日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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52 巻, 10 号
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会長講演
  • 田尻 久雄
    2010 年 52 巻 10 号 p. 2905-2916
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    内視鏡医療では,臨床における実用が始まった1960年代から,機器そのものについても診断や治療技術においても,常に日本が世界をリードしてきた.しかし,大規模なグローバル化の中で,現在,日本の医薬品・医療機器産業が様々な問題を抱え,国際的な競争力を日々失いつつある.内視鏡を含む医学・医療分野のグローバル化を勝ち抜くためには,産学官が連携し,数多くの問題を解決していくことが不可欠である.内視鏡関連の産学連携については,学会が果たすべき役割も大きい.新しい医療機器の推進や安全性と有効性に関する評価法の研究,臨床研究計画書を提案する能力などの教育・啓蒙活動を行っていく必要がある.学会が主導するガイダンスやレギュラトリーサイエンティスト育成のための教育プログラムの作成,PMDAの人材育成に協力することも必要である.全国規模の臨床治験に関わる支援,医療機器開発・審査に関する連絡協議会(産学官懇話会)の発足なども推進すべきである.さらに,欧米の先端的な内視鏡施設への医師の派遣や,アジア地域への内視鏡教育とHands-on courseなどの普及活動を率先して行うなど,今後は,内視鏡を通じて世界の福利厚生に貢献するという気概を持って活動していくことが望まれる.
原著
  • 田沼 徳真, 野島 正寛, 清水 晴夫, 後藤 啓, 川上 賢太郎, 小松 悠弥, 内藤 崇史, 松永 康孝, 大関 令奈, 阿久津 典之, ...
    2010 年 52 巻 10 号 p. 2917-2926
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】胃病変の鑑別診断におけるNarrow Band Imaging(以下,NBI)併用拡大観察は,専門家の間で有用性が示されつつあるものの,一般の内視鏡医にとっては所見の判断が難しい場合がある.そこで,NBI併用拡大観察の初学者(経験症例数が30例未満)を対象とし,その有用性を検討することを目的に本研究を計画した.【対象・方法】50病変(癌17例,非癌33例)につきX:通常観察のみの画像集とY:通常観察+NBI併用拡大観察の画像集を作成し,3施設24名の医師にX→Yの順番で読影を依頼し,正診率の変化を比較検討した.【結果】正診率はX:62.8%,Y:72.8%(P<0.001)で有意にYが優れており,特に非癌における診断精度の向上が際立っていた.また,施設や内視鏡経験によらずYが優れていた.【結論】胃病変のNBI併用拡大観察は初学者においてもその有用性が示唆され,汎用性も期待される.
症例
経験
注目の画像
手技の解説
  • 間部 克裕, 平山 眞章, 加藤 元嗣
    2010 年 52 巻 10 号 p. 2976-2984
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    内視鏡治療に伴う出血性合併症を予防するため抗凝固薬,抗血小板薬(抗血栓薬)の休薬が行われてきた.一方,休薬による血栓塞栓症のリスクが問題になり,欧米のガイドラインでは出血よりも休薬による血栓塞栓症の発症を防ぐことに重点が置かれている.本邦ではこれらの薬剤を使う側である循環器病や脳卒中学会のガイドラインと休薬する側の日本消化器内視鏡学会のガイドラインの整合性が取られていない.更に2005年に日本消化器内視鏡学会から出された血栓塞栓症予防に配慮された新しい指針が十分に普及していない現状がある.エビデンスを作ることが難しく世界中でエビデンスが不足しているが,抗血栓薬の休薬は安全な内視鏡治療には避けて通れない課題である.そこで,札幌市近郊で抗血栓薬を使用する科と消化器内科で“安全な抗血栓療法の休薬を考える会”を立ち上げ,休薬基準の“札幌コンセンサス”を作成した.このコンセンサスの内容を中心に治療内視鏡における抗血栓薬の休薬について概説した.
  • 江川 直人, 神澤 輝実, 安食 元, 宅間 健介
    2010 年 52 巻 10 号 p. 2985-2992
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    胆膵領域の内視鏡的治療は,ガイドワイヤーを使用して,その誘導下にさまざまな処置具を挿入して行うことが主流である.ENBDは,その基本ともいえるもので,カニュレーションの技術があれば,通常はガイドワイヤーとドレナージチューブ以外の特別な処置具やESTなどの処置は不要であり,比較的容易な手技である.一方,閉塞性黄疸に対する緊急的処置あるいは術前の減黄目的,胆汁細胞診の胆汁採取ルート,胆道損傷に対する保存的治療の一つなどとしても汎用されており,非常に有用性が高い.本稿では,ERCPを指導医とともに行っている比較的初心者を念頭にその手技について解説した.熟練者の実際の手技をみている者であればさほど難しいものではないが,重要なことは,常に主乳頭とスコープが離れすぎないように気をつけることと,乳頭あるいは胆管に対して愛護的に対処することである.また,ENBDの応用手技もあり,長所と短所をよく理解して活用してほしい.
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