日本消化器内視鏡学会雑誌
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51 巻, 1 号
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総説
  • 中村 昌太郎, 松本 主之, 飯田 三雄
    2009 年 51 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    腸管悪性リンパ腫の内視鏡的特徴について概説した.組織型では,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)が最も多いが,濾胞性リンパ腫やT細胞性リンパ腫など,胃リンパ腫ではまれな組織型も比較的頻度が高い.内視鏡・肉眼型は,隆起型,潰瘍型(狭窄・非狭窄・動脈瘤亜型を含む),MLP型,びまん型,混合型に分類され,組織型と相関がみられる.最も多い潰瘍型ではDLBCLが大半を占め,隆起型ではMALTリンパ腫とDLBCLの頻度が高い.MLP型では濾胞性リンパ腫とマントル細胞リンパ腫が多く,びまん型はT細胞性リンパ腫とIPSID(immunoproliferative small intestinal disease)に特徴的である.通常の上・下部消化管内視鏡に加え,ダブルバルーン内視鏡は腸管悪性リンパ腫の診断に有用な検査法である.
原著
  • 二上 敏樹, 斎藤 彰一, 田尻 久雄, 池上 雅博
    2009 年 51 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Narrow Band Imaging(NBI)拡大内視鏡観察による大腸腫瘍性病変の異型度・深達度診断能を明らかにする.【方法】当科でNBIおよび色素法拡大内視鏡観察を行い,切除された大腸腫瘍232症例,247病変(うち179病変が早期大腸癌)を対象とした.NBI拡大内視鏡により観察される血管模様を,血管走行が認識されない1型,血管径の軽度拡張を認める2型,拡張した血管が目立つ3型(3Vと3Iの二型に亜分類した),血管分布が疎で走行が追えない4型に分類した.血管模様分類と腫瘍異型度・深達度の関係を中心に検討した.【結果】4型の病変は97% がSM深部浸潤(SM-m)癌であった.NBI拡大観察によるSM-m癌診断能は,感度78.9%,特異度95.9%,正診率90.5% であった.【結論】NBI拡大観察によって色素法拡大観察とほぼ同等の高い診断能が得られ,治療法選択の手段として有用と考えられた.
症例
経験
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
  • 洞口 淳, 藤田 直孝
    2009 年 51 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,経乳頭的胆道ドレナージ(以下,EBD)困難例に対し,外科的ドレナージや経皮経肝的胆道ドレナージ(以下,PTBD)の他に,超音波内視鏡を用いた新しい胆道ドレナージ手技(Endosonography-guided biliary drainage;以下,ESBD)が用いられるようになっている.ESBDは腹部食道や胃,十二指腸,空腸など様々なルートから胆道ドレナージが可能で,安全性や減黄効果についても良好な成績が報告されている.またEBD同様ステントの交換も可能である.今後,ESBD専用の処置具の開発が進み,安全性,確実性がさらに向上すれば,PTBDの多くの部分を,またEBDの一部を置き換える治療手技になるものと予想される.
資料
  • 今村 綱男, 小泉 優子, 小山 里香子, 奥田 近夫, 竹内 和男, 松田 正道, 橋本 雅司, 渡邊 五朗, 吉田 仁, 井廻 道夫
    2009 年 51 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル オープンアクセス
    通常型膵管癌(膵癌)の質的診断は困難である.今回,気管支肺胞洗浄液(BALF)をモデルに,膵癌症例の膵管洗浄液(PDLF)を採取し検討した.画像で膵癌と診断した18例を対象とし,ERPで擦過細胞診後,ダブルルーメン造影カニューラまたはトリプルルーメンバルーンを狭窄部近傍に留置した.造影ルーメンよりシリンジで生食を極少量ずつ注入し,同時に別のシリンジでワイヤールーメンより弱い陰圧で吸引し,PDLFを回収した.全例でPDLFを採取でき,細胞診は15例陽性(83%)であった.膵炎などの合併症はなかった.PDLFでは擦過に対し変性の少ない細胞を大量に回収できた.膵癌では膵管閉塞による流出障害,膵外分泌機能低下のため,純粋膵液採取に限界がある.PDLFは,生食を灌流することで容易に十分な細胞数の回収を可能にした.また,生食で灌流するため造影剤混入が少なく,細胞損傷が軽微であった.PDLFは細胞を大量に回収でき,膵癌診断の新法として期待される.
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