接触型硬性内視鏡(Contact scope)を用いて,手術時に胆嚢漿膜面の拡大観察を行った.正常胆嚢では,漿膜下層の静脈網と,これらの内部を赤血球が流れる像を明瞭に捉えることができた.また漿膜下を走行する深浅2層の静脈問に,呼吸に伴う可動性(静脈相互の"ずれ")が認められた.また漿膜下脂肪織が亀甲様紋理として観察された.胆嚢癌では,浸潤が固有筋層までの早期癌,あるいは漿膜下層へわずかに浸潤する程度の進行癌では上記3所見が得られたが,漿膜下層へ広汎に浸潤する胆嚢癌では脂肪紋理は消失し,静脈は狭細化し,相互の可動性が低下していた.症例数が少ないため定言は避けねばならないが,少なくともContact scope像に異常が認められなければ,癌浸潤は漿膜下浅層にとどまると考えられ,Contact scopeが癌深達度判定の一助となる可能性が示唆された.
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