日本消化器内視鏡学会雑誌
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47 巻, 2 号
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  • 相田 重光, 今野 豊, 加藤 勝章, 島田 剛延, 渋谷 大助
    2005 年 47 巻 2 号 p. 169-175
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】胃集団検診に内視鏡検査が導入されつつあるなか,内視鏡偶発症の増加が懸念される.そこで検診施設に絞った偶発症について検討した.【方法】1998年1月から2002年12月までの5年間に当センターで上部消化管内視鏡検査を受けた61,547名を対象として前処置,感染症,観察の各項日に伴う偶発症を集計した.【結果】入院を要した重篤な偶発症は8例(0.012%)で,内訳は出血例が6例(0.009%),穿孔例が2例(0.003%)であった.入院を要しなかった軽症の偶発症は149例(0.242%)であり,そのほとんどが出血例で138例(0.224%)あった.前処置に伴う偶発症は5例(0.008%)のみであった.【結論】検査前の問診を含めた予防や,偶発症発生時の連絡体制などの対策を徹底していくことが今後更に重要になるものと考えられた.
  • 小島 英吾, 大石 美行, 弾塚 孝雄, 松林 巌, 束原 進, 吉沢 明彦
    2005 年 47 巻 2 号 p. 176-181
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.胸のつかえ感,体重減少を主訴に受診された.上部消化管内視鏡検査にて,胸部中部食道前壁に基部を持ち,分葉構造を伴う25mm大の亜有茎型腫瘤を認めた.ヨード撒布像では,腫瘤部およびその周辺粘膜は広範に不染であった.生検では扁平上皮癌と診断され,胸部食道胃噴門部切除術を施行した.切除標本の病理組織所見では腫瘤周辺の広範なヨード不染部は角化傾向を示す扁平上皮癌,亜有茎腫瘤部は類基底細胞癌で深達度は大部分で粘膜下層,ごく一部に固有筋層に浸潤していた.類基底細胞癌の形態は一般に上皮下腫瘤型を呈することが多いとされ,これはこの腫瘍が粘膜下層を中心に発育進展するためと考えられている.本例では,急峻な立ち上がりを示す亜有茎型の形態を示しており,類基底細胞癌の内視鏡診断の際に注意を促す症例と考えられた.
  • 大橋 広和, 清水 晴夫, 大関 令奈, 田沼 徳真, 佐藤 修司, 下地 英樹, 金戸 宏行, 本多 佐保, 近藤 吉宏, 赤保内 良和, ...
    2005 年 47 巻 2 号 p. 182-189
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性.嚥下困難を主訴に当科受診,内視鏡検査にて中部胸部食道に食道内腔をほぼ完全に閉塞する1型病変を認め,各種検査にて食道悪性Gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.各種治療に抵抗性であったが,アルゴンプラズマ凝固法(APC)にて腫瘍の著明な縮小効果が得られた.APC治療は根治的治療が困難な悪性食道狭窄による閉塞の解除に有用であると考えられた.
  • 文野 真樹, 川口 雅功, 山原 邦浩, 上田 弘樹
    2005 年 47 巻 2 号 p. 190-194
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性.主訴は吐血.48歳時にべーチェット病と診断されステロイド剤にて経過観察されていた.食道胃接合部直上にDieulafoy様潰瘍を認め,同部位からの出血と診断し,内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)で使用している1igating deviceを用いて内視鏡的結紮術を施行し止血した.べーチェット病に食道Dieulafoy様潰瘍を合併した症例の報告は見られず,内視鏡的結紮法が止血に有用と考えられたので報告する.
  • 本橋 修, 亀田 陽一
    2005 年 47 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性,胃体下部大彎後壁寄りの0-I+IIa病変(直径25mm)に対し,高周波針状メスで大きめ(直径30mm)にマーキングした.通常のEMRLでは病変中央での分割切除となるため,大きな切除片を得,かつ病変粘膜再構築を確実にするために,斜型の大型ソフトキャップによる吸引粘膜切除術にクリッピングを併用した手技を用い,切除した.大型ソフトキャップによる粘膜切除術にて主病変を切除し,残った焼灼マーク部分の3切片はクリッピングを併用した粘膜切除術にて切除した.切除標本の病理組織学的検索では大きさ17×12mm,深達度sm1,追加切除の3切片に腫瘍細胞は認めなかった.本法は,粘膜再構築のみならず,スネア絞約時のすべりを防ぎ,病変粘膜吸引時の正確性を増す有用な手技である.
  • 堀田 潔, 藤原 靖弘, 山森 一樹, 井谷 篤史, 佐々木 英二, 渡辺 憲治, 斯波 将次, 富永 和作, 渡辺 俊雄, 中村 志郎, ...
    2005 年 47 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は41歳男性.顔面および両下腿浮腫のため来院.低アルブミン血症,抗核抗体陽性,抗Sm抗体陽性を認め,蛋白漏出シンチにて,回腸末端部あるいは上行結腸からのアルブミン漏出を認めた.内視鏡下生検組織の蛍光抗体法にて,腺管周囲の血管壁にC3沈着を認め,自己免疫性蛋白漏出性胃腸症と診断した.ステロイドは無効で,シクロホスファミドパルス療法により,低アルブミン血症および臨床症状は改善した.
  • 川村 梨那子, 久保田 佳嗣, 山本 伸, 今井 義仁, 古川 富紀子, 中山 新士, 田橋 賢也, 岡崎 和一
    2005 年 47 巻 2 号 p. 206-210
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵管ステントが有効であった膵性腹水の1例を経験したので報告する.60歳の男性.大酒家.大量の腹水を認め精査加療目的にて紹介された.MRIで膵体部に嚢胞がみられ,嚢胞から肝十二指腸間膜に沿って連続する高信号域が描出された.ERPを行い,嚢胞から造影剤の漏出を確認し,内視鏡的膵管ドレナージを施行した.約3カ月間の膵管ドレナージ術により腹水は消失した.
  • 湯川 寛夫, 藤澤 順, 町田 大輔, 金成 正浩, 松川 博史, 清水 哲, 蓮尾 公篤, 利野 靖, 今田 敏夫
    2005 年 47 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性.1998年8月に胃癌にて胃全摘術Roux-Y再建を施行.4年経過後心窩部つかえ感が出現しCT,上部消化管造影,直腸診にて腹膜播種による挙上空腸狭窄と診断された.狭窄部へのステント留置を目的に入院した.食道空腸吻合部より肛門側5cmに狭窄あり.狭窄部の肛門側での空腸の屈曲によりデリバリーシステムが進まないため,デバイス先端部に絹糸を結び内視鏡下に鉗子で把持誘導することにより適切な位置にステントを留置し得た.これによって腹膜播種増悪による死亡直前まで経口摂取が可能であった.本法はQOL改善に有効であると考えられた.
  • 杉本 元信, 野中 博子, 宮坂 隆
    2005 年 47 巻 2 号 p. 218-219
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 西野 晴夫, 野沢 博, 井上 冬彦
    2005 年 47 巻 2 号 p. 220-226
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸ポリペクトミー後の出血予防のためのクリッピングが近年多用されているが,切除面を縫縮する方法が中心である.しかし,この方法では1病巣に対し,数多くのクリッピングを必要とし,また,病巣の大きさのみに適用判断基準がおかれている傾向がある.これに対し,ポリペクトミー後の注水により創部の状況,特に出血の可能性を充分観察した上で,oozing部位,露出血管に対して直接必要最小限のクリッピングを行う方法を実施したところ,高い出血防止効果と同時に治療時間の短縮が認められ,またクリッピングによる合併症の発生も予防できた。本法はポリペクトミー直後の創部の状況に基づいた,簡便で有用な手技と考えられる.
  • 松井 敏幸, 津田 純郎, 岩下 明徳, 大重 要, 菊池 陽介, 頼岡 誠, 古川 敬一, 平井 郁仁, 八尾 恒良
    2005 年 47 巻 2 号 p. 227-237
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景】内視鏡検査により遡及的経過観察を行った大腸癌のうち,初回形態が小さいあるいは表面型病変であったものを対象とし,その形態変化を検討した.【対象と方法】8例の小病変が遡及的経過観察の対象となった.【結果】1)初回生検で腺腫と診断されていた複数病変が高異型度癌へと進展した.2)2例の隆起型腺腫がnon-polypoid型癌へと進展した.3)1例の表面隆起型癌(高異型度癌)は1年以上早期癌のままであった.4)1例の表面陥凹型癌は腺腫成分を併存し,その形態を殆ど変えることなく2年間経過した.他の1例の表面陥凹型癌は急速に発育し,進行癌へと進展した.そして,5)1例の表面隆起型癌がIIa+IIc型のsm癌へと進展したが,その大きさは変化しなかった.文献例27病変に自験8病変加え35病変の内視鏡遡及例を集計したが,早い発育を呈する特定の発育経路を推定するに到らなかった.【結論】以上の自験例と文献例の内視鏡遡及例の発育研究から,以下の結論を得た.表面型癌の発育は多様であり,無茎性隆起形態の癌は発育進展にともなう形態変化が急激であった.また,甲期癌は緩やかに発育し,癌が深部浸潤するにつれてその発育は加速された.
  • 川口 義明, 安田 健治朗, 趙 栄済, 宇野 耕治, 田中 聖人, 中島 正継
    2005 年 47 巻 2 号 p. 238-244
    発行日: 2005/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景】膵管内乳頭腫瘍(IPMT)は,過形成から腺癌に至る幅広い組織学的特徴を有している.従って,IPMTの治療方針を決定するためには,良悪性を鑑別することが重要である.【方法】1985年1月から2002年3月の問に外科的切除を受けたIPMT39例(男性27例,女性12例,平均年齢63.3歳)を対象とした.術前に超音波内視鏡(EUS)または管腔内超音波(IDUS)を用いて計測された嚢胞径,最大主膵管径,最長嚢胞内(膵管内)乳頭状腫瘍高を切除標本の組織学的所見と比較することで,IPMTの良悪性の鑑別が可能であるかを検討した.【結果】悪性IPMT(浸潤癌,非浸潤癌)の嚢胞径,主膵管径,乳頭状腫瘍高は,良性IPMT(腺腫,過形成)と比較して大きい傾向がみられた.検討の結果,IPMTの診断において,次の3つの因子が重要であることが示唆された:(i)嚢胞径30mm以上,(ii)主膵管径8mm以上,(iii)嚢胞内(膵管内)乳頭状腫瘍高3mm以上.良悪性の鑑別において,(i)に関しては,統計学的に有意差が認められなかったが,(ii),(iii)に関しては,統計学的に有意差(P< 0.0001)が認められた.【結論】IPMTの鑑別診断,特に良悪性の鑑別においてEUS,IDUSは有用であった.
  • 責任者:森脇 久隆
    加藤 則廣
    2005 年 47 巻 2 号 p. 245-248
    発行日: 2005年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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