日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
49 巻, 6 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 太川 正之, 甲斐 成一郎, 北野 正剛
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1395-1401
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     わが国においても成入における肥満人口が増加しており,内科的治療が無効な肥満症に対する内視鏡的治療の必要性が高まっている.現在,欧米を中心に内視鏡的治療として,内視鏡的胃内バルーン留置術と腹腔鏡下肥満外科手術が急速に普及しつつある.内視鏡的胃内バルーン留置術はその安全性が確立され,6カ月間で12-15kgの減量により,糖尿病をはじめとする肥満関連健康障害の高率な改善をもたらす.一方,腹腔鏡下調節性胃バンディング術は,より確実で長期にわたる減量と肥満関連健康障害の改善が報告されている.わが国における肥満症に対する内視鏡的治療の安全な普及には,肥満専門内科医と綿密な連携を取ることが重要である.
  • 宮岡 正明, 阿部 公紀, 尾形 高士
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1402-1412
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管内視鏡検査は経口挿入(経口法)が一般的に行われてきたが,咽頭・喉頭部の違和感や嘔吐反射の出現などの理由から,検査を受けることに消極的な人も多い.経鼻挿入による内視鏡検査(経鼻法)は挿入率が高いうえ,嘔気・嘔吐が少なく,これらの問題点をある程度克服したと言えるが,鼻腔の疼痛や鼻出血の出現など不利益な面も存在している.しかし,鼻腔の疼痛は軽いものが多く,鼻出血の頻度は低率であるのに加え,その量も少なく,経鼻法は安全で有用な検査法になり得ると考えられる.現時点における経鼻法の位置づけは鉗子口が狭いため生検鉗子は使用できるものの治療に必要な処置具は使用出来ず診断に限られる.今後,経鼻法は胃がん検診や人間ドックへの導入のほか,イレウスチューブ挿入や胃瘻造設,内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissec-tion;ESD)治療などの補助など,幅広い臨床応用が期待される.
  • 瀬戸 山博子, 多田 修治, 上原 正義, 采田 憲明, 浦田 淳資, 八板 弘樹, 庄野 孝, 吉田 健一, 江口 洋之, 藤本 貴久, ...
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1413-1418
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     短期間に増大変化した胃内分泌細胞癌の2例を経験したので,自験例を含めた本邦での胃内分泌細胞癌100例の集計と併せて報告する.症例1は76歳,男性.食道胃接合部に2カ月で5mmから20mmへと増大した隆起性病変を認めた.症例2は75歳,男性.胃前庭部の小びらんが9カ月後に18×17mm大のIIa+IIc病変へと変化した.2症例とも最終病理診断は内分泌細胞癌であった.胃内分泌細胞癌は予後が極めて不良な腫瘍とされているが,その術前診断は極めて難しい.本疾患は自験例も含めて,急速に増大することが多く,本疾患が疑われる場合,生検組織標本の免疫組織化学的染色を行い本疾患の診断を確定することが重要であると考えられた.
  • 岩崎 洋, 大杉 治司, 竹村 雅至, 李 栄柱, 西川 隆之, 福原 研一朗, 首藤 太一, 久保 正二, 木下 博明
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1419-1424
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は51歳,女性.46歳で腹膜偽粘液腫と診断され,開腹下粘液除去と抗癌剤投与が行われた.51歳時に腹痛と嘔吐が出現,消化管造影で胃前庭部狭窄を認めた.内視鏡では粘膜に腫瘍の浸潤はなく,腹部CTでは肛門側での通過障害はなかった.以上より,ステント留置による通過障害の解除を試みた.ステント留置後,7年生存・経口摂取が可能であった.腹膜偽粘液腫による消化管狭窄に対してステント留置は長期にわたり有用であった.
  • 中原 伸, 岩切 龍一, 雨森 貞浩, 坂田 資尚, 大谷 顕史, 緒方 伸一, 綱田 誠司, 水口 昌伸, 中房 祐司, 宮崎 耕治, 藤 ...
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1425-1432
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は32歳女性.平成3年(21歳時)に全大腸型潰瘍性大腸炎と診断され,寛解と増悪を繰り返し,平成13年7月に大腸全摘術を施行した.平成14年6月より全身倦怠感が出現,7月より嘔気が続き入院.上部消化管内視鏡検査・X線造影検査で十二指腸にびまん性に微小潰瘍を認め,病理組織学的所見で陰窩膿瘍様所見を認めたことから潰瘍性大腸炎の十二指腸病変と診断した.ステロイド内服療法と白血球除去療法の併用療法で著明な改善を認めた.本症例は潰瘍性大腸炎の十二指腸病変に対し,ステロイドと白血球除去療法の併用療法を初めて施行した症例と考えられたので報告する.
  • 安居 利晃, 尾山 勝信, 中野 達夫
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1433-1439
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     80歳男性.大量下血を主訴に来院.大腸内視鏡上,下部直腸の小隆起様病変より出血を認め,クリップで止血した.下腸間膜動脈造影にて上直腸動脈左枝を流入血管とする直腸動静脈奇形(AVM)を認め,塞栓術を施行した.しかし,塞栓術10日目に再発した.上直腸動脈右枝・右中直腸動脈を流入血管とするnidusの一部が残存しており,再度塞栓術を施行した.術後,再発を認めていないが,今後も慎重な経過観察が必要と考えている.
  • 西俣 伸亮, 関 剛彦, 平井 郁仁, 宗 祐人, 松井 敏幸, 太田 敦子, 池田 圭祐, 岩下 明徳, 眞武 弘明
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1440-1445
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は61歳の男性.左側腹部痛,両下腿の紫斑が出現しHenoch-Schbnlein紫斑病が疑われ,第22病日当科入院.第29病日に経肛門的にダブルバルーン小腸内視鏡を施行したところ,中部回腸に発赤,hemorrhagic blebと呼ばれる血豆様の所見,横走する潰瘍等を認め,HSPの小腸病変と考えられた.今回,観察した回腸では,従来報告されている十二指腸病変の内視鏡所見と類似した所見を認めた.ダブルバルーン小腸内視鏡は本疾患における小腸病変に対し有用と考えられた.
  • 佐野 弘治, 池田 宜史, 池田 雄一郎, 中井 隆志, 上田 渉, 青木 哲哉, 川崎 靖子, 木岡 清英, 岡 博子, 大川 清孝
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1446-1451
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は,61歳,男性.急性膵炎で前医にて入院治療されたが,退院後心窩部に異和感が出現し,当科を受診した.内視鏡では,胃角部小彎と十二指腸球部前壁から黄白色の液体の流出がみられた.腹部造影CTでは,膵周囲に不整なcavityが多発し,内部に空気がみられるものもあり,胃・十二指腸に瘻孔を合併した膵膿瘍と診断した.膿瘍は大小不同で多発していたためドレナージを行わず,長期の保存的治療で軽快した.
  • 上里 昌也, 佐藤 治夫, 服部 祐爾
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1452-1453
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 浅田 由樹, 武藤 学, 佐野 寧, 斉藤 大三, 田尻 久雄, 吉田 茂昭
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1454-1463
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     狭帯域フィルター内視鏡(Narrow band imaging:NBI)の登場により,微細1血管構造観察による内視鏡診断という新しい診断学が生まれた.食道扁平上皮癌の診断においては,ヨード色素内視鏡による不染域の出現のほかに上皮乳頭内ループ状毛細血管(intra-epithelial papillary capillary loop;IPCL)の形態変化が重要とされてきたが,このIPCLは従来の白色光観察と比較し,NBI拡大観察によりはるかに明瞭かつ容易に認識できるようになった.また,食道扁平上皮癌は,NBI観察で境界明瞭な茶褐色の領域(brownish area)として視認される。この領域に対し拡大観察を併用することで異型血管像,すなわちIPCLの形態変化を捉えることができる.今後,刺激の強いヨード色素内視鏡に代わる新しい診断技術として,NBIが広く普及していくと予測されるが,内視鏡医はその利点と限界を十分に理解する必要がある.本稿では,NBIを用いた食道における内視鏡観察についてこれまでに明らかにされたことをもとに解説し,具体的な症例を呈示する.
  • 責任者:阿部 孝
    阿部 孝
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1464-1467
    発行日: 2007年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 折居 正之, 遠藤 昌樹, 久多良 徳彦, 小穴 修平, 斉藤 慎二, 千葉 俊美, 鈴木 一幸, 井上 正弘
    2007 年 49 巻 6 号 p. 1468-1472
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 2007 年 49 巻 6 号 p. 1477-1479
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top