NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)の現状と将来性を評価するために,これまでの基礎研究と臨床報告をレビューした.短期間で急速に研究が進み,NOTESは動物実験レベルで卵管結紮術,胆嚢摘出術,脾臓摘出術,腎臓摘出術,腸管切除術,胃空腸吻合術,縦隔・胸腔内観察などが行われ,さまざまな治療・手術手技に応用可能であることが示されている.そして,経胃的あるいは経膣的虫垂切除術や胆嚢摘出術などの臨床導入も始まった. しかし,既存の手術手技と比べての有用性・低侵襲性の評価を含めて,感染予防,安全な体腔内へのアクセス,確実な内視鏡用縫合機器の開発,術中偶発症への対処など克服すべき課題も多い.これらの課題解決へ向けた取り組みや新しい技術・機器開発は従来の内視鏡治療や内視鏡外科手術の発展にも寄与する.創を作らない新しい低侵襲治療手技であるNOTESの確立に向けて,今後の研究の進展が注目される.
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