当院にて静脈瘤出血を除く上部消化管出血で緊急内視鏡検査を施行した307例を,70歳以上・未満の2群に分けて併存疾患や服薬歴,
H. pylori感染の有無など患者背景とともに,内視鏡診断,止血術の有無,輸血の有無,死亡率についてそれぞれ比較検討した.高齢者群で女性の割合が有意に増加し,原因疾患として両群とも胃潰瘍が最も多く,次いで十二指腸潰瘍が多かった.高齢者群において併存疾患を有する割合,抗凝固薬・抗血小板薬・NSAIDsの服薬,輸血を必要とした割合が有意に高率であった.一方,
H. pylori感染の有無では高齢者群で低値で,止血術の有無では両群間に有意差は認めなかった.死亡率は高齢者群で有意に高率で,悪性疾患や重篤な併存症の存在がその一因と考えられた.また,高齢者群においては男性で有意に死亡率が高かった.
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