日本消化器内視鏡学会雑誌
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49 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 中嶋 隆彦, 三輪 重治, 澤崎 拓郎, 塚田 健一郎, 藤浪 斗, 宮嵜 孝子, 細川 歩, 折原 正周, 工藤 俊彦, 杉山 敏郎
    2007 年 49 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    本邦では検診などで偶然発見される粘膜下腫瘍の頻度が高く,その多くがGastro-intestinal stromal tumor(以下GIST)であると推定される.これら無症状のGISTは,組織学的検索や遺伝子検索に必須である組織採取が困難であり,診断に苦慮する場合も多い.全てのGISTは細胞生物学的にmalignant potentialを持つと考えるのが適切であり"良性GIST"という表現には慎重を要する.しかし多くのGISTが臨床的に良性にふるまうのも事実である.現時点でGISTの画像診断には限界があり,KITを中心とした免疫組織学的検索が診断のゴールドスタンダードである.チロシンキナーゼ阻害薬の1つであるメシル酸イマチニブは従来の抗悪性腫瘍薬に比類ない効果を示し,さらにその臨床効果は変異のgenotypeにより異なる.GISTの診断とは単にGISTであることを診断するのみならず,併せて悪性度を評価し適切な治療を選択することを意味する.
  • 友松 雄一郎, 芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 小林 隆, 三好 広尚, 中村 雄太, 神谷 直樹, 三浦 正剛
    2007 年 49 巻 2 号 p. 178-184
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸憩室出血の特徴を,特に抗血栓薬に着目して検討した.2002年7月~2005年11月までに下部消化管出血にて大腸内視鏡検査を実施した332例のうち,大腸憩室出血と診断されたのは32例(9.6%)であった.大腸憩室出血は65歳以上の高齢者が90.6%と大部分を占めた.出血部位は左側結腸78.1%,右側結腸21.9%,出血形態は凝血塊付着81.3%,湧出性出血15.6%,噴出性出血3.1%であった.憩室は多発93.8%,単発6.2%であった.輸血を必要としない軽症は81.3%,内視鏡治療の必要がなかったものが81.3%と大部分を占めた.抗血栓薬の内服率は50%(16/32)と他の下部消化管出血をきたした疾患に比べて高値であった.大腸憩室出血例の半数は抗血栓薬を内服しており,高齢者が大部分を占めることから,大腸憩室を有する高齢者への抗血栓薬投与は出血の主な誘因の一つと考えられた.
  • 井上 健, 金政 秀俊, 井上 香織, 松本 匡史, 牧 和夫, 梶田 芳弘, 光藤 章二, 片岡 慶正, 岡上 武
    2007 年 49 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,女性.2005年8月,健診目的で当院にて上部消化管内視鏡検査を施行した.胃角部から前庭部にかけて鳥肌状胃炎の所見を呈し,胃体下部大彎にIIc類似進行癌を認めた.各種画像検査では転移は認められず,幽門側胃切除術,D2郭清を施行した.腫瘍は低分化腺癌で固有筋層への浸潤を認めたが,リンパ節転移は認められなかった.鳥肌状胃炎に合併した若年者進行胃癌の症例を経験したので報告する.
  • 尾北 賢治, 宮本 心一, 日下 利広, 仲瀬 裕志, 松浦 稔, 水田 和彦, 西尾 彰功, 千葉 勉
    2007 年 49 巻 2 号 p. 190-194
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性.2002年8月頃より,タール便を度々自覚し,貧血を指摘されていた.近医にて上下部内視鏡検査,血管造影,出血シンチなどを数回施行するも出血源は不明であったため,2004年4月16日,当科紹介入院となった.4月19日に一度目のカプセル内視鏡を施行.回腸にvascular ectasiaを認めるも出血源は不明であった.その後4月27日,5月11日とそれぞれ経口的,経肛門的にダブルバルーン内視鏡を施行したが,出血源を確認できず,点墨のみを行い,一旦外来経過観察となった.同年7月7日朝よりタール便を自覚し,当科緊急入院となった.7月8日,二度目のカプセル内視鏡を施行し,前回入院時に施行された点墨より肛門側の回腸に出血点を確認した.その所見をもとに7月13日,経肛門的にダブルバルーン内視鏡を施行し,出血しているvascular ectasiaを同定,内視鏡的止血に成功した.初回ダブルバルーン内視鏡時の点墨はカプセル内視鏡にて容易に同定でき,再出1血時におけるダブルバルーン内視鏡の挿入ルートの決定に有用であると考えられた.
  • 川口 雅彦, 宗本 義則, 斉藤 英夫, 笠原 善郎, 藤澤 克憲, 三井 毅, 浅田 康行, 飯田 善郎, 三浦 将司, 須藤 嘉子
    2007 年 49 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    早期大腸癌に対する内視鏡的摘除術後の再切除基準が定められたが,経過観察せざるを得ない症例に短期間で再発するものがある.症例は肝不全治療中の男性で,S状結腸にIp型早期大腸癌を認め内視鏡的摘除術を行った.腫瘍はsm浸潤を伴う中分化腺癌で断端近傍までの癌浸潤を認めた.経過観察を行うと3カ月後には再発なく,術後15カ月後の検査にて3cm大の2型腫瘍を認め局所再発進行癌と診断された.
  • 田中 浩紀, 石井 卓, 阿久津 典之, 鈴木 隆, 若林 淳一, 篠村 恭久, 今井 浩三
    2007 年 49 巻 2 号 p. 202-206
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    71歳,女性.気管支喘息の既往がある.両下腿浮腫・しびれ・筋力低下が出現し当科受診.好酸球増多を認め,大腸内視鏡検査にて全大腸に浅い不整形潰瘍の多発を認めた.潰瘍からの生検で粘膜固有層に好酸球浸潤を伴う肉芽腫性血管炎を認めアレルギー性肉芽腫性血管炎と診断した.プレドニゾロンの内服により好酸球数,内視鏡所見は改善した.大腸内視鏡下生検はアレルギー性肉芽腫性血管炎の診断に有用である可能性が示唆された.
  • 村上 茂樹
    2007 年 49 巻 2 号 p. 207-211
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は55歳既婚男性.10年前に韓国旅行歴がある.人間ドックでの便潜血反応陽性にて精査目的で来院した.大腸内視鏡検査にて,上行結腸に正常粘膜に被覆され,透明感のある嚢胞性粘膜下腫瘍を認めた.内容液の穿刺吸引液を顕微鏡検査に提出したところ,ランブル鞭毛虫の栄養型が多数認められた.その後腹痛,下痢症状が出現し,検便でも栄養型虫体が検出された.メトロニダゾールによる治療を行い,便検査は陰性化した.しかし,内視鏡再検時に嚢胞の大きさに変化がないため開窓目的に一部を切除すると,再び下痢症状が出現し検便検査も再び陽性となった.再治療を行い,症状は軽快し検便検査は陰性化し,その後再発していない。 検索した範囲では,ランブル鞭毛虫が大腸粘膜下に本例のような存在形態を示したとの報告はなく,本疾患の自然史を考える上でも有益と考え報告する.
  • 山本 紀彦, 西原 政好, 山本 真, 権 五規, 本多 正彦, 辻 慶久, 島田 守, 西脇 安那, 李 喬遠, 阪口 正博, 岡 博史, ...
    2007 年 49 巻 2 号 p. 212-217
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.腹痛にて近医を受診し,急性膵炎と診断され当院に紹介入院となった.CTで胆管内腔と十二指腸内腔に突出した実質陰影を認め,上部消化管内視鏡検査では縦ひだの拡張とVater乳頭部の乳頭状腫瘍を認め,ERCPにて胆管内に増殖した十二指腸乳頭部癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を行った.病理診断では全体が低異型度の高分化管状腺癌であった.胆管内および十二指腸内腔に乳頭状に発育進展した十二指腸乳頭部癌であり若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 高氏 修平, 谷口 雅人, 横田 欽一
    2007 年 49 巻 2 号 p. 218-219
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 佐野 寧, 武藤 学, 吉田 茂昭
    2007 年 49 巻 2 号 p. 220-228
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    本稿では,1999年よりわれわれが開発してきた内視鏡の観察光の分光特性を狭帯域特性へ変更 (短波長側にシフト) することで,病変の視認性や表面微細構造,毛細血管観察の向上を可能にしたNarrow Band Imaging (NBI) systemの大腸内視鏡検査における有用性について述べた. NBI systemの登場により,腫瘍の血管新生にもとづく病変の視認性の向上,毛細血管構築を中心とした従来の内視鏡では観察できなかった微小血管診断学が浮き彫りになってきた (endoscopic microangiology : EMA) . NBIを大腸内視鏡検査に導入することにより,腫瘍/非腫瘍の鑑別に要する色素観察が不要になると共に(Optical chromoendoscopy), Micro-vessel pattern (MVP) 観察により質的/量的診断が瞬時に可能となるだろう.また,NBIをはじめとしInstrument-based chromoendoscopyともいえる新技術の開発に伴って,High-contrast endoscopyといった大きな概念として色素内視鏡はStain-basedとInstrument-basedに分ける必要性が出てくるものと考えられる.
  • 責任者:熊井 浩一郎
    熊井 浩一郎
    2007 年 49 巻 2 号 p. 229-231
    発行日: 2007年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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