日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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51 巻, 10 号
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総説
  • 今村 哲理
    2009 年 51 巻 10 号 p. 2675-2689
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
    本邦では,食餌,生活スタイル,高齢化に伴い,大腸がん死亡率は増加しつつあり,最近のがん死亡率統計では男性では4位,女性では1位を占めている.死亡率減少の目的で,IFOBTによる対策型検診は1992年の老健法に基づき始まり今日に至っている.検診内容の要点は,「対象は40歳以上の(平均リスク)男女,IFOBT(2日法)であり,さらに,陽性者にはCSによる精検を第一選択とする」である.FOBT/IFOBTによる死亡率減少の効果についてはいくつかの研究で証明されており,現行のIFOBTによる検診も一定の成果を挙げているがいくつかの問題を抱えている.紙面の都合上主な問題点のみ挙げる:受診率が適格年齢の18.8% と極めて低い.精検受診率が60% を下回るあたりにありかなり低い.精検はCSが第一選択にもかかわらず70% 程度しか達成されていない.しかし,一方で,一次検診受診総数は年々増え必然的に精検CSに紹介される数も増え,ひいては,外来SCや内視鏡治療を圧迫しがちであること.少なからずIFOBT陰性がんがあること.検診そのものが政治(行政),医療経済,医療社会的問題が複雑にからみ問題解決は容易とは思えないが,日本消化器内視鏡学会として最も喫緊に着手すべきは,精検CSと大腸内視鏡治療を担える優秀な大腸内視鏡医の育成であろう.救命可能がんの発見はもとより,内視鏡治療で済む早期のがんを多く発見しそれが大腸がん死予防につながる効果は大きいと推測される.
    海外の主な国の検診活動と本邦のそれとの比較,emerging screeningとしてCTC,SDT,MRC,PET/PET-CT,CCEも取り上げレビューした.最後に,最近スタートした本邦におけるCSによる一次検RCTの成果も待たれることについても言及した.
症例
経験
  • 松永 篤志, 有澤 淑人, 中村 威, 川口 正春, 石川 修司, 山高 浩一, 川原 英之
    2009 年 51 巻 10 号 p. 2735-2738
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
    術者・患者コミュニケーションのツールとして患者用ゴーグルを用い,患者満足度につながるかをアンケートにより検討した.155人を対象とし,のべ141人に下部内視鏡検査,54人に上部内視鏡検査を施行し,ゴーグルを装着した状態で内視鏡所見をライブで解説しつつ検査をおこなった.アンケート結果より,総合的にみた本法に対する患者満足度は91% であり,患者の満足度アップにつながるものと考えられる.
  • 高橋 寛, 鵜川 邦夫, 加藤 薫, 林 裕子, 吉本 和仁, 石山 晃世志, 植木 信江, 倉岡 賢輔, 山本 頼正, 土田 知宏, 藤崎 ...
    2009 年 51 巻 10 号 p. 2739-2745
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
    上部内視鏡検査における低用量の鎮静剤投与の効果および安全性について後ろ向き検討した.
    【対象および方法】鎮静剤としてミダゾラムを使用し,SpO2の低下,血圧・脈拍の変動,血圧・脈拍積および受診者の自覚症状について,ミダゾラムの量をA群:1.5mg/m2未満,B群:1.5mg/m2~2.0mg/m2,C群:2.0mg/m2以上,D群:非鎮静剤群にわけて検討した.
    【結果】偶発症の発症に関して,SpO2,血圧および脈拍の変化に関して,ミダゾラムの投与量について検討した結果,それぞれの間に有意差は見られなかった.心拍血圧積の増加にも有意差はみられなかった.検査が楽であったか否かについての感想では,鎮静剤使用群で ‘楽’ と回答した受診者が,非鎮静群と比べて多く,有意差を認めた(p<.001).
    【結語】鎮静剤の少量投与は,安全で楽な検査が施行できる鎮静方法であった.
注目の画像
手技の解説
資料
  • 高澤 磨, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 伊藤 啓, 洞口 淳, 尾花 貴志
    2009 年 51 巻 10 号 p. 2756-2762
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡下胆道ドレナージ(endosonography-guided biliary drainage,ESBD)は,閉塞性黄疸に対する効果的な治療として広まりつつある.また,胆嚢を標的とした超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ(endosonography-guided gallbladder drainage;ESGBD)もいくつか報告がなされている.今回われわれは,切除不能悪性胆道狭窄に対するcovered metallic stent(CMS)留置後の急性胆嚢炎に対してESGBDを施行した.ESGBDは電子コンベックス型超音波内視鏡を用いて行った.胆嚢を描出し穿刺ルートを決定した後に,針状通電針を用いて胃壁を通じて胆嚢を穿刺した.外套を通じてガイドワイヤーを胆嚢内に挿入した後に外径7.2F,全長30cmの片pigtail型プラスティックステントをガイドワイヤーに被せて経胃的に胆嚢内に留置した.手技に伴う偶発症は見られなかった.ESGBDは急性胆嚢炎の改善にきわめて効果的で順調に経過し,10日後にドレナージチューブを抜去した.CMS留置後の急性胆嚢炎は,ESGBDの良い適応であると考えられた.
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