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八木 一芳, 中村 厚夫, 関根 厚雄
2007 年 49 巻 5 号 p.
1251-1257
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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胃炎の拡大内視鏡診断は榊の粘膜微細模様による分類が最初の報告である.A(点状),B(短線),C(縞状),D(網状)の4型からなる分類である.Kimらは前庭部の粘膜微細模様による分類を報告している.ピンポイントの腺開口部のtype1,規則的な管状または平坦な顆粒状のtype2,不規則で粗い顆粒状のtype3,絨毛状または乳頭状のtype4の4型からなっている.粘膜微小血管による分類としてはNakagawaらの分類と筆者らの分類(Z-分類)がある.Nakagawaらは集合細静脈の見え方を規則的なRegular (R) pattern,不規則に観察されるIrregular (I) pattern,観察されないObscured(O) patternの3型にわけ,組織学的にSydney systemと対比検討している.筆者らは今回,萎縮粘膜と前庭部粘膜をA分類としてまとめ,正常から炎症,さらに萎縮・腸上皮化生までを網羅したA-B分類を作成した.
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須川 暢一, 小野 博美, 東田 元, Michael A Carron, James Coticchia
2007 年 49 巻 5 号 p.
1258-1264
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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近年細菌感染症の分野において,バイオフィルムの存在が注目されている.通常,細菌は浮遊状態でも生きていけるが,より過酷な環境でも生存していくためには,小集落(マイクロコロニー)を形成し,これが成長や合体を繰り返して,細菌の発育にとって都合の良いマトリックス(バイオフィルム)を形成する.バイオフィルムは生体内の様々な領域の感染症に関与し,薬剤耐性の大きな原因となっている.われわれは最近,ヒト胃粘膜組織内において,ヘリコバクター・ピロリのバイオフィルム形成の存在を,Scannning Electron Microscopy(SEM)を用いて同定した.今後,感染症領域における薬剤耐性の問題を解決していくためには,バイオフィルムに関する研究がさらに重要になると考えられる.本稿では,HPのバイオフィルム形成の発見に至った経緯を交えて,バイオフィルムの概要について総説する.
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木村 好孝, 曽我部 正弘, 居和城 宏, 大喜田 義雄, 日比野 真吾, 和田 久徳, 中本 次郎, 森本 恭史, 佐野 壽昭
2007 年 49 巻 5 号 p.
1265-1272
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は77歳男性.タール便を主訴に来院.同日の上部消化管内視鏡検査で,胃体上部後壁に露出血管を伴う潰瘍性病変を認め保存的に加療した.後日に内視鏡検査再検し,十二指腸下行脚に大きさ15mmの表面に陥凹を有する隆起性病変を認めた.陥凹部の生検により腺癌が強く疑われた.十分なinformed consentの上,EMR法にて一括切除した.病理組織学的検査の結果,十二指腸腺癌,深達度SMであった.切除標本に正常なBrunner腺,Brunner腺の過形成と腺腫,腺癌の所見が併存しており,Brunner腺由来の十二指腸癌が強く示唆され,貴重な症例と考えられた.
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濱田 康彦, 田中 匡介, 小坂 良, 門脇 重憲, 井本 一郎, 豊田 英樹
2007 年 49 巻 5 号 p.
1273-1280
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は67歳と55歳の男性.下部直腸と上部直腸にそれぞれ9mm大と5mm大の黄白色調の粘膜下腫瘍を認め,生検でカルチノイドと診断した.2例とも明らかな転移を認めず,超音波内視鏡検査で腫瘍は粘膜下層までに限局していた.病変を完全に一括切除し深部断端陽性を回避するため,直視下での剥離が可能なHookナイフを用いた内視鏡的粘膜下層剥離術を切除法として選択した.結果,合併症もなく側方断端,深部断端陰性で一括切除が可能であった.
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倉谷 義智, 大西 知子, 水田 洋, 根本 禎久, 横山 雄一, 田村 智, 大西 三朗, 大河内 寿夫, 山崎 一郎, 矢野 哲也
2007 年 49 巻 5 号 p.
1281-1288
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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60歳代男性.1カ月前から頻便を自覚した.注腸X線検査にて,下部直腸は全周性に狭窄し,大腸内視鏡検査では,発赤した粘膜面が浮腫状に隆起していた.CT,MRIにて下部直腸は全周性に肥厚しており,前立腺との境界が不明瞭であった.PSAも高値であり,直腸および前立腺の生検組織診の結果,前立腺癌の直腸浸潤と診断した.人工肛門を造設の後,ホルモン療法を施行し8カ月には内視鏡上狭窄は認めず,CT上腫瘍は縮小しPSAも正常化している.
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小沢 俊文, 渡辺 秀紀, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 海上 雅光
2007 年 49 巻 5 号 p.
1289-1296
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は81歳女性.既往に糖尿病と脳梗塞があり長期臥床状態であり,関節リウマチのためプレドニゾロンを5mg/日内服中であった.急な下痢,血便があり意識レベル200,ショック状態となり緊急入院した.画像診断で門脈ガス血症(HPVG)を認め,著明な代謝性アシドーシスと播種性血管内凝固症候群を合併した.当初は回腸の非閉塞性腸間膜虚血と考え,抗ショック療法を含む保存的治療にて軽快した.第27病日の小腸内視鏡検査では回腸末端の小びらんと,上部直腸からS状結腸にかけて縦走・深掘れ・地図状潰瘍や偽膜様びらんなど多彩な所見を認めた.生検で核内封入体を伴う巨細胞を認め,血中サイトメガロウイルス(CMV)antigenemiaが陽性でありCMV腸炎と診断した.Ganci-clovir投与後より発熱や炎症反応および潰瘍は急速に改善した.
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松田 泰徳, 山極 洋子, 上野 義之, 嘉数 英二, 守時 由紀, 近藤 泰輝, 三上 恵美子, 長崎 太, 福島 耕治, 菅野 記豊, ...
2007 年 49 巻 5 号 p.
1297-1302
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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45歳男性.検診の腹部超音波検査で肝形態の異常を指摘された.腹部CT検査より肝硬変が疑われたが,血液検査上肝硬変や背景肝疾患を示唆する所見は認められなかった.精査目的に腹腔鏡検査を施行したところ,肝表面に結節形成は認められず,肝硬変は否定的であった.肝は切痕により区切られた8葉以上の分葉化が両葉に認められ,肝分葉異常と診断された.複数に分葉化した肝分葉異常は,超音波検査やCTなどの画像診断による肝硬変との鑑別が困難であり,確定診断には腹腔鏡検査が有用であると考えられた.
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桑谷 将城, 河上 洋, 小野寺 学, 平野 聡, 近藤 哲, 伊藤 智雄, 腰山 達美, 河上 彩恵, 浅香 正博
2007 年 49 巻 5 号 p.
1303-1309
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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症例は70歳,女性.膵頭部腫瘤の精査目的に当科を受診.腹部USでは径23×16mm大の低エコー性腫瘤で,CTでは強く造影される境界明瞭な類円形病変であった.EUSでは内部に高エコーを伴う低エコー性腫瘤であった.以上より膵内分泌腫瘍と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には膵漿液性嚢胞腺腫solid-vari-ant typeであり,鑑別診断として本疾患を念頭におく必要があった.
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宮里 賢, 宿輪 三郎, 磯本 一, 浅田 由樹, 岡本 健太, 中村 貴, 福田 英一郎, 伊東 正博, 西山 仁, 大仁田 賢, 大場 ...
2007 年 49 巻 5 号 p.
1310-1315
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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われわれは従来の小腸内視鏡に先端フードを装着することでpull式(牽引法)による挿入が可能となることに着目し,今回小腸出血の治療に応用した.症例は61歳と62歳の女性で,小腸出血に対して前述した方法を用いた結果,短時間で内視鏡的に焼灼術を施行し,止血が可能であった.
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進士 明宏, 武川 建二, 中村 智次
2007 年 49 巻 5 号 p.
1316-1317
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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辰巳 嘉英, 原田 明子, 谷 知子
2007 年 49 巻 5 号 p.
1318-1319
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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有馬 美和子, 有馬 秀明, 多田 正弘
2007 年 49 巻 5 号 p.
1320-1329
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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ヨード染色は主に食道表在癌の拾い上げ,病変の領域性や範囲を確認する目的で行う.ヨード染色を施した健常食道粘膜は,小さな白点状の乳頭パターンが集合して成り立っている.ヨード染色の色調変化は,ヨードに反応する有棘細胞層の厚さや障害の程度などを反映する.逆流性食道炎の白濁肥厚部はヨードに濃染し,発赤而は乳頭構造の名残を残す不染になる.癌を示唆する不染の特徴は,領域を有すること,辺縁の形態が不整形で,不染内部に大小様々で形態が不揃いな正染域を有することが挙げられる.異常血管が密に集合し,表層近傍まで増生するため,ヨードが槌めてくると周辺より発赤が目立って観察されるpink color sign(PC sign)が陽性となることが多い.炎症でも乳頭内血管の増生が生じることからPC sign陽性となり,慢性的に炎症を繰り返している部分では癌との鑑別が難しい場合がある.基底層型の上皮内癌は境界不鮮明な淡染を示し,血管増生が乏しいためPCsignを示さないことも多い.乳頭構造の大小不同があること,境界不明瞭ではあるが領域の形成があることが鑑別点として挙げられる.良悪性の鑑別には,ヨード染色態度と微細血管像の両面から診断する必要がある.
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責任者:田中 雅夫
清水 周次, 矢田 親一朗, 三島 博之, 田中 雅夫
2007 年 49 巻 5 号 p.
1330-1333
発行日: 2007年
公開日: 2024/01/29
ジャーナル
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日山 亨, 田中 信治, 吉原 正治, 茶山 一彰
2007 年 49 巻 5 号 p.
1334-1338
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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2007 年 49 巻 5 号 p.
1340
発行日: 2007/05/20
公開日: 2011/05/09
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