日本消化器内視鏡学会雑誌
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54 巻 , 12 号
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総説
  • 花田 敬士, 飯星 知博, 山雄 健太郎, 平野 巨通
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3773-3782
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    膵癌早期発見における内視鏡的診断戦略について概説した.従来の診断体系は,腹部US等でスクリーニングされた膵管拡張,膵嚢胞性病変などの間接所見から造影CTなどを用いて“腫瘍性2cm以下の病変”を発見するアルゴリズムであった.一方,近年の報告から早期診断の目標であった腫瘍径2cmの症例はStage III以上の進行膵癌が多く,より長期の予後が期待できるStage Iまでで診断するには腫瘍径1cm以下での拾い上げが求められている.これを実現するには,上述の間接所見を契機に,MRCP,EUSなどを用いて膵管の限局的な異常所見を確認した後,腫瘍の直接描出が可能な症例にはEUS下穿刺吸引細胞組織診(EUS-FNA)を,腫瘍性病変が描出できない症例にはERCPおよび複数回の膵液細胞診を行って診断するアルゴリズムが有用である可能性がある.
    また,早期診断には危険因子の理解が重要であり,膵癌診療ガイドラインに記載された項目に該当する患者に対する地域病診連携を生かした効率的なスクリーニング体制の整備が求められる.
原著
  • 今川 敦, 竹内 桂子, 吉田 泰成, 安齋 泰子, 神野 秀基, 守屋 昭男, 幡 英典, 中津 守人, 安東 正晴, 竹中 龍太, 藤木 ...
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3783-3789
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    【目的】胃ESDにおける蠕動抑制薬としてのミントオイル散布法の有効性と安全性を検討した.【方法】対象は2007年8月から2011年12月までに2施設による胃ESD症例のうち,術中に自作ミントオイルを投与し,蠕動抑制効果が判定可能であった胃体部から前庭部病変の165症例を解析した.独自のスコアを利用し蠕動抑制効果を評価し,追加薬剤投与の頻度,蠕動抑制持続時間を検討した.【結果】男性116例,女性49例,全体の蠕動抑制スコアは4.66(1-5点で評価)であり,十分な蠕動抑制効果を認めた.1.9%で抗コリン剤等の追加投与が必要であり,平均持続時間は44.8分であった.全例で明らかな副作用を認めず,すべての評価において高齢者(70歳以上)と非高齢者の間に差は認めなかった.【結論】ミントオイル散布法は長時間手技である胃ESDにおいて有効であり,高齢者に対しても安全に使用可能であることが示された.
症例
  • 河野 文彰, 関屋 亮, 中村 都英, 鬼塚 敏男
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3790-3796
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    患者は67歳,男性.胃噴門部の腫瘍の精査にて当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査で胃噴門部に表面が結節状で白苔を伴った腫瘤を認めたが腫瘍の基部は確認できなかった.組織生検にて低分化型癌と診断されたため胃原発癌の診断で手術を施行した.術中所見で腫瘍の基部を下部食道粘膜に認めたため,食道原発悪性腫瘍と診断し食道部分切除術を施行した.切除標本で腫瘍の基部は食道胃接合部直上の食道粘膜に認め,腫瘍本体は胃内に脱出していた.病理組織診断にて食道癌肉腫と診断された.胃内に脱出した非常にまれな食道癌肉腫を経験したので報告した.食道癌肉腫の典型的な内視鏡所見を熟知することが術前診断に必要であったと考えられた.
  • 木原 俊裕, 須原 寛樹, 市川 雄平, 富田 英臣, 岡田 昭久, 馬渕 龍彦, 竹内 真実子, 細井 努, 山田 雅彦
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3797-3803
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.心窩部痛精査の上部消化管内視鏡検査で前庭部小彎に不整潰瘍性病変を認め生検で扁平上皮癌であった.FDG-PET/CT所見では胃前庭部小彎に高度の集積亢進を認めたが,その他には原発を疑う異常集積は認めなかった.胃原発扁平上皮癌と診断し,幽門側胃切除術,2群リンパ節郭清を施行した.病理組織検査では中分化から低分化扁平上皮癌で腺癌成分は認められなかった.腫瘍と食道粘膜の間には正常胃粘膜を認め,食道との連続性は認めなかった.胃原発扁平上皮癌は自験例を含め45例のみが報告されている稀な疾患である.
  • 春田 英律, 細谷 好則, 倉科 憲太郎, 瑞木 亨, 宇井 崇, 矢野 智則, 山本 博徳, 菅野 健太郎, 佐田 尚宏, 安田 是和
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3804-3811
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    65歳男性.胃癌と左腎癌に対して胃全摘術・Roux-en Y再建,左腎摘術を受け,術後2年目に輸入脚症候群による敗血症性ショックを発症.Y脚が腎摘部に落ち込み狭窄しており,輸入脚症候群は慢性化し全身状態不良であった.輸入脚内のドレナージと栄養投与を目的に,経皮内視鏡的十二指腸瘻造設術(D-PED)を施行.ダブルバルーン内視鏡を用いてY脚吻合部を逆行し,十二指腸内に経胃瘻的腸用カテーテルを挿入.チューブ先端を輸出脚内に留置した.D-PED後は輸入脚の拡張は認めず,全身状態の改善が得られ,バイパス手術が可能になった.輸入脚症候群の治療にD-PEDを応用した症例の報告はなく,有効な手技と考えられる.
  • 降簱 誠, 久保 淑幸, 石橋 祐子, 水野 智哉, 山田 純, 野村 良平, 上 奈津子, 谷 雅夫, 阿川 千一郎, 和田 ...
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3812-3817
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    症例は40歳女性,突然の大量の血便のため当院に入院した.患者は健常で,基礎疾患はなかった.下部消化管内視鏡検査により,出血源は歯状線直上の下部直腸に発症した拍動性の露出血管を伴う潰瘍と判断した.露出血管の太さから内視鏡的止血は困難と判断した.入院後も大量下血を繰り返し,ショック状態に陥り,腰椎麻酔下に経肛門的縫合止血術施行した.術後は貧血ならびに全身状態も改善し,第12病日に退院となった.術後3カ月の下部消化管内視鏡検査では潰瘍部は瘢痕化していた.基礎疾患を有さない患者に生じる急出血性直腸潰瘍は稀であり,今後更なる症例の蓄積と疾病概念の分類の検討が必要であると考えられた.
  • 出雲 渉, 古川 健司, 山崎 希恵子, 畑地 健一郎, 小松 明男, 重松 恭祐
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3818-3825
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.持続する排便不良,腹満を主訴に当院受診となり大腸内視鏡検査,注腸造影検査にてRsに全周性の2型病変を認めその口側には多数の憩室が見られた.狭窄高度で腸閉塞症状見られたため経肛門的にイレウス管を挿入し減圧後の一期的吻合を予定していたが,挿入後4日目に下腹部痛,発熱を認めCTにてイレウス管先端の腹腔内への突出が見られたため,緊急Hartmann手術を施行した.術中所見では癌部より口側15cmの憩室からイレウス管の先端が腹腔内に突出しており病理所見でも憩室からの穿孔と確認できた.経肛門的イレウス管挿入後に憩室からの穿孔を認めた報告は本邦第1例であり,文献的考察を加えて報告する.
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手技の解説
資料
  • 中井 陽介, 伊佐山 浩通, 外川 修, 木暮 宏史, 辻野 武, 八木岡 浩, 八島 陽子, 佐々木 隆, 伊藤 由紀子, 松原 三郎, ...
    2012 年 54 巻 12 号 p. 3837-3845
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    【目的】われわれは悪性中下部胆管閉塞に対するcovered Wallstentの閉塞率が低い一方で,stent関連偶発症が多いことを報告した.今回ステントの特徴に基づいたcovered Wallstentの新しい挿入法の導入によりステント関連偶発症を減少することができるかを検討した.
    【方法】悪性中下部胆管閉塞に対して2001年10月から2003年10月までに留置した69例と,その後,2003年12月から2007年1月までに新しい挿入法で留置した69例の計138例を対象とした.新しいステント挿入法として,主膵管への癌浸潤がない症例では乳頭切開を行うことにより膵炎を予防し,胆管のキンクとステント逸脱を防ぐ目的で,長いステントを,狭窄中央部にステント中央部が位置するように留置する方法を用いた.前向きに集積されたデータを後ろ向きに比較検討した.
    【結果】Tumor ingrowthはいずれの群でも認めず,ステント閉塞率はGroup1で18.8%,Group2で23.2%であった.ステント関連偶発症の発症率は,Group1で39.1%,Group2で30.4%と有意差を認めなかったが,3カ月以内のステント関連偶発症は,Group1の22回から,Group2の13回に減少した.また,生存期間とステント開存期間については,2群で差を認めなかったが,Event free survivalの中央値は,Group1の125日からGroup2の268日へ延長を認めた(P=0.020).
    【結論】われわれのcovered Wallstentの新しい留置法により,event free survivalの延長を認めた.
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