日本消化器内視鏡学会雑誌
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51 巻, 8 号
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総説
  • 田尻 久雄, 丹羽 寛文
    2009 年 51 巻 8 号 p. 1677-1685
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル オープンアクセス
    内視鏡観察法の目的別分類と各用語の定義を解説した.内視鏡観察の方法を(1)通常観察(白色光)(Conventional Endoscopy,White Light Endoscopy),(2)画像強調観察(Image-Enhanced Endoscopy),(3)拡大内視鏡観察(Magnified Endoscopy),(4)顕微内視鏡観察(Microscopic Endoscoopy),(5)断層イメージング(Tomographic Endoscopy)と分類した.この分類では,画像強調観察をデジタル法,光デジタル法,色素法と亜分類する.デジタル法としてFICE(Flexible Spectral Imaging Color Enhancement),i-scan,適応型構造強調処理,IHb色彩強調処理があり,光デジタル法としてNBI(Narrow Band Imaging),AFI(Auto-fluorescence Imaging),IRI(Infra-red Imaging)が挙げられる.拡大内視鏡観察を光学法とデジタル法,顕微内視鏡観察を光学法と共焦点法,断層イメージングを超音波内視鏡とOCT(Optical Coherence Tomography)に亜分類している.最近,国際学会などで注目を集めている顕微内視鏡観察には,光学法の代表であるEndo-Cytoscopyと共焦点法のConfocal endomicroscopyがある.新しく開発されてくる内視鏡機器・観察技術への正しい理解をより深め,内視鏡診断学に関する研究がますます発展していくことが望まれる.
原著
  • 菅原 通子, 今井 幸紀, 齊藤 詠子, 藤盛 健二, 新井 晋, 稲生 実枝, 中山 伸朗, 名越 澄子, 伴 慎一, 持田 智
    2009 年 51 巻 8 号 p. 1686-1691
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的と方法】プロトンポンプ阻害薬(Proton Pump Inhibitor:PPI)の長期投与によって胃底腺ポリープが増大することが報告されている.その病態や機序を明らかにするため,PPI長期投与中に胃底腺ポリープが増大した13症例(男3例,女10例,年齢(平均±2SE)70.5±6.3歳)の臨床的,組織学的特徴を検討した.【結果】ポリープ増大が確認されるまでの内服期間(平均±2SE)は29.9±8.3カ月であり,ポリープの径は投与前5mm未満であったが,投与中に5~15mmに増大した.何れも内視鏡所見では水腫様外観を呈していた.Helicobacter pyloriH. pylori)感染は全例で認められなかった.血清ガストリン値は8例で測定され,うち4例で高値を示した.内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)施行例では,ポリープ増大前の生検組織と比較して,胃底腺ポリープに認められる拡張腺管の拡張の程度が増し,拡張腺管の数も増加していた.内分泌細胞の微小胞巣やカルチノイド腫瘍の所見は認められなかった.【結論】胃底腺ポリープの増大は,H. pylori陰性例にPPIを長期投与することによってPPIの種類に関係なく生じる.胃底腺ポリープ増大の機序のひとつとして,胃底腺ポリープに認められる拡張腺管の拡張の程度の増加,拡張腺管の数の増加の誘発が考えられた.
症例
注目の画像
手技の解説
  • 松崎 晋平, 岡野 宏, 西川 健一郎, 佐瀬 友博, 齊藤 知規, 向 克巳, 真口 宏介
    2009 年 51 巻 8 号 p. 1738-1747
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル オープンアクセス
    乳頭部腫瘍に対する治療の基本は外科的切除術であるが,近年,内視鏡的乳頭切除術が普及しつつある.適応は,胆管・膵管内進展陰性の腺腫については統一した見解が得られているが,早期癌への適応拡大については意見が分かれている.
    診断を行う際には,乳頭部の解剖学的理解が必須であり,腫瘍の進展度診断では,EUS,IDUSによる十二指腸固有筋層浸潤(Du),膵浸潤(Panc)の判定に加え,胆管・膵管内進展の評価が必要となる.内視鏡的乳頭切除術は技術的難易度の高い手技であるため,十分な内視鏡技術を有したものが行うべきであり,偶発症対策として,特に出血と急性膵炎への対処が重要である.
    本稿では,乳頭部腫瘍の内視鏡診断と治療について概説する.
資料
  • 吉澤 充代, 大澤 博之, 山本 博徳, 佐藤 貴一, 中野 秀聡, 津久井 舞未子, 菅野 健太郎
    2009 年 51 巻 8 号 p. 1748-1752
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/26
    ジャーナル オープンアクセス
    (背景)早期胃癌の内視鏡診断に関してNBIによる拡大観察は有用である.しかしながら,病変と適切な距離をとり,明瞭な画像を得るには熟練した技術を要する.一方,新しい分光画像内視鏡システム(FICE)は,通常画像から得られる波長を選択,再構築し,色調コントラスが明瞭な分光画像をつくることができるシステムである。従って,弱拡大だけでなく非拡大観察でも粘膜の表面構造を強調した画像を得ることが可能である.この画像構築技術は,通常画像から算出された各波長による分光画像を機械的に再構築し,画像化するものである.
    (方法)FICEを使用した早期胃癌の隆起型30病変,陥凹型32病変,平坦型2病変の内視鏡的な特徴について検討した.
    (結果)内視鏡観察に最も適した波長の組み合わせはRedが550nm,Greenが 500nm,Blueが470nmであった。FICE観察における陥凹型胃癌の特徴は,遠景画像でも黄色調の背景粘膜に赤色調の病変が認められるために,その色調コントラストが明瞭になることであり,病変および非病変の境界線は容易に認識された。さらに30-40倍程度の弱拡大観察では,全ての肉眼型において,不整な腺管構造パターンあるいは微細血管構造パターンを認めた.
    (結論)FICEは、遠景あるいは弱拡大観察において,様々な肉眼型の早期胃癌の診断に有用であった.
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