【背景・目的】外科切除例でのリンパ節転移の検討に基づいてガイドラインの内視鏡的摘除後追加治療の適応基準が示されているが,その長期予後は充分検討されていない.われわれは大腸SM癌内視鏡摘除例の予後解析を行いガイドラインの妥当性を検証した.
【対象・方法】内視鏡的摘除後に追加治療を行わなかった大腸SM癌192例を対象とした.適応基準に基づいて根治群,非根治群にわけて検討した.
【結果】根治群では局所粘膜内再発1.3%のみであったが,非根治群では20.0%(局所粘膜内再発2例,局所SM以深再発8例,遠隔転移4例)に再発し,非根治群のみに原癌死4例を認めた.再発までの平均期間は22.1カ月であった.
【結論】根治群はpM癌に準じた取扱いでよい可能性が示唆された.また,非根治群を追加治療しない場合,3-5年は再発・転移のサーベイランスを考慮し,その際には特に粘膜下再発に留意すべきである.
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