空気と比較して,二酸化炭素(CO
2)は生体内での吸収・排出が速いことが知られている.近年,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の開発・普及に伴い,消化管の早期癌に対するESDが飛躍的に増加しており,それに伴い長時間に及ぶ手技や合併症の報告も増加している.CO
2送気は,腸管過伸展による腹部膨満感・腹痛や穿孔による気腫・気腹を軽減できる可能性があり,大腸内視鏡を中心に普及し始めている.欧米では1980年代から使用されているが,本邦における使用施設は限定的である.筆者らは,大腸ESDおよび食道・胃ESDにおけるCO
2送気の安全性・有用性を検討し,通常送気と同様に使用できることを報告してきた.将来的には,CO
2送気は消化管内視鏡検査において,標準的に使用されるようになると考えている.
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