腸管悪性リンパ腫の内視鏡的特徴について概説した.組織型では,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)が最も多いが,濾胞性リンパ腫やT細胞性リンパ腫など,胃リンパ腫ではまれな組織型も比較的頻度が高い.内視鏡・肉眼型は,隆起型,潰瘍型(狭窄・非狭窄・動脈瘤亜型を含む),MLP型,びまん型,混合型に分類され,組織型と相関がみられる.最も多い潰瘍型ではDLBCLが大半を占め,隆起型ではMALTリンパ腫とDLBCLの頻度が高い.MLP型では濾胞性リンパ腫とマントル細胞リンパ腫が多く,びまん型はT細胞性リンパ腫とIPSID(immunoproliferative small intestinal disease)に特徴的である.通常の上・下部消化管内視鏡に加え,ダブルバルーン内視鏡は腸管悪性リンパ腫の診断に有用な検査法である.
【目的】Narrow Band Imaging(NBI)拡大内視鏡観察による大腸腫瘍性病変の異型度・深達度診断能を明らかにする.【方法】当科でNBIおよび色素法拡大内視鏡観察を行い,切除された大腸腫瘍232症例,247病変(うち179病変が早期大腸癌)を対象とした.NBI拡大内視鏡により観察される血管模様を,血管走行が認識されない1型,血管径の軽度拡張を認める2型,拡張した血管が目立つ3型(3Vと3Iの二型に亜分類した),血管分布が疎で走行が追えない4型に分類した.血管模様分類と腫瘍異型度・深達度の関係を中心に検討した.【結果】4型の病変は97% がSM深部浸潤(SM-m)癌であった.NBI拡大観察によるSM-m癌診断能は,感度78.9%,特異度95.9%,正診率90.5% であった.【結論】NBI拡大観察によって色素法拡大観察とほぼ同等の高い診断能が得られ,治療法選択の手段として有用と考えられた.