日本消化器内視鏡学会雑誌
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48 巻, 5 号
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  • 八尾 建史, 岩下 明徳
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1091-1101
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    2000年以降に出版され,胃疾患における拡大内視鏡の応用を述べた代表的な文献をレビューし,方法論的問題点について論述した.正常像については部位により微小血管構築像と粘膜表面微細構造は全く異なったパターンを呈していた.すなわち微小血管構築像については,胃体部ではregular honeycomb-like subepithelial capillary network (SECN) pattern with collecting venulesを,胃前庭部ではregular coil-shaped SECN patternを呈している.臨床応用は,Helicobacter胃炎の存在診断や胃炎の程度の診断の有用性が報告されている.早期胃癌の拡大内視鏡所見については分化型癌における微小血管構築像が特異的であった.すなわち癌部でregular SECN patternの消失,irregular microvascular patternの存在,境界部におけるdemarcation lineの存在の3つの所見が特徴像であり臨床応用可能であった.具体的には,特に従来の内視鏡で診断が困難なIIb,随伴IIb,微小癌の内視鏡診断ができる可能性が示唆された.また早期胃癌の術前範囲診断にも有用であり実際に臨床応用されている.胃粘膜の拡大観察が機器の進歩や観察法の改善により容易になった反面,さまざまな知見が報告され混乱を招いている.混乱を避けるためには,特に方法論において,胃粘膜微小血管構築像と胃粘膜鏡面微細構造(いわゆるピットパターン)を独立して解析する必要があると考えた.以上の点を整理して知見を重ねれば,胃粘膜における拡大内視鏡は新しい診断体系の一つになると考えられる.
  • 石澤 知子, 玉井 佳子, 高見 秀樹, 山形 和史, 三上 達也, 佐々木 聡, 福田 眞作, 棟方 昭博
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1102-1108
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】抗血小板薬服用者に観血的内視鏡手技を施行する頻度が増しているため,手技前の抗血小板薬の休薬状況と偶発症に関して検討した.【方法】25施設81名の内視鏡施行医(検査施行経験3年以上)に観血的内視鏡手技施行前の抗血小板薬(アスピリン,チクロピジン)休薬の有無・期間,周術期における出血・血栓塞栓の発症について聞き取り調査した結果を分析した.【結果】生検では約50%,ポリープ・粘膜切除術および内視鏡的乳頭切開術では95%以上の内視鏡施行医が休薬し,手技前休薬期間は7~10日間が最多であった.2001年4月から2004年3月までの3年間に出血で苦慮した症例は7例(輸血2例,死亡0例)に対し,血栓塞栓症は7例だが重篤な偶発症(死亡1例,後遺症1例)が認められた.【結論】抗血小板薬服用者の観血的内視鏡手技施行時には出血合併症のみでなく血栓塞栓症発症の危険に対しても十分な配慮が必要である.
  • 林 香月, 岡山 安孝, 宮部 勝之, 上野 浩一郎, 内藤 格, 平井 正明, 喜多島 康弘, 坂 哲臣, 秋田 真志, 後藤 和夫
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1109-1115
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    消化管出血での内視鏡的クリップ止血術は確立された手技であるが,十二指腸憩室内の露出血管とびらんに対しクリップ止血術を施行した後,穿孔をきたしていた2例を経験した.それぞれ,術後に皮下気腫と軽度腹痛を訴えたためCTを施行すると腹腔や後腹膜にFree airを認めたが,保存的治療により軽快した.十二指腸憩室出血でのクリップ止血術は穿孔も危惧し,穿孔が疑われた場合にはCTを施行する必要があると思われた.
  • 小田 彩, 石川 智久, 齋藤 勝也, 鳥巣 勇一, 石井 宏則, 高橋 宏樹, 穂苅 厚史, 小池 和彦, 鳥居 明, 銭谷 幹男, 田尻 ...
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1116-1121
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    黒色便を主訴とし,肝右葉に多発転移巣を伴った十二指腸原発Gastrointestinal stromal tumorの68歳男性症例を経験した.根治的外科切除は困難と判断,メシル酸イマチニブの投与を開始した.腹部CTにて原発並びに転移巣の腫瘍壊死縮小効果を認めた.さらに内視鏡にて,十二指腸内腔に大きく突出した原発粘膜下腫瘍の扁平化を認めた.経時的に治療効果を直接観察し得た興味深い症例である.
  • 小山田 裕一, 今井 昭人, 和田 誠, 内藤 裕二, 吉田 憲正, 吉川 敏一, 天野 殖
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1122-1126
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.主訴は便潜血陽性.大腸内視鏡検査で肛門管にIIa+IIc型病変を認め,生検は中分化型扁平上皮癌であった,肛門管癌と診断し腹会陰式直腸切断術を行った.病変は24×16mm大で深達度sm3の中分化型扁平上皮癌で,リンパ節転移は認めなかった.肛門管癌は肛門の肉眼観察で発見されることが多いが,本症例のように扁平な隆起の早期癌では直腸内反転操作を含めた内視鏡検査が必要かつ有用である.
  • 品川 慶, 小松 弘尚, 大原 英司, 浅本 泰正, 徳毛 宏則, 石田 邦夫, 眞部 紀明, 田中 信治, 茶山 一彰
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1127-1133
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は7歳男児の家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis,以下FAP).30mm大の大腸ポリープを内視鏡的に切除した後も貧血が進行したため,外科的に小腸・大腸ポリープを追加切除した.癌化リスクを考慮し,早期の大腸全摘が望まれたが,小腸に関しては年齢や消化吸収能に配慮しポリペクトミーにて経過観察とした.FAPの病態の把握や治療方針決定に対する,小腸内視鏡検査とadenomatous polyposis coli遺伝子(以下APC遺伝子)解析の有用性について自験例をもとに検討をおこなった.
  • 渡辺 雅男, 大和 弘明, 品田 恵佐, 上林 実
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1134-1138
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性.主訴はなし.平成14年10月健康診断にて食道・胃に多発ポリープと便潜血陽性を指摘されて当科を受診した.上下部消化管内視鏡では食道・胃・大腸にポリープが多発していた.顔面に小丘疹,口腔内歯肉部に乳頭腫様の白色小隆起性病変,四肢・両手背に角化性丘疹を認め,Cowden病と診断した.直腸のポリープは内視鏡的に切除し,深達度mの腺腫:内癌であった.Cowden病は稀な疾患であり,また大腸癌の合併は比較的少ないとされているが,本症例のような合併例もあるため注意が必要である.
  • 笹本 貴広, 田中 篤, 石井 太郎, 上垣 佐登子, 山本 貴嗣, 相磯 光彦, 高森 頼雪, 久山 泰, 滝川 一
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1139-1143
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれはC型肝硬変を有し,diffuse antral vascular ectasia(DAVE)による消化管出血を来たした4症例に対して,アルゴンプラズマ凝固法(APC)による治療を行った.全例で止血に成功し,重篤な合併症は認めなかった.治療後の経過観察中4例中3例ではDAVEからの再出血はなかったが,治療前の肝予備能が不良だった1例では再出血を来たし,肝不全を合併して死亡した.肝予備能の保たれているC型肝硬変症例でのDAVE出血に対して,APCによる止血は有効である可能性が示唆された.
  • 細川 治, 海崎 泰治, 森下 実
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1144-1145
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 白川 勝朗, 中村 哲也, 山岸 秀嗣, 生沼 健司, 平石 秀幸, 寺野 彰
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1146-1153
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    小腸全域を観察できるカプセル型の内視鏡:PillCam TMSBが開発され,ヨーロッパ・アメリカでは2001年から臨床の場で使用されている.カプセル内視鏡は,原因不明消化管出血や各種小腸疾患の診断に非常に有用である. 現在のカプセル内視鏡システムでは,読影者の知識・経験によって診断精度が規定され,読影に要する時間も長い.こうした問題点は,機器やソフトウェアの改良により克服されつつある. 本稿では,カプセル内視鏡の検査と読影について,具体的な手順や注意点を中心に解説した.
  • 責任者:鵜川 四郎
    鵜川 四郎, 鵜川 邦夫
    2006 年 48 巻 5 号 p. 1154-1157
    発行日: 2006年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 48 巻 5 号 p. 1159
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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