日本消化器内視鏡学会雑誌
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54 巻, 11 号
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総説
  • 細川 治, 渡邊 透, 佐藤 広隆, 真田 治人
    2012 年 54 巻 11 号 p. 3551-3559
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/30
    ジャーナル フリー
    我が国においてX線を用いた胃がん検診は50年以上続いて来たが,日常臨床においてX線検査が減少したことから今後の持続性が疑問視されている.内視鏡がこれに替わる位置にいるべきだが,円滑な移行にはほど遠く,検診件数は5%に満たない.その最大の理由は胃がん死亡率減少のエビデンスがないことで,僅かずつではあるがこれを証明しようとする試みが行われている.現在の段階では,内視鏡検診がX線検診に比較して胃がん発見率ならびに陽性反応適中率,早期胃がん比率において高く,胃がん1例あたりの発見費用が安価であることを主張して,自治体に働きかけざるを得ない.内視鏡検診は精度管理を行うことが必須であり,苦痛を少なくするために経鼻内視鏡スコープの導入などが必要と思われる.血液検査でリスクを評価して対象を選定する試みは議論の途上にある.
原著
  • 林 智之, 土山 寿志, 山田 真也, 竹田 康人, 木藤 陽介, 伊藤 錬磨, 中西 宏佳, 辻 国広, 稲垣 聡子, 冨永 桂, 早稲田 ...
    2012 年 54 巻 11 号 p. 3560-3566
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/30
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】二酸化炭素(CO2)送気を用いた全大腸内視鏡検査の安全性と有用性を空気送気と比較し検討した.【方法】無作為に二酸化炭素送気(CO2群)77例と空気送気(Air群)77例に振り分け,患者背景,バイタルサイン,腹囲,自覚症状,コストについて検討した.自覚症状はアンケート形式にて評価した.【結果】患者背景やバイタルサインに両群間で差を認めなかった.腹囲は検査前-直後では両群間で差を認めなかったが,直後-15分後ではCO2群1.3±2.2cm減,Air群0.4±2.0cm増とCO2群で有意に減少した(p=0.006).検査直後の腹満感はCO2群で少なく(p=0.008),15分後にはさらに顕著となった(p<0.001).CO2のコストは30.4±14.6円/回であった.【結論】CO2送気による全大腸内視鏡検査は,バイタルサインに大きな変動をきたさずに腹満感を軽減させ,有用と考えられた.
症例
経験
注目の画像
手技の解説
  • 山田 展久, 八木 信明, 鎌田 和浩, 半田 修, 内藤 裕二
    2012 年 54 巻 11 号 p. 3610-3618
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/30
    ジャーナル フリー
    残胃の早期胃癌に対しても,胃癌ガイドラインの適応に準じて,絶対適応病変,適応拡大病変ではESDによる治癒が望めるとされている.残胃全摘術と比べてESDは,術後QOLの面で優れているが,技術的には難易度が高い処置であり偶発症のリスクもある.残胃では蠕動運動が弱く食物残渣が残りやすいこと,内腔が狭く変形していること,吻合部や縫合線による瘢痕やステイプルがあり処置が困難であることなどの問題点がありそれぞれに対処を要する.また,縫合部は,外反縫合(漿膜筋層縫合の有無別),内反縫合などの縫合方法の違いによりステイプルと粘膜,筋層との位置関係が異なるため,剥離深度による穿孔のリスクや根治性の低下を認識することが重要と考える.安全性と根治性を考慮して症例ごとに適切な剥離深度を検討し,十分な経験を積んだ内視鏡医が慎重に施行するべきであり,治療後の経過観察も厳重に行うことが求められる.
  • 菊山 正隆, 島谷 昌明, 松村 和宣
    2012 年 54 巻 11 号 p. 3619-3635
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/30
    ジャーナル フリー
    胃切除後の総胆管結石治療は,症例の蓄積に合わせ内視鏡の進歩により,Billroth II法再建やRoux-en-Y法再建の症例であっても,治療の適応を前向きに検討されるようになりつつある.これらの症例において重要なことは,十二指腸への到達と選択的胆管深部挿管の技術であり,それは選択する内視鏡に依存している.Billroth II法再建では先端フードを装着した直視鏡もしくは前方斜視鏡,Roux-en-Y法再建ではバルーン小腸内視鏡もしくは小腸内視鏡用オーバーチューブ併用の前方斜視鏡が有用な内視鏡と考える.さらに,輸入脚への内視鏡挿入,トライツ靭帯の通過,選択的胆管挿管にはそれぞれ習得したい技術がある.
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