日本消化器内視鏡学会雑誌
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52 巻, 1 号
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総説
  • 丹羽 寛文
    2010 年 52 巻 1 号 p. 3-20
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    アジア太平洋消化器内視鏡学会(APSDE)は,当初国際消化器内視鏡学会International Society of Endoscopy(ISE)として設立された現在の世界消化器内視鏡学会(OMED)アジア地区Zoneをその前身としている.
    アジア太平洋消化器内視鏡学会が独立した学会となったのは,第1回アジア太平洋消化器内視鏡学会議が開催された1973年(昭和48年)4月と考えて良く,これ以後アジア太平洋消化器内視鏡学会議は定期的に開催されている.しかし当初はこの会議は世界学会のアジア地区Zoneとして開催されている.なおIESがOMEDと改名されたのは,これより後の1976年(昭和51年)7月である.The Asian-Pacific Zone of OMEDは1984年(昭和59年)にThe Asian-Pacific Society for Digestive Endoscopyと名称を変え,Societyと称することとなったが,これは,Societyの新設では無く単なる改名として扱われている.このことからも京都での学会議1973年を学会の設立年とするのが妥当であろう.以後定期的に学会議を開催し,2000年以後は単独でなく,他の消化器系諸学会と合同でDDW方式で毎年の開催となった.APSDEの事業には種々のものがあるが,最も重要なのは内視鏡の教育,トレーニングである.これまでAPSDE主催の元にバンコック,ベトナムのハノイ,ホーチミンでHands-On training workshopを2004年以来それぞれ数回づつ開催してきた.さらにAPSDEは各所にトレーニングセンターを設ける予定で,一部の施設は昨年発足した.そのためのfoudationも設置され,企業からの寄付,APDW剰余金で運営することになっている.現在中国に2施設,オーストラリヤに1施設,香港に1施設,インドに1施設を予定し,本年より活動を始める予定である.さらに学会傘下の各種委員会を通じて種々の活動も予定し,一部はすでに活動を始めている.
原著
  • 土岐 真朗, 山口 康晴, 高橋 信一
    2010 年 52 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    目的:上部消化管内視鏡検査は,通常,長い絶食後行われているが,基礎疾患をもつ症例や高齢者にとっては偶発症の潜在的なリスクになる.そこでわれわれは,朝食を通常通り朝9時までに摂取し,昼食を摂らず午後3時から4時の間にEGDを施行する内視鏡検査(午後内視鏡)の可能性について検討した.
    方法:EGD時の胃内食残渣の状態を4つに群別し,検査困難群の関連因子を明らかにするため,患者背景について詳細に検討した.
    結果:(1)糖尿病患者で,末梢神経障害が強いあるいは透析を要する症例,(2)朝食摂取後から検査までの時間が7時間未満の症例,(3)検査までの飲水量が400ml未満の症例で検査困難例が認められた.上記3つの条件の除外を追加し,前向き検討を133例で行った結果,132例(99.2%)で検査可能であった.
    結語:午後内視鏡の実用化は可能であることが明らかになった.
  • 木下 晃吉, 石川 智久, 銭谷 幹男, 田尻 久雄
    2010 年 52 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    【目的】自己免疫性肝炎における病期,病勢評価のための腹腔鏡の意義について検討した.【方法】腹腔鏡により肝表面像と組織学的所見を検討し得た自己免疫性肝炎51例を対象とし,臨床背景,血液生化学検査値,肝表面所見,組織学的所見について比較検討した.また,腹腔鏡下生検で得られた組織切片と,同時期に超音波下生検で得られた自己免疫性肝炎症例の組織切片について,長さ,面積,門脈域の数を比較検討した.【結果】赤色紋理と陥凹は,組織学的な壊死炎症及び線維化と強く相関する事が確認された.抗平滑筋抗体(SMA)陽性例では,赤色紋理,組織学的な壊死炎症及び線維化が進展している傾向を認めた.組織切片の比較では,長さ,面積,門脈域の数における腹腔鏡下生検の優越性が確認された.【結論】赤色紋理,陥凹は自己免疫性肝炎の病期,病勢を的確に反映し,腹腔鏡による肝表面の観察がAIHの病期,病勢診断に有用であることが示唆された.
症例
注目の画像
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
  • 中井 陽介, 伊佐山 浩通, 木暮 宏史, 佐々木 隆, 笹平 直樹, 平野 賢二, 多田 稔, 小池 和彦
    2010 年 52 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    近年ERCP関連治療手技の発展は著しいが,胆管深部挿管が前提となることに変わりはない.本邦では造影法による胆管深部挿管の工夫が行われ,高い深部挿管成功率が報告されてきた.近年欧米を中心に有用性が報告されているWire-guided cannulation(WGC)は,造影剤の試験注入を行わずにGuidewireを用いて胆管深部挿管を行う方法である.WGCは,GuidewireをPreloadしておいたSphincterotomeで十二指腸乳頭へのアプローチを行い,Sphincterotomeの刃の調整により胆管方向へGuidewireを先進させてCannulationする方法である.胆管方向へ先進させたGuidewireにSphincterotomeを追従させて,胆汁の吸引によって胆管深部挿管を確認した後に胆管造影を行うことによって,造影カテーテルによる乳頭への過度の負担や,不必要な膵管造影を避けることが可能になり,ERCP後膵炎の減少が期待されている.海外で行われた無作為化比較試験においては,WGCは造影法と比較して,高い胆管深部挿管成功率と低いERCP後膵炎合併率が得られたと報告されている.WGCの問題点としては,Sphincterotomeを使用することによるコスト面,不慣れな術者・助手がGuidewire操作を行うことによる乳頭浮腫・穿孔の危険性が挙げられ,今後デバイスを含めたさらなる改良が必要である.WGC法による挿入が困難な症例で造影法に切り替えると容易に胆管挿管成功することも経験しており,WGC法・造影法それぞれの技術を習得し,症例に応じたCannulation法の選択することも重要である.造影法による胆管深部挿管率が高い本邦におけるWGCの位置付けについては,今後前向き比較試験における検討が必要である.
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