日本消化器内視鏡学会雑誌
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52 巻, 11 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
総説
  • 真口 宏介, 小山内 学, 潟沼 朗生, 高橋 邦幸
    2010 年 52 巻 11 号 p. 3081-3090
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    IPMN国際診療ガイドラインの作成により,世界的に本疾患が認識され,診断と治療指針について一定の方向性が示された.型分類は,大きく主膵管型と分枝型に分けることを推奨し,手術適応は,主膵管型の全例と分枝型の場合には,有症状例,壁在結節を有する,主膵管拡張,細胞診で悪性,拡張分枝径3cm以上,としている.しかしながら,ガイドラインには,いくつかの課題も残されており,今後の検討によって改定が繰り返さることを認識しておく必要がある.
    一方,現状でのIPMN診断における内視鏡の役割としては,正確な鑑別診断,手術適応の有無の判定,手術適応例に対する進展範囲診断である.手術適応を判定する因子の中で重要と考えられるのが結節の評価であり,EUSの有用性が高い.また,生検・細胞診に際しては欧米ではEUS-FNAを施行しているのに対し,本邦では腫瘍の播種の問題を重視し,ERCP下に行っている.さらに,手術適応例に対する主膵管内の腫瘍進展範囲診断として,IDUS,POPSが位置する.
    本邦からの内視鏡を駆使した正確な診断に基づく多くの検討によって「より実践的なガイドライン」の改定が進めことを期待する.
原著
  • 石原 立, 山本 幸子, 辻井 芳樹, 河田 奈都子, 井上 拓也, 花房 正雄, 鼻岡 昇, 竹内 洋司, 東野 晃治, 上堂 文也, 飯 ...
    2010 年 52 巻 11 号 p. 3091-3098
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    「背景・目的」食道癌に対する化学放射線療法(以下CRT:Chemoradiotherapy)後の食道にみられる粘膜変化を明らかにするため検討を行った.
    「方法」食道癌CRT後の58症例(CRT群),食道癌内視鏡切除後の70症例(ER群),食道癌や頭頸部癌の既往がない105症例を対象とし(非食道癌群),食道粘膜の狭帯域フィルター内視鏡観察を行った.
    「結果」CRT後の食道粘膜に多くみられた変化は,緑色斑点状血管,錯綜血管,上皮乳頭内血管ループの消失,樹枝状・斜走血管破壊の4所見に分類できた.これら4所見はER群,非食道癌群に比べCRT群で有意に多くみられた.粘膜の異常所見の出現と各種因子との関連を検討した所,放射線を60Gy以上照射した症例で異常所見を多く認めた.
    「結論」緑色斑点状血管,錯綜血管,上皮乳頭内血管ループの消失,樹枝状・斜走血管破壊が食道癌CRT後の特徴的所見であった.これら所見は主にCRTにより生じた変化と考えられる.CRT後には,このような所見がみられることを認識し診断にあたる必要がある.
症例
注目の画像
手技の解説
  • 畑田 康政
    2010 年 52 巻 11 号 p. 3156-3170
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    Crohn病および潰瘍性大腸炎の初期病変として,いわゆるアフタ様病変が考えられている.内視鏡観察時に着目する点は,1)陥凹部の発赤・白苔,2)周囲の隆起,3)分布(部位,密度,配列)で,詳細な観察のためにインジゴカルミンなどの色素散布はできるだけ行う.初期病変と考えられる所見として最も多いのは,中央に小陥凹・びらんをもつ小隆起の形態であるが,IBDに特異的なものではなく,縦走性配列や分布も診断の確定とはならず,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫などの病理組織所見を参考にする必要がある.大腸がアフタ様病変のみの場合,上部消化管や小腸の検索が必要であり,特に上部消化管の所見が参考になる.胃体上部から噴門部にかけての「竹の節状外観」が特徴的であるが,Crohn病に特異的な所見とはいえない.IBDの初期病変と診断するには消化管以外の症状や家族歴を含めた詳細な病歴をとり全身的にみていくことが重要である.
  • 村島 直哉
    2010 年 52 巻 11 号 p. 3171-3175
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/03
    ジャーナル フリー
    胃静脈瘤の治療方法は種類が多く,各施設の対応は現在一定ではない.しかし,内視鏡医の立場で治療アルゴリズムを立てておくことは,緊急治療の多い本疾患では必要である.胃静脈瘤出血を疑ったら,輸液などの内科的治療と家族本人への説明と同意を得た後,内視鏡的治療を選択する.シアノアクリレート(CA)を用いた内視鏡的硬化療法は,胃静脈瘤の緊急止血法の第一選択である.CAはリピオドールと約70% 混合溶液を直接胃静脈瘤に穿刺注入する.出血部位を充てんするだけでなく,周囲の静脈瘤内にも薬液が満たされるように配慮する.異時的に硬化療法やB-RTO(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)を追加して,完全消失を試みる.Hassab手術は若年者で考慮する.併存する肝機能異常の原因や門脈全体の血行路異常を調査しておく.肝癌合併も必ず調査する.
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