近年大腸内視鏡検査の増加に伴い,直腸カルチノイドは多く発見されるようになってきたが,多発例は比較的まれである.今回,3個の直腸カルチノイドに対して,内視鏡的粘膜切除術を施行した症例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を施行したところ,直腸(Rb)に腫瘍径5mm前後の黄色調の粘膜下腫瘍を3個認めた.超音波内視鏡検査では腫瘍は粘膜下層に限局しており,腹部・骨盤CT検査で転移を認めなかったため,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織学的所見は,いずれも粘膜下層に限局したカルチノイドで,脈管侵襲陰性,側方断端・深部断端陰性であった.また,免疫組織学的染色では,p53染色はいずれも陰性,Ki-67 labeling indexは0.7~1.1%であった.
抄録全体を表示