆起性病変を認め血管腫と診断した.また,その血管腫上に0-IIb型早期食道癌を認めた.まず血管腫に対し内視鏡的硬化療法を施行し硬化消失させ,次に早期癌に対しEEMR-tube法を用い内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行し,出血することなく完全切除が可能であった.食道血管腫上に併存した早期食道癌に対するEMRは文献検索上,本邦初例と考えられた.
  • 和唐 正樹, 稲葉 知己, 泉川 孝一, 高橋 索真, 高口 浩一, 喜田 恵治, 河合 公三
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2101-2106
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は59歳男性.自殺企図にて36%濃塩酸を飲用.入院当日の上部消化管内視鏡検査では,食道と胃の粘膜は黒色に変化し,胃内には潰瘍を認め,塩酸による腐食性上部消化管傷害と診断した.経過中,食道狭窄を生じ,バルーン拡張術にて狭窄は改善した.しかし,食道,胃粘膜の治癒傾向得られず,幽門狭窄を生じたため,第77病日,喉頭及び食道,胃全摘術,胸骨後咽頭結腸吻合術を施行した.術後経過は良好であり,術後34日目に退院した.内視鏡により,急性壊死期,潰瘍・肉芽形成期,瘢痕狭窄期の上部消化管傷害を観察でき,特徴的所見を認めたため報告する.
  • 合田 文則, 唐澤 幸彦, 谷内田 真一, 萩池 昌信, 出石 邦彦, 岡田 節雄, 臼杵 尚志, 前田 肇, 千田 彰一
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2107-2112
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は61歳男性.進行再発舌癌に対する放射線化学療法時の栄養のアクセスルートとして,内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy : PEG)をpu11式で施行した.造設時,軽度の開口障害を認めたが,食道から胃内に異常はなく,画像上も腹腔内に転移を認めなかった.4カ月後,胃瘻部に径5Cm大の弾性硬の腫瘤を認め,穿刺生検の結果,扁平上皮癌で舌癌からの転移と診断された.PEG造設術後の胃瘻部への癌転移は,PEG先進国の欧米で29例の報告があり,PEG造設時の胃瘻部へのimplantation転移や血行性転移が成因として考えられているが,本邦での報告例はない.胃瘻部への癌転移はPEGの稀な合併症ではあるが,PEGの普及に伴い,今後,徐々に増加すると考えられるので報告する.
  • 白藤 智之, 佐藤 哲也, 大曲 武征
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2113-2117
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     70歳女性,近医入院中嘔吐が出現,当科に紹介入院となった.CT,内視鏡で強い狭窄を伴う原発性十二指腸水平部癌多発性肝転移及び癌性腹膜炎と診断,切除不能のためステントを留置することとした.イレウスエイドシステムに附属の先端に固定用バルーン付きロングオーバーチューブを使用し留置した.この方法は先端に強く力を伝えることができ,十二指腸の下行脚以下の強い狭窄においても短時間にステント留置が可能であった.
  • 前田 重信, 林 裕之, 海崎 泰治, 細川 治, 道伝 研司, 服部 昌和
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2118-2123
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は75歳,男性.十二指腸乳頭部腺腫の診断で内視鏡的乳頭切除術を施行した.病理所見は管状乳頭状腺腫で側方,深部ともに断端陰性であった.内視鏡的乳頭切除術後31日目に上腹部痛と黄疸が出現し,十二指腸内視鏡検査,内視鏡的胆管造影にて,乳頭切除後の乳頭部狭窄による閉塞性黄疽と診断した.狭窄に対し,.内視鏡的乳頭切開術を施行し,再狭窄防止のため胆管にチューブステントを留置した.その後症状は軽快し,以後43カ月間,症状なく経過している.内視鏡的十二指腸乳頭切除術の合併症のひとつ.として,術後1カ月以降の乳頭部狭窄による閉塞性黄疸も念頭におく必要があると考える.
  • 石原 立, 竜田 正晴, 石黒 信吾
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2124-2125
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 良典, 多田 知子, 志村 純一, 浮田 雄生, 井上 博和, 前谷 容, 酒井 義浩
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2126-2131
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景】IPMTは粘液を産生する上が乳頭状に増殖した膵管内腫瘍であり,過形成'1生変化から腺癌まで4彩な病変が含まれている.その良悪性を診断することは重要であり,IDUSを川いて鑑別診断を行った.【方法】1993年11月から2002年6月までにIDUSをIPMTの17例(腺癌12例,腺腫および過形成5例)に施行した.隆起部分の最大高と最大断面積を測定し,良性群,非浸澗癌群,浸潤癌群の3群で検討した.非浸潤癌群で1よ隆起を認めた部位より10mm以上離して手術した.【結果】隆起部の高が癌症例はmin以上で,良性群では3mm以下で,癌では有意に高かった(p=0.0034).非浸潤癌と浸潤癌は高さでは区別できなかった.非浸潤癌は良性群(≦15mm2).に比べて隆起部の最大断面積は有意に大きく(≦34mini,p=0.0034),浸潤癌は非浸潤癌に比較して優位にたきかった(p=0.0367).手術例では切除線に癌は認めず.CTおよび超音波検査を施行し,術後1itから8年経過しているが現在まで再発は認めていない.【結論】IDUSでは隆起の高さと最大断面積により良悪性および非浸潤癌と浸潤癌の診断が可能であった.
  • 小林 清典, 木田 光広, 勝又 伴栄, 吉澤 繁, 横山 薫, 佐田 美和, 五十嵐 正広, 西元寺 克禮
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2132-2140
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     【背景】早期大腸癌の治療法を選択する際には,Sm癌のSm浸潤度を含む癌深達度を正確に評評価する必要がある.そこで早期大腸癌の深達度診断および治療法選択における,超音波内視鏡(EUS)の臨床的意義について検討した.さらに三次元超音波内視鏡(3D-EUS)の有用性についても評価を行った.【方法】対象は,EUSにより深達度診断を行った早期大腸癌413病変で,深達度別内訳はm癌239病変,sm癌174病変であったρsm癌はsm層での垂直方向の癌浸潤程度から,sm-slight癌(sm-S癌)38病変とsn-massive癌(sm-M癌)136病変に分類した.EUS.の深達度診断lrkassや,描出困難例の特徴について検討した.さらに3D-EUSによる深達度診断を併川した59病変では,従来機種と比較した臨床的有用性を評価した.【結果】早期大腸癌のうち364病変(88%)で深達度を正診できた.深達度の面から,内祝鏡的摘除や外科的局所切除が能なm癌および.sm-S癌と,外科的腸切除が必要なsm-M癌のEUSによる鑑別診断正診率は90%であった.EUSで描出困難であったのは49病変(12%)で,横行結腸より近位大腸の病変や隆起型の病変に高頻度であった.描出困難例を含めた3D-EUSの鑑別診断正診率は86%で,従来機種の73%より高率であったが有意差は認められなかった(P=0.07).しかし3D-EUSが有川とする評価が,全体の53%(31/59病変)を占めた.【結論】早期大腸癌の深達度診断および治療法の選択に超蔽皮内視鏡は有用である.さらに三次元超音波内視鏡を併用することが,診断成績の向上や描出困難例の減少に有効であると考える.
  • 責任者:中原 朗
    中原 朗, 谷中 昭典, 田家 みつ子
    2004 年 46 巻 9 号 p. 2141-2145
    発行日: 2004年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 46 巻 9 号 p. 2151-2155
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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