超音波内視鏡下穿刺吸引法(Endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)は,EUSの持つ高い空間分解能による優れた病変描出能を利用し,欠点である良悪性の鑑別など質的診断能を向上させるために開発された診断技術である.EUS-FNAはII990年代の初頭に本邦,および諸外国で開発,臨床応用されたが,種々の理由により,とくに本邦では普及が妨げられてきた経緯がある.しかし最近になり,機器の向上,技術の進歩,適応の明確化や治療への応用の道が開かれEUS-FNAの普及は最早,動かしがたいものになってきた.EUS-FNAの適応は良悪の鑑別や組織型の特定などの質的診断が治療法決定に必要で,かつEUSで描出されるすべての消化器疾患,あるいは消化管近傍の病変である.多数例を経験している施設では,その正診率は90%以上と上・下部内視鏡下生検に匹敵するほどの良好な成績が得られており,逆に合併症は-2%と低率である.最近では,腹腔神経叢ブロック,経消化管的膵嚢胞ドレナ-ジや胆道ドレナージ,種々の病変に対する薬液注入など種々のEUS下治療法が臨床応用されており,本邦においてもEUS-FNAのみならず,その技術を応用した診断・治療法が今後は益々拡大・普及することが期待される.
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