【目的】ERCP後4時間における血清リパーゼ値およびアミラーゼ値がERCP後膵炎発症の予測に有用か否かを対比検討した.
【方法】連続1,631例(診断的ERCP 910例,治療的ERCP 721例)をretrospectiveに検討した.
【結果】1)膵炎の発症率は4.2%(69/1,631)であった.2)ERCP4時間後のアミラーゼおよびリパーゼのROC曲線下面積は診断的ERCPで各々0.88(95%CI:0.85-0.91)および0.94(同0.92-0.96)であり,治療的ERCPでは各々0.92(同0.90-0.93)および0.96(同0.94-0.97)であった.3)アミラーゼのカットオフ値は正常上限の5倍が最適であり,リパーゼでは10倍が最適であった.4)ROC曲線下面積の比較では,リパーゼがアミラーゼに比べて診断的ERCP(p=0.025)および治療的ERCP(p=0.035)いずれの場合も有用であった.
【結論】ERCP4時間後の血清リパーゼ値はERCP後膵炎の予測に有用な検査法である.
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