日本消化器内視鏡学会雑誌
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49 巻, 11 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 井上 晴洋, 加賀 まこと, 南 ひとみ, 菅谷 聡, 佐藤 嘉高, 笹島 圭太, 浜谷 茂治, 塩川 章, 工藤 進英
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2811-2818
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     「生体内で生きている消化管粘膜上皮を細胞レベルで観察したい」という願いから,1996年より産学共同研究による超拡大内視鏡の開発に着手した.その結果これまでに2系統の器械の開発に至った.その1つは"Endomicroscopy"であり,レーザー共焦点顕微鏡を応用したカテーテル型プローブを作成することで,"無染色"での細胞レベルの画像の獲得に成功した.これによりプローブを粘膜面に接触させるだけで,腺管開口部(ピット)のみならず,細胞や核などの観察が可能となった.もう1つは"Endocytoscopy"であり,通常の光学レンズ系による超拡大内視鏡でcontactendoscopyの原理に基づく.当初,カテーテル型を作成した(多施設共同提案)が,現在では,endocytoscopyを通常の拡大内視鏡に搭載した一体型endocytoscopyを主に使用している.食道では,メチレンブルー単染色により細胞核のみならず核小体の観察も行え,細胞診に匹敵する高解像の明瞭な画像での観察が可能である.またこれまで画像描出が困難であった胃においても,クリスタルバイオレットとメチレンブルーによる2重染色(CM2重染色法)で,ヘマトキシリン・エオジン染色にほぼ匹敵する画像の獲得が可能となってきた.その結果,内視鏡的異型度診断が可能となり,得られた画像をECA-1からECA-5に分けて,ECA(Endocytoscopic diagnosis of tissue atypia)分類による5段階評価をおこなっている. これらの2種類の道具はそれぞれの特徴と発展の可能性を有しており,今後の展開が期待される.いつれにしても現在,生きた癌細胞の生体内での内視鏡観察は既に可能な時代となった.
  • 本橋 修, 高木 精一, 中山 昇典, 西村 賢, 柳田 直毅, 吉井 貴子, 亀田 陽一
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2819-2824
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的食道粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection : ESD)に求められる安全性・確実性・簡便性の向上と施行時間短縮を追及し,粘膜把持鉗子用チャンネル付き透明フードを試作した.雑犬を使用した動物実験で,このデバイスを使用したESDを施行する群と透明フードのみを使用した従来のESDを施行する群を比較検討した. 結果として,この補助器具使用による利点は,(1)剥離粘膜を把持し挙上させ,さらに反転させて後方に押すことで,粘膜剥離面を直視下に観察することがより容易となり,止血および血管処理が容易となっただけでなく穿孔の危険性もなくした.(2)剥離面の粘膜下組織に確実なカウンタートラクションをかけることができ,剥離時間を短縮した.特に,(3)この切開粘膜把持と切開粘膜口側にフードを接着させる操作は,呼吸や拍動の影響を減じ,剥離部と処置具の距離を一定とし,安全な食道粘膜剥離操作を可能にした. 動物実験から粘膜把持鉗子用チャンネル付き透明フードは食道のESDに有用な補助具であり,臨床使用においても同様の有用性が期待される.
  • 小沢 俊文, 渡辺 秀紀, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 海上 雅光
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2825-2833
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は17歳時から食道アカラシアの既往のある60歳台の男性.食道造影では胸部下部食道が対称性に狭小化し,拡張した口側食道に楕円形で可動性を有する隆起性病変を認めた.内視鏡検査では食道全体に白色粘液が付着し,頭部が白色で可動性を有するIp型病変を認めた.十分な前処置後の観察では,狭窄部を含め白濁肥厚した粘膜と,発赤調で地図状の浅い陥凹面や不整なびらんが多発していた.ヨード染色でも不染ないし淡染を呈し,拡大観察でも不整な乳頭内血管が観察された.病理組織学的にはIp型病変は主に低分化型扁平上皮癌から成り,一部には多彩な組織像を示す紡錘型細胞癌も認め両者の移行部分も観察されたためいわゆる癌肉腫と診断した.多発するIIcないしIIb病変はm2までの扁平上皮癌であった.食道壁は筋層が著しく肥厚し定型的なアカラシアの組織像であった.食道アカラシアに癌肉腫などIp型食道癌が合併した報告は無く,極めて稀な症例と思われ報告した.
  • 堀江 秀樹, 天道 正成, 内間 恭武, 薗田 徹, 貴田 雅也
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2834-2838
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は86歳,女性.上腹部痛,食欲不振のため他院で上部消化管内視鏡検査施行され,5×4×4cm大の黄茶色を呈する胃石と胃前庭部の胃潰瘍を指摘され当院紹介受診.内視鏡下に胃石除去術を施行した.スネア単独では砕石できなかったが,透明キャップを併用することにより効率的に砕石が可能となり経肛門的に排出しえた.巨大胃石に対してスネアに透明キャップを併用することにより内視鏡的治療が有効であった1例を経験したので報告する.
  • 小沢 俊文, 渡辺 秀紀, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 海上 雅光
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2839-2845
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は49歳,男性.主訴は心窩部痛.胃X線造影および内視鏡検査で胃体上部後壁に,IIc+IIa型病変を認めた.髭状のはみ出しから癌が疑われたが,生検ではカルチノイドであった.EUSで深達度SM深部浸潤と判断したが希望によりESDにて切除した.病変は10×7mm大で深達度sm massive,静脈およびリンパ管侵襲陽性であった.一部に異型度やKi67標識率の高い部分が観察され,同部位では核分裂像も多くみられた.背景粘膜はHelicobacter pylori陽1生の高度萎縮性粘膜で高ガストリン血症を伴っていたが,抗胃壁細胞抗体は陰性であった.除菌成功後にペプシノーゲンI/II 比および血中ガストリン値は正常化した.
  • 藤田 孝義, 安藤 貴文, 渡辺 修, 前田 修, 石黒 和博, 高橋 宏尚, 石川 大介, 南 正明, 長谷川 元英, 大宮 直木, 丹羽 ...
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2846-2851
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は58歳の女性.不明熱,右下腹部痛にて受診.CT検査にて回腸壁の肥厚と周囲リンパ節の腫大を認めたため,精査目的にてダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行した.同検査にて遠位回腸に輪状傾向のある多発潰瘍を認め腸結核を疑ったが,生検病理では乾酪性肉芽腫は示されなかった.結核感染の補助診断として全血インターフェロンγ アッセイを行ったところ陽性であり,腸結核と診断した.抗結核薬にて臨床症状,画像所見は改善した.
  • 加藤 菜穂, 金政 和之, 福本 晃平, 今村 重義, 立花 俊治, 光藤 章二, 片岡 慶正, 岡上 武
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2852-2857
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は65歳女性,1年前にC型肝硬変,多発肝細胞癌と診断し肝動脈塞栓療法を施行した.突然の心窩部痛を主訴に来院し血液検査,CTにて軽症急性膵炎と診断した.入院後,磁気共鳴胆道膵管造影検査にて総胆管内に欠損像を認め,内視鏡的逆行性胆管造影を施行したところ総胆管内に紐状の陰影欠損を認めた.引き続き内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行し索状の凝血塊を総胆管より除去した.肝細胞癌における胆道出血は約2%との報告があるが,そのうち急性膵炎を合併する症例の報告は非常に少ない.本症例はHCCからの胆道出血が急性膵炎の原因となったまれな症例と考えられ,文献的考察を加えて報告する.
  • 宮崎 慎一, 森田 照美, 野田 裕之
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2858-2859
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 進士 明宏, 武川 建二
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2860-2861
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 山口 武人
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2862-2869
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     経口膵管鏡検査(Peroral Pancreatoscopy:POPS)は膵管内乳頭腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas : IPMN)や診断困難な主膵管狭窄,膵管内透亮像の診断に有用な検査法である.実際の検査にあたっては比較的高度な技術が必要であり,また術後合併症に対する注意も重要である.したがって,適応についてよく吟味すると同時に,基本手技を習得する必要がある.しかし,手技としてはERCP検査の延長であり,基本的な操作法を習得すれば個々の症例に対し応用してゆくこととなる. 本論文ではPOPSの基本手技と検査上の注意点について解説した.
  • 責任者:一瀬 雅夫,瀧藤 克也
    瀧藤 克也
    2007 年 49 巻 11 号 p. 2870-2873
    発行日: 2007年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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