日本消化器内視鏡学会雑誌
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50 巻, 11 号
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  • 西元寺 克禮
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2805-2815
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     早期胃癌の内視鏡診断は既に確立されているが,内視鏡的切除術(EMR,ESD)の普及で,更に詳細な診断が望まれている.浸潤範囲診断:早期胃癌の浸潤範囲は癌巣と正常粘膜面の高低の差,辺縁の浸潤像,癌巣の陥凹と色調変化で診断する.インジゴカルミンを用いるコントラスト法が有効であるが,拡大内視鏡,NBIが有用とする報告がある.微細血管網では分化型癌ではfine network pattern,低分化型癌ではcork screw patternが認められる.深達度診断:X線,内視鏡,超音波内視鏡等の検査を併せて判断する.内視鏡治療の適応は粘膜層までの浸潤例であるが,粘膜下層浅層(SMI)まで拡げることが可能である.従ってSMIの診断が重要であり,さまざまな試みが報告されている. 陥凹型早期胃癌診断の現状と残された課題について概説した.
  • 山雄 健次, 清水 泰博, 矢田 部恭, 入澤 篤志
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2816-2827
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡下穿刺吸引法(Endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)は,EUSの持つ高い空間分解能による優れた病変描出能を利用し,欠点である良悪性の鑑別など質的診断能を向上させるために開発された診断技術である.EUS-FNAはII990年代の初頭に本邦,および諸外国で開発,臨床応用されたが,種々の理由により,とくに本邦では普及が妨げられてきた経緯がある.しかし最近になり,機器の向上,技術の進歩,適応の明確化や治療への応用の道が開かれEUS-FNAの普及は最早,動かしがたいものになってきた.EUS-FNAの適応は良悪の鑑別や組織型の特定などの質的診断が治療法決定に必要で,かつEUSで描出されるすべての消化器疾患,あるいは消化管近傍の病変である.多数例を経験している施設では,その正診率は90%以上と上・下部内視鏡下生検に匹敵するほどの良好な成績が得られており,逆に合併症は-2%と低率である.最近では,腹腔神経叢ブロック,経消化管的膵嚢胞ドレナ-ジや胆道ドレナージ,種々の病変に対する薬液注入など種々のEUS下治療法が臨床応用されており,本邦においてもEUS-FNAのみならず,その技術を応用した診断・治療法が今後は益々拡大・普及することが期待される.
  • 榊原 敬, 塩谷 昭子, 鎌田 智有, 山中 義之, 春間 賢
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2828-2833
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    2005年1月1日から12月31日の期間に上部消化管内視鏡検査を施行した症例のうち,低用量アスピリンを内服していた600例を対象とし(男性426例,平均69.7歳),潰瘍性病変の合併と併用内服薬について検討した.46例(7.7%)に潰瘍性病変が見られ,その合併率は酸分泌抑制剤非投与群9.5%,H2受容体拮抗剤(H2-RA)投与群8.7%,プロトンポンプ阻害剤(PPI)投与群1,0%(1例)であった.潰瘍性病変の発生は,他の抗凝固薬の併用や加齢との間に関連を認めなかった.低用量アスピリン内服者に対するPPlの投与がアスピリンによる上部消化管潰瘍性病変の予防に有用であると考えられた.
  • 又野 豊, 本田 ゆかり, 亀田 正二, 細川 治, 海崎 泰治, 岡田 俊英
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2834-2839
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳女性で,2006年1月の上部消化管内視鏡検査にて食道胃粘膜接合部の右壁に,表面は平滑で色調のムラのあるポリープを認めた.生検標本では最初はいわゆる癌肉腫が疑われたが,再評価にてpseudosarc Qmatous granulation(PSG)が強く疑われ,切除標本にてPSGを伴った炎症性ポリープと診断された.食道胃粘膜接合部のPSGは小さな生検標本では悪性疾患と誤診されることがあり,内視鏡像と対比しながら治療方針を決定することが重要である.
  • 菊池 大輔, 飯塚 敏郎, 布袋 屋修, 宮田 義史, 三谷 年史, 落合 康利, 櫻田 智也, 平野 直樹, 林 武雅, 中村 仁紀, 矢 ...
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2840-2844
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    幽門側胃切除後に発生する残胃癌は多いが,噴門側胃切除後の残胃癌の報告はまれである.本症例は74歳男性.噴門側胃切除間置空腸再建術後12年目に,残胃体下部小彎に10mm大のIIc病変を認めた.深達度Mと判断し,生検でtub2であったため,ESDを施行した.術中,縫合線の線維化と金属ステイプルを認めたが,一括治癒切除が可能であった.自験例とこれまでの報告例をもとに,残胃癌に対する内視鏡治療の実際を報告する.
  • 末廣 有希子, 芹澤 宏, 森永 正二郎, 桜庭 篤, 大石 温子, 樋口 肇, 金子 文彦, 常松 令, 渡辺 憲明, 熊谷 直樹, 土本 ...
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2845-2851
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.心窩部痛,下腹部痛,便秘を主訴に来院.内視鏡検査にて,胃粘膜の退色調変化と不整な地図状の多発性潰瘍,回腸末端部での浮腫状変化が認められた.いずれの病変での生検からも著明な炎症細胞浸潤像とともに免疫組織化学的にTreponema pallidumが証明された.血清梅毒反応は高値を示し,皮膚科的にも硬性下疳,梅毒性乾癬が確認された.駆梅療法により臨床症状は速やかに軽快した.血清反応の陰性化を確認し治療終了とした.消化管梅毒は主として胃において報告されているが回腸病変での報告は極めて稀である.梅毒は全身性疾患であり,内視鏡検査が診断の契機となりうること,消化管のあらゆる部位で病変が形成されうることを念頭に置いた診療が重要である.
  • 村田 昌隆, 西 正孝, 原田 容治, 額賀 健治, 春山 邦夫, 伊藤 一成, 海老原 善郎
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2852-2858
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.頻回の下痢が続き入院.上部・下部消化管内視鏡検査にて胃体中部後壁に悪性リンパ腫等の悪性腫瘍を疑う潰瘍浸潤型病変を認め,潰瘍底に横行結腸へと連続する瘻孔を認めた.潰瘍辺縁,潰瘍底,瘻孔辺縁の生検組織は非特異的炎症所見であったが術中の病理診断で胃悪性リンパ腫と診断された.胃結腸瘻の診断に内視鏡検査が重要であったものの,胃結腸瘻を有する悪性リンパ腫の生検診断については検討が必要であった.
  • 青山 育雄, 石田 悦嗣, 松枝 和宏, 酒井 章裕, 新井 修, 清輔 良江, 片山 幸子, 平尾 謙, 三好 正嗣, 毛利 裕一, 山本 ...
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2859-2865
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例1は41歳男性で胸痛,心窩部痛,血痰を主訴に来院,縦隔内仮性膵嚢胞が肺に穿破していた.症例2は59歳男性で嘔吐を主訴に来院,縦隔内仮性膵嚢胞の圧迫により食道通過障害をきたしていた.何れも内視鏡的経乳頭的ドレナージにて軽快し,本症に有用な治療法と考えられた.保存的治療に抵抗性な場合,本症に対して内視鏡的ドレナージのみで消失せしめた本邦報告は無く,縦隔内仮性膵嚢胞の本邦報告とあわせその治療法について検討した.
  • 畑山 浩毅, 山本 秀樹, 佐伯 集一, 鎌田 悌輔
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2866-2871
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    バルーン型胃瘻力テ-テルの耐久性や適切な使用期間を明らかにすることを目的とした.バラードMIC栄養チューブ(以下,MIC)182本で,バルーンの破裂抜去と水量の自然減少とについて調査した.その結果,3カ月以内の破裂抜去は2件のみで,その間の破裂抜去率は1カ月当り0 .41%と低率であった.MICでは監視が行き届いた入院患者においては3カ月間はバルーンの耐久性は保たれ,安全に使用可能と思われた.
  • 磯野 忠大, 小林 利彦
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2872-2873
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 久米 恵一郎
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2874-2875
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 和田 友則, 藤永 秀剛, 加藤 礼子, 東海林 英典, 岡 政志, 吉川 雄二
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2876-2890
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸腫瘍性病変に対する内視鏡治療は,従来法である内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)やポリペクトミーと近年急速に普及しつつある内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic sub·mucosal dissection:ESD)に大別できる.本稿では代表的な偶発症である出血と穿孔についてそれぞれの手技特性の違いに応じた対応法を述べる.出血はEMRやポリペクトミーにおいて日常遭遇することが最も多い偶発症であり,クリップを用いた止血処置が中心になる.大きな病変に対しては固有筋層を巻き込まないように慎重なスネアリングを行わないと穿孔の危険がある.ESDは穿孔を生じやすく技術的難易度も高度であり,十分なトレーニングを積んだ術者が万全の体制で行うべき手技である.隆起した粘膜下層を十分に視認しながら剥離を進めることが安全な手技成功への鍵である.いずれの場合も良好な前処置と術中の視野の確保が治療の基本となる.十分なインフォームドコンセントが不可欠であることはいうまでもない.偶発症が発症した場合でも,多くの場合は適切な処置を行うことにより保存的に対応できる.
  • 佐々木 賀広, 福田 眞作, 三上 達也, 羽田 隆吉
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2891-2898
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【目的】粗造度を定量する画像解析手法を開発し,有用性を視覚的に判定した粗造度との比較により評価する.【方法】潰瘍性大腸炎69人の,139枚の内視鏡画像を用いた.画像の赤フレームを空間微分し,粗造度をその平均値とした.視覚的粗造度は,3人の内視鏡医(E1, E2 , E3)が,0から1までの視覚的アナログスケ-ル(VAS)で評価した.139画像の評価セッションを日を変えて3回施行した.【結果】空間微分の総平均値は28.9±10.9であった.VASの平均値は内視鏡医によらず一定であった(0.42±0.23 for EI,0.45±0.19 for E2 and 0.43±0.28, p>0.05). VASの相関係数は,0,957(EIとE2),0.914(E2とE3),0.950(E3とEl)(それぞれp<0.0001)であった.空間微分の平均値とVASとは,有意な相関を示した(r=0.711for EI, p<0.0001;0.672 for E2 , p<0.0001;0.826 for E3, p<0.0001 ).【結論】この手法は,粗造度の評価に有用である.
  • 責任者:武田 弘明
    武田 弘明
    2008 年 50 巻 11 号 p. 2899-2902
    発行日: 2008年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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