日本消化器内視鏡学会雑誌
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48 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 乾 和郎
    2006 年 48 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵石症と膵管狭窄に対する内視鏡治療の有用性を述べた.膵石に対する内視鏡治療のESWLとの併用も含めた総合的な結石完全消失率は76~88%と高い消失率が得られ,症状緩和率も93~100%と高いことが報告されている.しかしながら,膵石による内視鏡治療が長期的にみた膵機能改善に有効か否かは不明である.また,結石再発が高いこととが問題であり,これには膵管狭窄が影響している可能性が示唆されている.膵管stentingは膵管狭窄からくる疼痛に対して,改善率が74~94%とその有用性が報告されている.また,ESWLによる排石促進の補助として,膵石再発の予防法として期待されているが,再発予防に関しては必ずしもいい結果が出ていない.また,挿入したstentの閉塞が必発であり,材質,形状,太さ,留置期間などが問題となっている.問題解決のためには,多くの症例を蓄積することによって今後検討していかなければならない.
  • 井上 拓也, 平田 一郎, 年名 謙, 阿部 洋介, 泉屋 隆, 森田 英次郎, 村野 直子, 安本 真悟, 村野 実之, 西川 貴士, 浜 ...
    2006 年 48 巻 2 号 p. 176-182
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    当院で過去6年間に経験したアフタ様腸病変を有する74例(男女比1:1,平均年齢51.4歳)について,病変の内視鏡像を中心に,大腸炎症性疾患の鑑別診断に関する臨床的検討を行った.アフタ様腸病変は,内視鏡像により肉眼形態を,A群(小発赤型),B群(アフタ型),C群(びらん・小潰瘍型)の3群に分類した.病変の分布に関してはA群では直腸からS状結腸に主として認めたのに対し,C群では横行結腸以深に優位に多く認めた.アフタ様病変を有する大腸炎症性疾患の内訳は,原因不明が59.4%,感染性腸炎12.2%,虚血性腸炎8.1%,潰瘍性大腸炎(疑診例を含む)12,2%,Crohn病5.4%,その他2.7%であった.アフタ様病変の形態別にみた疾患頻度はA群の68.0%,B群の74.2%は原因不明例であったのに対し,C群では感染性腸炎や虚血性腸炎が多く(66,7%)認められた.疾患別にみたアフタ様病変の形態頻度は,クローン病では50%がC群を呈したのに対し,潰瘍性大腸炎では全例がA群もしくはB群の内視鏡像を呈し,鑑別診断に有用な所見であると考えられた.
  • 石渡 裕俊, 真口 宏介, 高橋 邦幸, 潟沼 朗生, 小山内 学, 糸川 文英
    2006 年 48 巻 2 号 p. 183-190
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.急性膵炎の診断で入院.胆石膵炎を疑いERCPを施行し,40mm大のポリープ状の十二指腸乳頭部腫瘍を認め,膵管開冂部の流出障害と判断し内視鏡的経鼻膵管ドレナージを施行した.その後重症II(厚労省急性膵炎重症度判定基準)となるが,保存的加療にて改善した.諸検査により十二指腸乳頭部腺腫と診断,内視鏡的乳頭切除術を施行した.合併症は認めなかった.退院後12カ月経過し,膵炎の再燃,腫瘍の再発は認めていない.
  • 高橋 祥, 秋山 剛英, 女澤 慎一, 小池 和彦, 平田 健一郎, 本間 久登, 古川 勝久, 勝木 伸一, 安達 主税
    2006 年 48 巻 2 号 p. 191-197
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性.進行する四肢麻痺と貧血を認め当院内科に紹介された.入院して精査中に黒色便を認めたため,同消化器病センターへ転科し上部消化管内視鏡検査を施行した.その結果,食道と胃には出血源を認めなかったが,十二指腸球部に有茎性で頂部に2個の潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認めた.小腸造影にて明らかな病変を認めず,同部位からの出血と判断した.超音波内視鏡では,腫瘍内部に均一な高エコー像を認め,十二指腸脂肪腫と診断した.患者と家族への厳重なインフォームドコンセントの後に,内視鏡的ポリペクトミーを施行した.病変の大きさは13×12mmであり,組織学的に脂肪腫と診断された.切除後の経過は良好で,貧血も改善した.
  • 川崎 健太郎, 市原 隆夫, 後藤 直大, 土田 忍, 味木 徹夫, 松本 逸平, 藤野 泰宏, 鹿股 直樹, 宮崎 博之, 生田 肇, 黒 ...
    2006 年 48 巻 2 号 p. 198-203
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例1は62歳男性.難治性腹水に対し腹腔鏡を施行.腹膜に散在する白色の粗大結節を認めた.生検で腹膜悪性中皮腫と診断された.症例2は64歳男性.腹水の精査目的で腹腔鏡を施行.臓器は硬く厚い白色の被膜に覆われていた.組織診は非特異的慢性炎症で被嚢性腹膜硬化症と診断された.培養結果による抗生剤投与で腹水の減少および炎症所見の改善がみられた.原因不明の難治性腹水に対し腹腔鏡は有用であると考えられた.
  • 杉山 健, 土細工 利夫, 豊永 高史, 廣岡 矩臣, 植田 智恵, 岩田 恵典, 尾野 亘, 杉山 理恵子, 廣岡 大司
    2006 年 48 巻 2 号 p. 204-211
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ソフト凝固は従来の高周波凝固と比べ,スパークを発生させず組織内の水分をゆっくり脱水・蒸発するため,蒸気の発生をもって凝固の終了を判断できる.われわれは止血手順として血管周囲4カ所を凝固の後に血管そのものを凝固する4+1接触法を考案し,このソフト凝固を一般の出血性胃潰瘍76例に応用した.その結果初回止血率100%(単独止血率75.0%),再出血例・穿孔例なく,単独での止血時間は10分以内が92.2%と,良好な成績を得た.ソフト凝固を用いた4+1接触法は,簡便かつ血管処理能力に優れ,処置時間も短い,安全な止血術であると考えられる.
  • 平井 律子, 菊山 正隆, 佐藤 恵, 春木 麻衣子, 酒井 茂樹, 小出 茂樹, 笹田 雄三
    2006 年 48 巻 2 号 p. 212-217
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Roux-en-Y再建胃全摘(RY)症例2例の総胆管結石治療に前方斜視鏡を用いた.症例は77歳男性,および55歳男性.それぞれ胃悪性リンパ腫,および腹部外傷のため胃全摘術を受けている.輸入脚が長く腸管の撓みを抑える目的で小腸内視鏡用オーバーチューブを併用しバルーン拡張術(EPBD)により排石した.RY症例においてオーバーチューブを併用した前方斜視鏡による総胆管結石治療の可能性が示唆された.
  • 高梨 訓博, 中野 洋一郎, 荒木 直子
    2006 年 48 巻 2 号 p. 218-219
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 良典, 岡野 直樹, 佐藤 大介, 伊藤 謙, 三村 享彦, 鈴木 拓也, 三浦 富広, 飯田 和成, 住野 泰清, 三木 一正
    2006 年 48 巻 2 号 p. 220-225
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    乳頭部腫瘍には,過形成,腺腫,腺腫内癌,癌などが含まれる.手術は解剖学的特性から侵襲が大きく,術前の診断が重要である.腺腫や早期癌などの症例に対して完全生検の目的で内視鏡的乳頭切除術が施行されているが,切除法は術者によって異なる.また切除後の偶発症である膵炎および胆管炎は大きな問題である.著者らは処置用十二指腸スコープ,スパイラルスネア,切開波を用いて十二指腸腫瘍4例(早期癌2例,腺腫2例)を切除した.術直後に5Fr膵管ステントおよび7Fr胆管ステントを留置した症例では,術後膵炎および胆管炎は認めなかった.以上の方法で安全に内視鏡的乳頭切除術を施行できると考えられた.
  • 責任者:高橋 信一
    小山 元一, 高橋 信一
    2006 年 48 巻 2 号 p. 226-229
    発行日: 2006年
    公開日: 2024/01/29
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