日本消化器内視鏡学会雑誌
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54 巻, 6 号
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総説
  • 木下 芳一, 石原 俊二, 天野 祐二, 清村 志乃, 多田 育賢, 丸山 理留敬
    2012 年 54 巻 6 号 p. 1797-1805
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/03
    ジャーナル フリー
    好酸球性胃腸炎の原因は明らかとはなっていないが,Th2反応をおこしやすい個人が食物抗原等に反応して消化管でのIL-5,-13,-15,eotaxin等のサイトカインの産生が高まり好酸球やマスト細胞が活性化されて消化管上皮に傷害をおこすアレルギー疾患であると考えられている.本疾患は40歳頃を発症ピークとし男女共にほぼ同様に発症するが,喘息などのアレルギー歴を有する例が多い.主訴は腹痛と下痢であることが多く,末梢血白血球の増加や好酸球の増加を80%以上の例でみとめる.粘膜に病変を有する例では内視鏡検査で,びらん,発赤,浮腫などをみとめるが,内視鏡検査では確定診断はできず複数個の生検が必須である.漿膜下に病変のある例では腹水をみとめ腹水中に好酸球を多数みとめる.治療はグルココルチコイドが主となるが,減量・中止後に再発をきたしやすく,減量を補助するため種々の抗アレルギー薬が使用されることがあるが,その有効性に関するエビデンスは十分ではない.
原著
  • 菊池 大輔, 古畑 司, 飯塚 敏郎, 山田 晃弘, 山下 聡, 藤本 愛, 中村 仁紀, 松井 啓, 三谷 年史, 小川 修, 布袋屋 修 ...
    2012 年 54 巻 6 号 p. 1806-1811
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/03
    ジャーナル フリー
    近年抗血栓療法中の患者に対する内視鏡の需要が増している.日本と欧米では抗血栓療法中の観血的処置に対する取り扱いが異なる.当院における日本消化器内視鏡学会の抗血栓療法に関する指針の遵守状況と内視鏡に伴う出血・塞栓症の発症について調査した.約7割の医師が抗血栓療法中の観血的処置の経験を有していた.認識不足により行った医師が約半数であり,最多の原因であった.4割の医師は抗血栓療法中であることを知りつつインフォームド・コンセント後に処置を行っていた.処置後の対応としては2割の医師が内視鏡的な予防的止血術を行い,半数の医師が抗潰瘍薬の投薬を行っていた.今回の調査において,処置に伴う消化管出血の発症は認められなかった.一方で,1/4の医師が抗血栓療法中止に伴う血栓塞栓症を経験していた.抗血栓療法の中止にはより慎重な姿勢が求められるが,今後学会を中心とした日本人によるエビデンスの構築が必要と考えられた.
症例
経験
  • 海宝 雄人, 齊藤 正昭, 角田 慎輔, 青木 泰斗, 青柳 智義, 池田 憲政, 三浦 文彦, 松原 久裕
    2012 年 54 巻 6 号 p. 1853-1857
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/03
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】内視鏡による胃液pH検査は酸関連疾患の研究にしばしば用いられる.ぶどうジュースにはpHにより色調が変化する色素が含まれており,これを利用した内視鏡による胃液pHの評価を試みた.
    【方法】咽頭麻酔時にぶどうジュースを投与し前処置をおこなった.その後内視鏡検査時にモニターでの胃液の色調評価,胃液の採取およびpH測定を行った.
    【結果】胃液の色調は赤色,黒青色,透明~白色,黄色の4つに分類した.黄色と透明~白色以外のすべての色間でpH値は有意差を示した.赤色および透明~白色では酸性であり,黒青色は弱酸性から中性であった.
    【結論】胃液pH測定は胃酸関連疾患の病態生理を知るうえで有意義である.本法により容易かつ安全に多くの症例で大まかな胃液pHの評価が可能である.
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手技の解説
資料
  • 和田 祥城, 樫田 博史, 工藤 進英, 三澤 将史, 池原 伸直, 浜谷 茂治
    2012 年 54 巻 6 号 p. 1873-1882
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/03
    ジャーナル フリー
    【目的】大腸病変に対してnarrow band imaging(NBI)拡大内視鏡によるvascular pattern診断と色素拡大内視鏡によるpit pattern診断の有用性を検討した.
    【方法】2006年1月より2008年2月にNBI・色素拡大観察した後に切除された1,185症例1,473病変に対してvascular/pit patternの質的・深達度診断の精度を比較した.
    【結果】Vascular patternに関して,faintを過形成性ポリープの指標とすれば,感度/特異度は88.9%/98.5%であった.また,irregular/sparseをSM深部浸潤癌(SMm)の指標とした場合,感度/特異度は94.9%/76.0%であった.一方でII型pit patternを過形成性ポリープの指標とすれば,感度/特異度は86.8%/99.2%であった.VI高度不整/VN型pit patternをSMmの指標とした場合,感度/特異度は89.7%/88.0%であった.
    【結論】NBI・色素拡大観察は両者とも腫瘍・非腫瘍の鑑別に有用であった.SMmの診断に関してはpit pattern診断の方が特異度が高いため,治療方針の決定にはvascular pattern診断に加えてpit pattern診断をすることが有用であると考えられた.
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