日本消化器内視鏡学会雑誌
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47 巻, 7 号
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  • 道堯 浩二郎, 徳本 良雄, 恩地 森一
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1391-1399
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     画像診断と血清,生化学的検査の進歩により,内科領域の腹腔鏡の適応は次第に変化してきている.現在も腹腔鏡が有用な内科領域の疾患について概説した.腹腔鏡の利点として,色調と微細な凹凸が観察できる点に加え,直視下に目標部位を生検できる点があげられる.適応疾患は,肝疾患と腹膜疾患に大別できる.腹腔鏡検査の意義が大きい疾患として,肝疾患では,(1)自己免疫性肝疾患(2)原因不明の肝疾患(3)原因として2種以上因子が関与する肝疾患(4)他の検査で進展度が不明な慢性肝疾患(5)肝の寄生虫疾患が疑われる例(6)非アルコール性脂肪性肝炎の疑われる例(7)他の検査で診断できない肝内占拠性病変があり,腹膜疾患では,原因不明の腹水と腹痛があげられる.また,内科医は肝細胞癌の治療法選択の上で,腹腔鏡下の治療を第一選択とすべき病態を知っておく必要がある.
  • 遠藤 健, 増田 浩, 松山 秀樹, 畑中 正行, 高橋 豊, 大井 至
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1400-1407
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当院における腹腔鏡下胆嚢摘出術(Laparoscopic cholecystectomy以下LC)の際の胆管損傷の予防および処置に対するERCP,endoscopic treatmentの有用性について報告する. 対象は2001年12月から2004年4月までの胆嚢摘出術施行例中LC予定は601例で,そのうち402例にERCPを施行し,57例に切石を行った.胆嚢管合流形態が把握しずらいと予想された高度炎症例1例と胆嚢管合流異常症例2例に,術前にENBDを挿入し,術中胆道損傷することなく3例ともLCが施行できた.胆道損傷は9例であり,8例はENBD,ERBDもしくは留置ドレーンで治癒した.総胆管損傷の1例は再手術となった.ERCPの果たす役割として(1)術前の総胆管結石の切石,(2)胆嚢管合流形態の特殊例や高度炎症例に対するENBDチューブの挿入による胆道損傷の予防,(3)胆道損傷に対するENBDもしくはERBD挿入による非開腹的治療,と有用性は高い.
  • 館花 明彦, 福田 護, 宇井 義典, 山川 達郎
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1408-1413
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は49歳,女性.主訴は嚥下困難.乳癌の骨転移・再発に対する化学療法施行中で画像的にPRを得ていた.経過中に嚥下困難が出現し,上部消化管内視鏡検査にて頸部食道の高度狭窄を認めた.経過ならびに各種検査所見にて乳癌の頸部食道転移と診断,self-expandable metallic stentを留置し症状は著明に改善した.現在,外来通院にて化学・内分泌療法を継続中である.食道悪性腫瘍に対する本治療は広く普及しているが,臨床上きわめて稀な乳癌の食道転移症例に対しstent治療を施行し,非常に良好な長期経過を観察している.
  • 河島 秀昭, 石後岡 正弘, 樫山 基矢, 坪内 友, 香山 明一, 鹿野 哲, 小松 一弘
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1414-1418
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     術後40年目に結腸の小隆起性病変として発見された卵巣癌再発の1例を報告した.症例は63歳女性.自己免疫性肝炎の診断で前医通院中であったが,大腸内視鏡検査でS状結腸に小型類円形の表面隆起型病変を指摘された.既往歴として40年前に卵巣腫瘍にて左卵巣摘除術と右卵巣部分切除術を受けている.手術治療を目的に当院へ紹介入院となった.種々の画像診断より卵巣癌の結腸壁内転移の術前診断で腹腔鏡下結腸切除術を行った.病理診断は,卵巣の漿液性乳頭状腺癌であった.大腸壁に生じた孤立性卵巣癌再発は非常にまれである.大腸に見慣れぬ病変を発見した際は,転移性腫瘍を念頭におくべきである.
  • 炭田 知宜, 永田 信二, 大越 裕章, 石田 友希, 桒原 隆泰, 辰上 雅名, 辻 恵二, 日高 徹, 立山 義朗, 金子 真弓, 林 ...
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1419-1424
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年大腸内視鏡検査の増加に伴い,直腸カルチノイドは多く発見されるようになってきたが,多発例は比較的まれである.今回,3個の直腸カルチノイドに対して,内視鏡的粘膜切除術を施行した症例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を施行したところ,直腸(Rb)に腫瘍径5mm前後の黄色調の粘膜下腫瘍を3個認めた.超音波内視鏡検査では腫瘍は粘膜下層に限局しており,腹部・骨盤CT検査で転移を認めなかったため,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織学的所見は,いずれも粘膜下層に限局したカルチノイドで,脈管侵襲陰性,側方断端・深部断端陰性であった.また,免疫組織学的染色では,p53染色はいずれも陰性,Ki-67 labeling indexは0.7~1.1%であった.
  • 松本 由美, 乾 由明, 三好 里佳, 渡辺 知英, 山本 俊祐, 木津 崇, 冨田 晃司, 安永 祐一, 興梠 隆, 西川 正博
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1425-1430
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     41歳女性.心不全とBasedow病で入院.ALP,IgM高値と抗ミトコンドリア抗体が陽性であることより原発性胆汁性肝硬変症を疑い腹腔鏡検査を施行した.肝表面には本症に典型的なreddish patchとmesh-like white markingを観察した.本症例ではBasedow病を合併してもreddish patchとmesh-like white markingは修飾されなかった.
  • 村上 晴彦, 菊山 正隆, 笹田 雄三, 小出 茂樹, 岩本 諭, 春木 麻衣子
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1431-1435
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     66歳男性.63歳時に十二指腸乳頭部癌に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受けた.膵胃吻合部狭窄による上腹部痛に対し,針状パピロトームによる切開,バルーン拡張術,5Frチューブステントの留置を行った.2週問でステン1・閉塞による膵炎のためステントを抜去した.治療後上腹部痛は消失したが,1年後に症状が再発し同様の手技で治療した.その後7カ月間症状の再発はない.膵胃吻合部狭窄の内視鏡的治療の有用性が示唆された.
  • 西脇 伸二, 白上 洋平, 荒木 寛司, 丹羽 優佳里, 久保田 全哉, 後藤 尚絵, 岩下 雅秀, 小野木 啓人, 林 隆夫, 前田 晃男 ...
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1436-1441
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【目的】経皮内視鏡的胃瘻(percutaneous endoscopic gastrostomy, PEG)造設患者において,注入した栄養物が頻回に逆流し,誤嚥を繰り返す症例に対し,経胃瘻的内視鏡(transgastrostomic endoscopy, TGE)を用いた経皮内視鏡的空腸瘻造設術(direct percutaneous endoscopic jejunostomy, D-PEJ)を施行し,その手技上の工夫と有用性について報告する.【方法】TGEは,オリンパス社製GIF-XP 240(外径7.7mm)を胃瘻孔より挿入し,X線透視下にpull法によりボストン社製One-Step ButtonTM(24 Fr)をTreiz靱帯の肛門側10~20cmに造設した.【成績】9例中8例の造設に成功した.造設失敗例は空腸の試験穿刺後,空腸穿刺予定部位が大きく移動し,本穿刺が不能となった症例1例のみであった.造設に伴う重篤な偶発症は認められなかった.【結語】TGEによるD-PEJ造設は,小腸内視鏡やオーバーチューブを必要とせず,安全に施行可能な手技であると思われた.
  • 浮田 實, 安中 哲也, 守本 洋一
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1442-1443
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 林 香月, 大原 弘隆, 佐野 仁, 中沢 貴宏, 伊藤 誠, 岡山 安孝, 後藤 和夫
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1444-1451
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     悪性十二指腸狭窄における専用のステントは本邦では発売されておらず,食道用のステントなどを代用しているのが現状である.著者らはUltraflex Diamond stent(Boston Scientific社製)を使用しているが,そのデリバリーシステムは十二指腸留置には短すぎるためプラスチックチューブにより150cmに自作延長している.留置方法は,まず狭窄部のバルーン拡張を行い,ガイドワイヤー下に延長したデリバリーシステムを挿入していく.その際使用するガイドワイヤーは十分な硬さがある0.038inchのAmplatz wire(Cook社製)を用いている.また,十二指腸に留置する場合,胃でのたわみが最も問題となるため,挿入形態も紹介する.さらに十二指腸ステンティングでは乳頭部での胆管閉塞も危惧されるため,その点についても一言する.
  • 責任者:藤本 荘太郎
    久津見 弘
    2005 年 47 巻 7 号 p. 1452-1454
    発行日: 2005年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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