日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
49 巻, 8 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 平田 信人, 中路 聡, 園山 隆之, 串田 誉名
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1785-1797
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的乳頭切開術後(EST)の偶発症につき文献的考察をおこなった.EST4時間後のアミラーゼ上昇が正常上限の5倍以上を示した症例から膵炎が発症しており発症率は0.7~5.4%であった.多変量解析による膵炎発症因子はカニュレーション困難による頻回の膵管造影,年間の症例数が少ない施設,乳頭括約筋機能不全,5mm以下の細い胆管,女性,プレカットなどが挙がっていた.膵管ステントによる発症予防は有効であるとの報告が多く認められた.臨床的な出血の頻度は0.45%~2.5%でありESTの2~3日後に多かった.出1血の因子はプロトロンビン時間の延長,EST時の出血,年間の症例数が少ない施設,プレカットなどが挙げられていた.止血には高張ナトリウム・エピネフリン液を用いている報告が多かった.熱凝固やクリップを用いる際には膵管口を塞がないよう注意する必要がある.穿孔は0.3~1.2%であった.穿孔の因子はプレカット,ビルロート・法などが挙げられていた.EST後のCTでは29%に後腹膜気腫が認められるが無症状の場合には治療が不要である.乳頭近傍の微小穿孔の場合には経鼻胆道ドレナージを併用した内科的治療のみで軽快することがあるが自由腸管壁の穿孔では手術が必要となる.
  • ―医療情報分野の動向を踏まえて―
    横井 英人, 藤野 雅之
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1798-1805
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     電子カルテの普及が始まり,消化器内視鏡画像や所見の電子化も進んでいる.しかし,システムの相互接続性や情報の二次利用性についてはまだ満足すべき状況ではない.それは情報システムの標準化が十分でないからである.とはいえ,これまで多くの努力がなされてきており,その中には先見性に秀でたものもあった.本稿では,消化器内視鏡分野に関連する標準化活動について種.々の面からその動向を探り,これからどう進みうるのか,またどう進むべきなのかを述べたい.
  • 吉田 直久, 若林 直樹, 長谷川 大祐, 奥田 隆史, 奥田 孝太郎, 安田 洋二, 坂井 みき, 森田 聖, 小西 英幸, 福光 眞二, ...
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1806-1814
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     (目的)拡大内視鏡でV1pitを示す大腸腫瘍は,種々の病理組織像を示し,その治療方針決定において困難な場合がある.今回われわれは,V1pitにみられる不整所見を分類し,スコア化を用い病理組織所見との対応を解析した.(方法)当院で2002年1月より2005年9月に拡大内視鏡観察を施行し,病理組織学的検討が可能であった大腸腫瘍130病変(腺腫73病変,m-sm<1000μm癌35病変,sm≥1000μm癌22病変)を対象とした.pitの腺口不整,大小不同,配列の乱れ,不明瞭な始点終点,複数の分岐を不整所見と定義し,有意差を認めた所見を用いてpitスコアを算出し,病理組織所見との対応を検討した.(結果)腺口不整,大小不同,配列の乱れ,不明瞭な始点終点が,癌症例で有意に多く認められた.pitスコアは,腺腫,m-sm<1000μm癌,sm≥1000μm癌の順に有意に高くなった.(結語)pitスコアは,病理組織と相関し,大腸腫瘍の治療方針決定に有用であった.
  • 佐原 稚基, 谷口 勝俊, 辻 毅, 落合 実, 大西 博信, 木下 博之
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1815-1820
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は82歳男性で,突然の胸痛にて救急受診となり,特徴的な画像所見から特発性食道破裂と診断した.治療は経腹的アプローチ手術を選択し,術中上部消化管内視鏡によって穿孔部を確認した後に,内視鏡的クリッピング閉鎖を施行した.われわれの文献的集計では,特発性食道破裂に対する内視鏡的クリッピング治療の報告はなかった.本例のような重症例にも,術中内視鏡的診断と治療の併用により,低侵襲で安全に手術を行えた.
  • 鹿田 久治, 金子 政彦, 寺岡 裕貴, 市川 幹郎, 中西 護
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1821-1826
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     rituximab併用化学療法が奏効した胃原発DLBCL (Diffuse large B-cell lymphoma)の4例を経験した.4例とも出血,穿孔などの重篤な合併症はなくcomplete remission(以下CR)を維持している.胃原発DLBCLに対して非手術療法で手術療法と同等の治療成績が得られるという報告が増えてきており,rituximab併用化学療法は胃のDLBCLに対しても治療選択の一つとなる可能がある.
  • 二村 浩史, 高山 澄夫, 堤 純, 青木 照明, 池上 雅博, 矢永 勝彦
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1827-1831
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃小細胞癌は予後不良だが,経過観察の報告はない.急速に増大し形態変化とともに肝転移,癌性腹膜炎を来した胃小細胞癌例を報告する.症例は77歳男性.吐血を主訴に内視鏡にて粘膜下腫瘍様2型胃癌を認めた.生検にて小細胞癌であった.手術拒否のため経過観察となった.7週間後腫瘍は増大し,周堤自壊し1+3型巨大胃癌となった.腹部CTおよび超音波検査にて肝転移,癌性腹膜炎を認め,癌性胸膜炎による呼吸不全にて死亡した.
  • 中屋 照雄, 東納 重隆, 青野 茂昭, 徳永 徹二, 小針 伸一, 眞方 良彦, 長谷 和生, 白濱 龍興
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1832-1838
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道扁平上皮癌の小腸転移により腸閉塞症を来した1例を経験した。症例は44歳男性.嚥下困難を主訴に諸検査行い,頸部及び胸部上部食道癌T3N4M0 Stage IVaの診断で,放射線化学療法を実施した.治療後の腹部CTにて腹腔内腫瘤を認め,その約1カ月後に腸閉塞症状が出現し保存的治療を行うも改善せず手術を施行した.切除標本の病理所見にて食道癌空腸転移と診断した.食道癌の小腸転移は極めてまれであり,文献的考察を加え報告する.
  • 福本 顕史, 宮谷 博幸, 吉田 行雄, 牛丸 信也, 工藤 康孝, 本田 英明, 澤田 幸久, 宇賀神 卓広, 中島 嘉之, 鷺原 規喜
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1839-1843
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は64歳の女性.生体肝移植後の肝内結石症により胆管炎を繰り返していたが,通常内視鏡では到達困難である胆管空腸吻合部に,ダブルバルーン小腸内視鏡を用いて経口的に到達可能であった.EBDを留置することでその後胆管炎の再発は認めていない.ダブルバルーン小腸内視鏡は,生体肝移植症例が増加してきている今日,同様の症例に対する検査・治療に大きく貢献できることが期待された.
  • 坂本 洋城, 北野 雅之, 末冨 洋一郎, 汐見 幹夫, 小牧 孝充, 野田 佳寿, 辰巳 千栄, 上嶋 一臣, 工藤 正俊
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1844-1847
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は64歳,女性.乳癌手術後腹部リンパ節転移による閉塞性黄疸に対し,経乳頭的ドレナージ術を試みたが,十二指腸下行部が高度に狭窄しており困難であった.そこで,超音波内視鏡ガイド下に十二指腸球部よりニードルナイフを用いて穿刺し,胆管ステントを留置したところ黄疸は速やかに改善された.超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ術は減黄術の有効な手段の一つになると考えられたので報告した.
  • 森 昭裕, 大橋 憲嗣, 浅野 剛之, 丸山 貴子, 伏見 宣俊, 三宅 直子, 井上 洋, 奥野 正隆
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1848-1853
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy : PEG)における新しい胃壁固定法(カテラン針固定法)を考案するとともに,従来法である鮒田式固定法と比較検討した. 【方法】カテラン針固定法は,カテラン針2本とナイロン糸を用い,内視鏡観察下に胃壁と腹壁を結紮固定する方法である.手技の難易度を検討する目的で,カテラン針固定法と鮒田式固定法の施行時問を比較した. 【結果】50例にカテラン針固定法を行い,偶発症は見られなかった.固定時間中央値は,カテラン針固定法360秒(n=39),鮒田式固定法247秒(n=28)で,鮒田式固定法が有意に短かった.しかし,初心者による鮒田式固定法は380秒(n=14)であり,カテラン針固定法と有意な差は見られなかった. 【結論】カテラン針固定法は,1)安全で特殊な器具や手技を必要とせず,容易に施行できること,2)従来法と比べ低コストであることから,有用性の高い手技と考えられた.
  • 野村 栄樹, 高木 承, 木内 喜孝
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1854-1855
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • ―被験者による鼻腔選択・拡張と超音波ネブライザーの併用法について―
    佐野 明江, 伊藤 康文
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1856-1857
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 泉 並木
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1858-1865
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     肝細胞癌(hepatocellular carcinoma; HCC)のうち腫瘍径3cmかつ3カ所以下の例に対してラジオ波焼灼(radiofrequency ablation; RFA)が内科的第一選択治療となってきている.多くの症例は経皮的に施行されるが,肝表面近傍や腸管・胆嚢に接する部位では経皮的治療が困難である.腹腔鏡を用いた治療では,経皮的治療が困難なHCCに対して,安全で確実な治療が行える.腹腔鏡用超音波を用いることが原則として必要であり,超音波の描出面と穿刺方向が一致したRFA用プローべが作成され実用化されている.腹腔鏡を行う際に安全に挿入できるメッシュを用いたトラカールを使用して,超音波腹腔鏡を併用すればHCCに対して安全かつ確実な治療が行える.RFAの通電状況や止血を肉眼で確認できるという内視鏡治療の利点が大きく,リスクが高い部位に存在するHCCに対してきわめて有用な治療法と考えられる.HCCの局在に応じた治療法を選択すべきである.
  • 責任者:坂上 隆
    坂上 隆
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1866-1868
    発行日: 2007年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 加藤 元嗣
    2007 年 49 巻 8 号 p. 1869-1872
    発行日: 2007/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top