日本消化器内視鏡学会雑誌
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47 巻, 5 号
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  • 松井 秀隆, 竹下 英次, 恩地 森一
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1077-1084
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis:PBC)は肝硬変に至らない早期の段階から門脈圧亢進症を呈し,食道静脈瘤からの出血が初発症状となる症例があることが明らかとなった.PBCの病期の進行とともに食道静脈瘤の合併率は増す.しかし,早期の段階からred color signがあって出血の危険件の高い静脈瘤を合併する症例もある. PBCに合併する食道静脈瘤はウイルス性及びアルコール性肝硬変と比較し,治療後の再発が早く門脈圧亢進症が強い.静脈瘤を合併すると生命予後は悪く,静脈瘤破裂後の治療には難渋する. PBCの診断がつけば上部消化管内視鏡検査による静脈瘤の検索し,甲期治療が必要である.
  • 中沢 和之, 前田 義政, 上田 和樹, 前北 隆雄, 曲里 浩人, 井上 泉, 向林 知津, 榎本 祥太郎, 有井 研司, 中田 博也, ...
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1085-1089
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     64歳,男性.吐血にて近医を受診,止血困難のため,当院を紹介となった.上部化管内視鏡検査を施行,中部から下部食道に潰瘍性病変を認め,その潰瘍底から激しい脈性出血があり,Sengstaken-Blakemore tubeを挿入,翌日,上部消化管内視鏡検査を行し,中部から下部食道右後壁に,Borrmann3型食道癌を認め,潰瘍底に露出血管をめたので,アルゴンプラズマ凝固法にて焼灼した.動脈性出血をきたした食道癌はまれあるので報告する.
  • 福田 真祐弥, 樋口 和秀, 井谷 篤史, 竹内 一浩, 櫻井 克宣, 松永 伸郎, 寺岡 均, 二ノ井 照久, 山本 晃, 荒川 哲男
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1090-1095
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は77歳の男性.脊髄損傷で入院中に下血を認め,内視鏡検査を施行したところ胃角部から体中部小彎に及ぶ巨大潰瘍を認め,潰瘍底に動脈性拍動のある露出血管を伴っていた.血管造影では左胃動脈末梢に動脈瘤の形成を認め,この一部が潰瘍底に露出していると診断した.そこでスポンゼルおよびマイクロコイルを用いて左胃動脈塞栓術を施行した.術後,再出血なく良好に経過している.本症例のように動脈瘤を合併した出血性胃潰瘍は非常に稀であり,貴重な症例と考えられた.
  • 今井 昭人, 小山田 裕一, 和田 誠, 内藤 裕二, 吉田 憲正, 吉川 敏一
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1096-1100
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は74歳女性.肺炎治療の入院中に食欲不振のため施行した上部消化管内視鏡検査で,胃体中部大彎に山田分類IV 型の隆起性病変を認めた.内視鏡的ポリペクトミーを施行した結果,過形成性ポリープより発生した低分化腺癌で深達度はmであった.胃過形成性ポリープから腺癌が発生する頻度は1.5~5%といわれており,そのほとんどは高分化腺癌である.低分化腺癌が発生するのは極めて稀であり,本邦において内視鏡的に切除した症例の報告はない.
  • 野上 達也, 小尾 龍右, 折原 正周, 柴原 直利, 嶋田 豊, 田中 三千雄
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1101-1106
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は48歳の女性.十二指腸下行部に約15mmの扁平隆起型十二指腸腺腫を認めた.病変には2種類の表面性状が混在し,白色領域と淡紅色領域に別れていた.それぞれ通常内視鏡観察,拡大内視鏡観察を施行した.白色領域には葉状の絨毛構造を,淡紅色領域には構状模様,網日状模様を認めた.組織学的には白色領域は管状絨毛腺腫で淡紅色領域は管状腺腫であった.両者に異型度の差異は認めなかった.絨毛の白色化の成因として吸収上皮内の脂肪滴の貯留が考えられた.
  • 鈴木 貴久, 鈴木 孝, 篠田 昌孝, 高士 ひとみ, 山口 晴雄, 三宅 忍幸, 石川 卓哉, 神谷 徹, 木村 昌之, 安藤 貴文, 伊 ...
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1107-1113
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は16歳の男性で,血便と貧血を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で直腸S状部からS状結腸に暗赤色の怒張血管,毛細血管拡張像を認めた.CTおよびMRIでは同部位の壁肥厚,周囲の異常血管増生がみられ下腸間膜動脈造影で濃染像を認めたため,直腸からS状結腸におよぶびまん性血管腫と診断した.下部消化管びまん性血管腫の報告は稀で自験例を含め19例が報告されているにすぎず,文献的考察を加えて報告する.
  • 三枝 久能, 越知 泰英, 赤松 泰次, 浜野 英明, 高山 真理, 小松 健一, 清澤 研道
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1114-1120
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     66歳女性.胆嚢総胆管結石に対しESTを行ったが,バスケット鉗子が嵌頓した.エンドトリプターでは結石を破砕できなかった.術後血便が出現しショックとなり,腹部CTにて後腹膜穿孔を認めた.TAEにより止血が得られ,以後保存的加療で改善した.嵌頓結石はバスケット鉗子ごと自然排石し,腹腔鏡下胆嚢摘出術の後退院した. ESTを含めた内視鏡的胆道処置後出血に対して内視鏡的治療が行えない場合や無効な症例にTAEは有効な治療法であり,外科的治療の前に試みる価値がある.
  • 今枝 博之, 緒方 晴彦, 岩男 泰, 鈴木 秀和, 細江 直樹, 正岡 建洋, 中下 学, 相浦 浩一, 杉野 吉則, 永田 博司, 熊井 ...
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1121-1125
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     (目的)胃腫瘍性病変に対する切開・剥離法中の出血に対し,口腔洗浄器を用いた送水による出血点同定の工夫を検討した.(方法)鉗子孔にT字管を装着し,そこに口腔洗浄器(Water Pik(R))を接続した.出血時に鉗子孔に細径の針状ナイフを留置したまま送水して出血部位を同定し,凝固止血した.止血困難な場合には止血鉗子による凝固止血やクリップ止血を施行した.対象は早期胃癌19例と胃腺腫6例であった.(成績)針状ナイフと止血鉗子では鉗子孔に留置したまま送水でき,出血部位の同定と止血が容易であった.(結論)細径スコープの鉗子孔にT字管とWater Pik(R)を接続することにより,細径の処置具ならば鉗子孔に留置したままでも送水できるため,出血圧部位の同定に有用であった.
  • 五十嵐 良典, 伊藤 謙, 三木 一正, 浜谷 茂治
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1126-1127
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 田中 信治, 岡 志郎, 茶山 一彰
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1128-1137
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸腫瘍性病変に対する拡大観察のコツとピットフォールについて解説した.内視鏡機器の進歩によって,現在,拡大観察は生体内での極めて簡単な通常観察のオプション機能として使用可能で,本邦はもとより欧米にも徐々に普及しつつある.良好な前処置のもと,病変を発見したらまず水でよく洗浄し,通常観察・インジゴカルミンによる色素内視鏡観察を行い,それに引き続いてワンタッチ操作で拡大観察を行なう.インジゴカルミンによる拡大観察で,pit patternが不明瞭あるいは V 型を示す病変には,クリスタルバイオレットによる染色を行ってから最終診断を行うことが必要である.ただし,拡大観察はあくまで表面微細構造の観察というオプション機能であり,pit patternのみに振り回されることなく,基本である通常観察を怠らないように心掛けなくてはならない.
  • 中川 浩
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1138-1144
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     【背景】内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)は胆管結石採石の一方法である.EPBDの合併症には急性膵炎があるが,Oddi括約筋の機能を温存できる可能性のある治療である.しかし,急性膵炎発症のriskを減少させる方法やOddi括約筋機能の温存について述べた報告は非常に少ない. 【方法】われわれは60例の胆管結石症例に対して異なる径のバルーンでEPBDを行った.無作為に6mmバルーンで30例,8mmバルーンで30例にEPBDを行った.EPBDは,両群とも硝酸イソソルビド(ISDN)を1時間に5mgの速さで点滴静注しながら低圧加圧で行った.EPBD前後でOddi括約筋圧を測定した.また,血清アミラーゼ値を両群で測定した. 【結果】6mm群の血清アミラーゼ値は8mm群よりも有意に高かった(p <0.05).急性膵炎は6mm群で2例,6.7%に生じたが,8mm群では一例も生じなかった.結石除去率は,6mm群で93%,8mm群で100%であった.6mm群の7例でせまい開口部のため治療に難渋した.6mm群ではOddi括約筋基礎圧(BSOP)もOddi括約筋収縮圧(PSOP)もEPBD前後で有意差を認めなかった.一方,8mm群では治療前に比べて治療後には有意に低かった.8mm群では,BSOP値は治療前に比して約80%であったが,PSOPは治療前後で有意差を認めなかった.6mm群では結石数2個以下であれば治療前後でBSOPに有意差を認めなかった.また,6mm群では結石径6mm以下であれば治療前後でBSOPに有意差を認めなかった. 【結論】6mmバルーンを使用するISDN併用EPBDは結石径6mm以下かつ結石数2個以下の症例に対して行い,8mmバルーンを使用するISDN併用EPBDは結石径7mm以上または結石数3個以上の症例に選択する.
  • 責任者:五十嵐 良典
    五十嵐 良典
    2005 年 47 巻 5 号 p. 1145-1148
    発行日: 2005年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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