【目的】悪性gastric outlet obstruction(GOO)治療における2種類のSEMSの治療効果の比較検討を行った.
【方法】3年間にわたり前向きに53例の症候性GOO患者に対しNiti-S stent(NS)を留置した.その治療結果を過去5年間に31例に対してUltraflex stent(UF)を使用した治療結果との比較を行った.本研究における評価項目は臨床効果,合併症,再治療における両群間の比較とした.
【結果】両群の患者背景には差はなかった.手技的成功率と臨床的成功率は両群で差はなかった.NSではUFと比較して有意に手技時間が短かった(15分 vs. 40分;
P<0.0001).統計学的有意差はないものの,合併症発生率はNSでやや高率であった(16% vs. 25%).重大合併症は両群とも2例ずつ発生した.再治療はNS群でより高率に要した(3% vs. 21%;
P=0.0485).生存期間(中央値)はUF群で53日,NS群で88日であった.
【結論】UFはNSと比べ再治療必要率は低率であったが,手技時間は著しく長かった.Through-the-scope法によるNS留置はover-the-wire法によるUS留置と比べて患者に負担のない手技である.
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