日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
49 巻, 9 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 三木 一正
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2451-2461
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ペプシノゲン(PG)法の精度や胃がん死亡率減少効果の研究を行ってきた.これまでの研究成果をふまえ,胃がん対策としての総合的な経済学的評価を行った上で,胃がんスクリーニングのハイリスクストラテジーによる経済的でかつ胃がん死亡減少をもたらすマネージメント方法を提案した.方法および結果;(1)PG法による胃がん検診実施地域の資料をもとに,観察的手法である症例・対照研究(13年間遡及)で,PG法単独による胃がん死亡率減少効果を確認できた.(2)PG法,X線法(DR)併用胃がん検診を行い,PG法とX線法の精度および費用対効果の検討で,PG法の精度は直接X線法とはほぼ同等であること,およびPG法とX線検査を組み合わせる検診方法の合理性・有用性が示された.(3)Helicobacter pylori(Hp)抗体価・PG法併用胃がん検診(健常人男性10年間追跡)での年率胃がん発生数およびハザード比の検討で,Hp感染のない群(A群:Hp(-),PG(-))から胃がん発生が10年間みられず,A群を低リスク群として胃がん検診対象から外し,萎縮性胃炎合併症群(B,C,D群)を選択的にスクリーニングする胃がん検診の合理性が示された.また,B群:Hp(+),PG(-),C群:Hp(+),PG(+),D群:Hp(-),PG(+)(胃がん発生リスク)別の最適な検診間隔は,研究班での検討結果からそれぞれA群で5年,B群で3年,C群で2年,D群で1年に1回が妥当と考えられた.今後は,このHp・PG併用胃がん検診(ABCD検:診)を全国的に推進・普及させることで,胃がん検診の効率化がなされ,経済的でかつ胃がん死亡減少をもたらす胃がん検診となることが強く期待される.結論;胃がん対策として推奨する胃がん検診方式は,「一次スクリーニングはHp抗体測定とPG法で行い,二次スクリーニングは内視鏡(極細径や経鼻)検査」である.
  • 小林 清典, 小川 大志, 春木 聡美, 横山 薫, 佐田 美和, 勝又 伴栄, 西元寺 克禮
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2462-2473
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸粘膜下腫瘍は表面が非腫瘍粘膜で覆われているため,内視鏡所見のみから確定診断することは難しい.しかし疾患によって,病変部位や病変数,色調,表面性状,硬さなどに特徴がみられる.さらにカルチノイド腫瘍や悪性リンパ腫などは,生検により確定診断が可能な場合が多い.通常内視鏡診断に加z,超音波内視鏡で走査すると腫瘍の垂直 断層像が得られ,大腸壁での腫瘍の局在部位や内部エコーの性状などから疾患を推察することが可能になる.とくに脂肪腫やリンパ管腫は,特徴的な超音波内視鏡所見が得られる.また肛門近傍のgastrointestinalstromaltumorや転移性癌などは,超音波内視鏡下穿刺法により組織学的診断を得ることが可能である.大腸粘膜下腫瘍の内視鏡診断においては,疾患に特徴的な通常内視鏡所見や超音波内視鏡所見を把握することが,質的診断のみならず内視鏡的摘除を含めた治療法を決定するうえで必要である.
  • 飯沼 元, 三宅 基隆, 森本 毅, 荒井 保明, 松田 尚久, 斉藤 豊, 斉藤 大三, 神津 隆弘, 村松 幸雄, 森山 紀之
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2474-2485
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     マルチスライスCTによりCT検査は大きな進歩を遂げ,革命的なCT検査の効率化と画質の改善が達成された.その優れた画像データに基づく各種臓器の三次元表示は高精細化し,仮想内視鏡(virtual endoscopy)として消化管診断への応用が研究されるようになった.欧米では仮想内視鏡を含む大腸のCT三次元表示をCT colonographyと総称し,大腸がんスクリーニングに応用する動きが活発化している.術者の技量に大きく依存する内視鏡検査と比較し,消化管CT三次元診断は安全かつ簡便に実施可能であり,さらに診断画像に客観性・再現性があるため新たな検査法としての標準化が大きく期待される.またデジタルCT画像データを活用したコンピュータ支援検出やデジタル前処置の開発が進み,大腸ポリープの検出において具体的なシステムの開発が進んでいる.今後の更なるCT技術と画像処理法の進歩により,消化管診断において仮想内視鏡を主とした消化管CT三次元診断は確実に大きな地位を築くと考えられる.
  • 多田 俊史, 瀧本 和雄
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2486-2491
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)後の予後からみた消化管使用の重要性につき検討を行った.【方法】当院でPEGが施行された74例を,生存退院63例と死亡退院11例に群別した.この2群において,入院後PEGまでの期間,血清アルブミンと末梢血総リンパ球数,鼻腔もしくは咽頭培養でMRSA保菌の有無,PEG前の輸液と消化管使用の有無,消化管未使用の期間,PEG後経腸栄養開始までの期間と導入の可否につき比較検討した.【結果】生存群と比較して,死亡群において有意に消化管未使用の患者が多く(p<0.01),消化管未使用の期間が長かった(p<0.05).またPEG後,経腸栄養の導入が不可能な患者が死亡群に有意に多く認められた(p<0.0l).その他の検討項目には特に有意差は認められなかった.【結論】予後を向上させるためには,摂食・嚥下障害などでPEGが必要な場合でも,経腸栄養をできるだけ早期より行うことにより消化管未使用期間を短くし,PEG前より積極的に消化管を使用することが重要である.
  • 唐澤 学洋, 神谷 和則, 唐澤 洋一, 三代川 斉之, 熊谷 一秀
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2492-2497
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     微小食道sm扁平.ヒ皮癌の一例を経験した.症例は63歳,男性.2002年6月通常の内視鏡機器による観察では切歯より33cmの中部食道の小発赤を認めmild dysplasiaの生検病理診断であった.2003年10月,同病変部中心は発赤し表面が微かに陥凹しているように見え,病変部周辺において,白色の小隆起が認められた.より改良された内視鏡機器による観察では,色彩と小血管網の微細な変化が鮮明に認められた.生検病理組織診断は扁平上皮癌とされ,内視鏡的粘膜切除術を行った.病理組織学的所見は,中心部に粘膜欠損部があり,癌の浸潤はMuscularisMucosae(MM)を破壊し,粘膜下層に達しsm 1浸潤癌であった.病理組織ヒの大きさは約4mmであった.微小食道sm扁平上皮癌はごく稀であり,報告した.
  • 福田 直子, 小田 修治, 辻上 孝司, 手束 一博, 伊勢 昌弘, 小国 孝, 中村 宗夫
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2498-2503
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     72歳女性,胃集検にて要精検となり内視鏡検査を施行.胃体上部後壁に中心陥凹を有する14mm大の粘膜下腫瘍を認めた.生検にてgroupIII であったため,診断的EMRを行った.病理組織所見は粘膜下に存在する高分化型腺癌で,粘液の貯留を認めた.粘膜内には癌組織を認めず,粘膜下の異所性胃腺管を伴っており,異所性胃腺管より発生した胃癌と考えた.このような症例は本症例を含めて9例の報告があり,いくつかの共通点がみられた.
  • 菅 隼人, 古川 清憲, 鈴木 英之, 飯田 信也, 鶴田 宏之, 松本 智司, 秋谷 行宏, 進士 誠一, 松田 明久, 寺西 宣央, 佐 ...
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2504-2510
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     65歳の男性直腸癌患者に対し低位前方切除術を施行し,切除標本の病理検査で粘膜下層に石灰化を伴った日本住血吸虫の虫卵を認めた症例を経験した.術前に肝内門脈に1~2mmの石灰化病変を認め,病理結果と合せ虫卵である可能性も考え術後に駆虫剤を投与した.術後5カ月の内視鏡下生検で下部直腸に石灰化した虫卵が遺残していたが,CTでは門脈内の石灰化病変が消失していた.本邦報告例を含めた文献的な考察も加え報告する.
  • 藤澤 貴史, 上山 茂充, 大内 佐智子, 森 要之, 内古 閑修, 小柳 真希, 平野 博嗣
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2511-2516
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は87歳の女性で,血便を主訴に近医を受診し,肛門ポリープを指摘された.大腸内視鏡検査時,ポリープは肛門から脱出しており,スコープの反転操作での観察では大きさ約2cmの可動性.良好な有茎性ポリープで,表面黒色調でびらん,発赤を伴い,白苔も付着していた.以上の内視鏡所見より直腸肛門部悪性黒色腫と診断し,経肛門的ポリープ切除術を施行した.病理組織学的には腫瘍細胞は腺管を形成することなく充実性に増殖し,メラニン色素を含有しており,S-100蛋白・HMB45染色陽性で悪性黒色腫と確定診断した.腫瘍は粘膜内に限局しており,またKITも陽性であった.粘膜内に限局した直腸肛門部悪性黒色腫は本邦4例目である.
  • 久保 恭仁, 有廣 誠二, 二上 敏樹, 瀬嵐 康之, 熊谷 正広, 竿代 丈夫, 田尻 久雄
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2517-2522
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性.2カ月間隔で3回急性膵炎を繰り返したが,原因は不明であった.3回目の発症時に腹部超音波検査とMRCPで総:胆管内に索状構造物を認めており,ERCPを行い摘出した.これは生きている雌成虫であった.その後1年以上経過しているが膵炎の再発は無く,摘出された回虫が膵炎の原因と考えられた.繰り返す膵炎の原因として回虫症も念頭におく必要があると思われた.
  • 平山 敦, 宮川 宏之, 須賀 俊博, 長川 達哉, 阿部 環, 岡村 圭也, 及川 央人, 大橋 広和, 安保 智典, 長谷 川貴, 野村 ...
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2523-2530
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年,悪性十二指腸狭窄に対するself-expandable metallic stent(SEMS)治療の有用性が報告されているが,ステント挿入困難例と合併症が問題となっている.われわれは以前ロングオーバーチューブガイド法により,挿入手技時間の著明な短縮と合併症の減少を報告したが,十二指腸球部浸潤狭窄例,十二指腸上行部以深の狭窄例などでは挿入困難がみられた.今回,ロングオーバーチューブ(住友べ一クライト社製)と食道用拡張バルーン(Boston scientific社製)を併用した(ロングオーバーチューブ・バルーン併用法)挿入法を考案し,これらの挿入困難例においても挿入が可能となったので報告する。
  • 渡辺 文利, 丸山 保彦, 景岡 正信, 文岩 浩崇, 大畠 昭彦, 岡崎 貴宏, 野田 裕児, 三輪 一太, 池谷 賢太郎
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2531-2535
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【目的】胆管深部挿管困難例において膵管ステント留置needle knife precut papi1- lotomy (NKPP)の有効性と安全性を検討した.【対象と方法】当院で2001年1月から2006年10月まで,ERCPにて胆管深部挿管必要であった例は682例で,うち72例が胆管深部挿管困難であった.そのうち膵管ステント併用NKPPにての胆管深部挿管を62例に試みた.【結果】膵管ステント留置NKPP後の胆管深部挿管成功率は94%であった.偶発症は術後膵炎を3.2%に認めた.【結語】胆管深部挿管困難例において膵管ステント留置NKPPは安全で有効と考えられた.
  • 野中 康一, 西村 誠, 北田 英貴
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2536-2537
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 須田 浩晃, 伊藤 紗代, 前谷 容
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2538-2539
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 足立 経一, 古田 賢司, 木下 芳一
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2540-2549
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道裂孔ヘルニアの診断には,X線検査,食道内圧検査,内視鏡検査が行われている.滑脱型ヘルニアは,食道裂孔ヘルニアの中で最も頻度が高く逆流性食道炎の合併率も高い.滑脱型ヘルニアの存在,大きさを内視鏡的に行うのには幕内分類,星原分類が有用であるが,正確に分類を行うためには胃食道接合部を同定することが必須である.そのためには,下部食道の柵状血管,胃粘膜ひだを送気量などの条件を変えて観察を行い,下部食道に高頻度にみられるパレット上皮と胃食道接合部を識別する必要がある.
  • 責任者:道尭 浩二郎
    道尭 浩二郎
    2007 年 49 巻 9 号 p. 2550-2553
    発行日: 2007年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 2007 年 49 巻 9 号 p. 2559-2561
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top