71歳,男性.下肢の浮腫が出現し,近医受診し貧血と低蛋白血症を指摘され,蛋白漏出性胃腸症による低蛋白血症が疑われ当科紹介受診となる.上部消化管内視鏡検査にて易出血性の1型隆起性病変を認め,入院となった.生化学的検査ではTP3.8g/dl,Alb2.2g/dlと著明な低蛋白血症を認めた.α1-アンチトリプシン・クリアランスは168ml/dayと異常高値であった.上部消化管内視鏡検査では,胃体上部から中部の大彎前壁側に粘液付着著明で絨毛状,表面粗造な,易出血性の1型隆起性病変(径10cm程度)を認め,生検にてadenocarcinoma (tub 1)と診断され,手術を施行した.病理組織学的所見では,深達度sm1,Infα,ly 1,v0, n1(No4sa)で総合病期はstage IBであった.術後,下肢の浮腫は消失し,術後55日目の検査でRBC 430万/μ1,Hb12.8g/dl,Ht38.1%,TP6.0g/dl,Alb3.6g/dlと改善し退院の運びとなった.
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