日本消化器内視鏡学会雑誌
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48 巻, 6 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 古川 浩一, 滝澤 一休, 池田 晴夫, 岩本 靖彦, 相場 恒男, 米山 靖, 和栗 暢生, 五十嵐 健太郎, 月岡 恵
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1199-1209
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    本邦における待期・予防的な食道静脈瘤の内視鏡治療は内視鏡的硬化療法(EIS)と内視鏡食道静脈瘤結紮術(EVL)を中心に行われている.特にEVLは安全で簡便であることから急速に普及し,国内外問わず待期・予防の食道静脈瘤治療においては主役といえる.それに伴い,EVLの高い再発率,特に本邦ではredcolor sign(RC)陽性による再発が問題視され,様々な地固め療法が試みられてきた.中でもアルゴンプラズマ凝固療法(APC)は凝固特性からEVL後のRC再発予防に最適な地固め療法の一つにあげられる.しかし,EVL単独治療であっても反復施行により地固め療法類似の効果が期待できる.今後は地固め療法の過不足ない適応を考える上でRCの扱いや現在の医療環境にあった安全性,QOL,コストなどの再評価が必要と考えられる.さらに,薬物療法導入も視野に入れた門脈圧亢進症の部分症としての待期・予防的な食道静脈瘤内視鏡治療の標準化と血行動態からみた個別化が切望されている.
  • 奥 隆臣, 和田 優子, 和賀 永里子, 藤田 美悧, 長町 康弘, 前田 征洋
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1210-1214
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.前庭部小彎に中心に露出血管を有する胃潰瘍を認めHSE局注にて止血処置を行った.2週間後には局注を行った潰瘍中心部に十二指腸との瘻孔を認め,重複幽門を形成していた.前庭部小彎は重複幽門の好発部位であるが,本症例ではこれまでの報告に比べ短期間に瘻孔が形成されており,HSE局注の関与が示唆された.これまでにHSEによる重複幽門形成の報告はなく貴重な症例と考えられたため報告する.
  • 塚田 健一郎, 宮林 千春, 古川 浩一, 寺尾 ゆみ子, 窪川 芳樹, 綱島 勝正, 青柳 豊
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1215-1220
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡検査後に一過性全健忘をきたした3例を報告する.いずれも女性で,逆行性健忘と順向件健忘を呈した.意識障害はなく年余に渡る長期記憶も障害されていなかったが,現在の自分の状況を理解できなかった.家族は状況の理解に苦しみ不審の念に駆られ,また施行医も当惑した.原因として,内視鏡検査を受ける不安・緊急などのストレスが挙げられる.極めて稀な合併症と思われるが,知っておくべき重要な合併症と考えられる.
  • 田村 康, 田覚 健一, 渡辺 史郎, 丸山 貴広, 小堺 郁夫, 藤原 敬人, 酒井 剛, 関谷 政雄
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1221-1227
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は37歳男性.十二指腸球部を占める腫瘍性病変を認め紹介受診した.腫瘍基部辺縁には粘膜下腫瘍様の隆起を伴っており,腫瘍頂部の生検では上皮の過形成と診断された.同病変に対し超音波内視鏡検査及び穿刺吸引細胞診を施行した後に外科的切除術を行った.切除標本組織で偽浸潤を伴うPeutz-Jeghers(P-J)ポリープと診断された.消化管ポリポーシスの家族歴および皮膚粘膜色素沈着は認めないが,小腸にもP-Jポリープを認めたため不全型P-J症候群と診断した.十二指腸腫瘍の鑑別疾患の一つとして本症を念頭に置く必要があると考えられた.
  • 山崎 健路, 荒木 寛司, 大島 靖広, 白木 亮, 福島 秀樹, 安田 一朗, 永木 正仁, 加藤 則廣, 森脇 久隆, 廣瀬 善信
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1228-1232
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.検診で上部消化管内視鏡検査が施行され,十二指腸下行部にIIc様の陥凹型病変が認められ当院紹介となった.病変は3mm大で,陥凹面は周囲粘膜と比し軽度赤色調を呈し,陥凹辺縁の不整像や陥凹面の顆粒状所見は認められなかった.内視鏡所見からは腺腫と粘膜内癌との鑑別が困難であり,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織診断は中等度の異型を伴う管状腺腫であった.治療経過中に重篤な合併症はみられなかった.
  • 長山 裕之, 伊藤 洋二, 林 征洋, 竹中 弘二, 草野 満夫, 二階堂 孝
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1233-1238
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.便潜血陽性にて初診.大腸内視鏡検査にてS状結腸に20mm大の隆起性病変を認め,肉眼形態から粘膜下腫瘍と診断.悪性の可能性を否定できず,患者の希望もあり,S状結腸切除術を施行.病理学的には正常大腸粘膜に被覆された正常粘膜下層の腸管内腔への突出像であり,大腸mucosal polypと診断.分類不能型大腸リープの中でも,共通の特徴を持った疾患概念を確立するには症例の蓄積が必要と考え報告する.
  • 上田 渉, 湯川 知洋, 松本 健二, 高塚 聡, 池原 照幸, 由井 三郎, 大川 清孝
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1239-1245
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は74歳男性.3年前に潰瘍性大腸炎(UC)を発症,ステロイドを使用することなくamino salicylic acid(5-ASA)にて緩解していた.平成12年突然の発熱,粘血便を認めた.大腸内視鏡検査で直腸から連続する粘膜の浮腫,発赤,びらんに加え深掘れ潰瘍,縦走潰瘍,地図状潰瘍を認めた.潰瘍底からの生検組織でサイトメガロウイルス(Cytomegalovirus;CMV)核内封入体を認め,CMV腸炎を合併したUCの再燃と診断した.CMV感染症はcompromisedhostに生じ易く,ステロイドを使用することの多いUC患者は合併する危険性が高い.更にCMV腸炎の合併でUCが重篤化することが知られている.本症例も当初治療に難渋したがガンシクロビル投与にて改善した. UC患者で非典型的な内視鏡像を呈し,治療に抵抗する場合には,たとえステロイド等の使用が無くてもCMV感染症の合併を考慮する必要があると考えられた.
  • 三浦 直也, 浜本 哲郎, 野口 美智子, 井上 雅之, 大村 宏, 越智 寛, 堀 立明, 鶴原 一郎
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1246-1249
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は84歳女性.肺炎のため紹介入院となった.第2病日に腹部膨満,右下腹部痛が出現.腹部単純レントゲン写真で右下腹部に著明に拡張した腸管内ガスを認め,盲腸軸捻転症を疑い,緊急下部消化管内視鏡検査を行った.上行結腸に捻れ狭窄を認め,更にスコープを挿入すると盲腸は著明に拡張していた.吸引による脱気のみで整復が可能であった.虚血や穿孔のない発症早期の内視鏡検査は盲腸軸捻転症の診断,治療に有効であった.
  • 中嶋 隆彦, 國谷 等, 中村 暁
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1250-1251
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 小林 清典, 小川 大志, 勝又 伴栄, 西元寺 克禮
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1252-1258
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的バルーン拡張術(バルーン拡張術)の適応となる大腸疾患として,大腸癌術後の吻合部狭窄やCrohn病などの慢性炎症性腸疾患に合併する狭窄があげられる.バルーン拡張術には,内視鏡の鉗子孔から挿入可能なTTS(though-the-scope)バルーンを用いる場合が多く,最近はガイドワイヤーが内蔵されたバルーンも使用できる.大腸狭窄に対してバルーン拡張術を行なう際には,まず適応となる狭窄を厳密に選択することが重要である.適応外の狭窄に対しては,外科手術など他の治療法を考慮する.バルーン拡張術を行なう際のコツとしては,無理な拡張を避けることが最も重要で,拡張圧よりも患者の腹痛程度を重視する.通常1回の治療では,3回位までの拡張にとどめ,週1~2回の治療を繰り返し行う。偶発症としては,穿孔や出血に注意する必要がある.なお治療後も再狭窄をきたす可能性があるため,定期的な経過観察が必要である.
  • 光藤 章二, 名越 真理子, 辰巳 陽一, 坂井 みき, 塩見 聡史, 若林 直樹, 小西 英幸, 岡野 均, 片岡 慶正, 岡上 武
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1259-1266
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景】アルゴンプラズマ凝固法(APC)はin vitroでは安全であることが証明され,内視鏡的治療に広く導入されるようになってきた.われわれはAPCの食道壁および胃壁へのin ivivoでの熱焼灼効果と,早期胃食道癌の内視鏡的粘膜切除術(EMR)後の不完全切除例に対する追加治療としての有用性を評価した.【方法】全身麻酔下でブタの食道,胃に内視鏡的APC照射を行い,熱損傷を作成して病理組織学的に組織損傷の深度を判定した.また,EMRを行い組織学的不完全切除と判定された早期胃癌24例と早期食道癌5例に追加APC治療を行った.切除一週間後に,EMR後潰瘍の辺縁を全周性にAPCで焼灼した.設定条件は胃では出力50W,流量1.5L/分,食道では40W,1.5L/分で,照射時間は各点5秒未満とした.【結果】組織損傷の深度は,照射時問と出力に関連していた.胃では出力60W,流量2.0L/分,照射時間5秒で,熱損傷は粘膜下層全層に及んでいた.食道では出力40W,流量2.OL/分,照射時間5秒で焼灼深度は固有筋層に達していた.追加APC治療の臨床研究では,再発率6.9%(29例中2例)であった.【結論】穿孔を防ぐために,APCの出力設定は胃では40-60Wで照射時間5秒未満が,食道ではさらに低出力,短時間照射が推奨される.早期胃食道癌のEMRにおいて,不完全切除例に対する迫加APC治療は,その再発率を減少させるものと考えられた.
  • 責任者:三浦 総一郎
    永尾 重昭
    2006 年 48 巻 6 号 p. 1267-1270
    発行日: 2006年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 48 巻 6 号 p. 1274-1277
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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