(背景)早期胃癌の内視鏡診断に関してNBIによる拡大観察は有用である.しかしながら,病変と適切な距離をとり,明瞭な画像を得るには熟練した技術を要する.一方,新しい分光画像内視鏡システム(FICE)は,通常画像から得られる波長を選択,再構築し,色調コントラスが明瞭な分光画像をつくることができるシステムである。従って,弱拡大だけでなく非拡大観察でも粘膜の表面構造を強調した画像を得ることが可能である.この画像構築技術は,通常画像から算出された各波長による分光画像を機械的に再構築し,画像化するものである.
(方法)FICEを使用した早期胃癌の隆起型30病変,陥凹型32病変,平坦型2病変の内視鏡的な特徴について検討した.
(結果)内視鏡観察に最も適した波長の組み合わせはRedが550nm,Greenが 500nm,Blueが470nmであった。FICE観察における陥凹型胃癌の特徴は,遠景画像でも黄色調の背景粘膜に赤色調の病変が認められるために,その色調コントラストが明瞭になることであり,病変および非病変の境界線は容易に認識された。さらに30-40倍程度の弱拡大観察では,全ての肉眼型において,不整な腺管構造パターンあるいは微細血管構造パターンを認めた.
(結論)FICEは、遠景あるいは弱拡大観察において,様々な肉眼型の早期胃癌の診断に有用であった.
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