日本消化器内視鏡学会雑誌
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55 巻, 3 号
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原著
  • 永田 浩一, 田尻 久雄, 光島 徹, 歌野 健一, 高林 健, 渡辺 直輝, 赤羽 麻奈, 加藤 貴司, 平山 眞章
    2013 年 55 巻 3 号 p. 435-444
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    【目的】大腸3D-CTを用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した.
    【対象】50歳以上の日本人とアメリカ人650名ずつ,合計1,300名を対象とした.
    【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ154.7cm,158.2cm,(p値:0.003,効果量:0.17),S状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ63.3cm,62.5cm,(p値:0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ153.2cm,155.6cm,60歳代で155.2cm,159.3cm,70歳代で161.8cm,165.2cmで,日米ともに世代が上がるにつれて有意に長くなった.
    【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.
症例
  • 辻 国広, 土山 寿志, 中西 宏佳, 早稲田 洋平, 吉田 尚弘, 竹村 健一, 山田 真也, 丹羽 秀樹, 片柳 和義, 車谷 宏
    2013 年 55 巻 3 号 p. 445-449
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性.前医の上部消化管内視鏡検査にて早期胃癌を指摘され,当院紹介となった.術前の内視鏡検査では前庭部後壁に径15mm大の陥凹性病変を認めた.白色光観察では胃黄色腫との鑑別は困難であったが,NBI併用拡大内視鏡観察にて早期胃癌と診断しESDを施行した.切除標本の病理組織所見では胃黄色腫にほぼ重なるように早期胃癌を認めた.胃黄色腫と併存する早期胃癌の症例は過去にも報告されているが,同病変のNBI併用拡大内視鏡観察の報告はなく,今回報告する.
  • 高住 美香, 石幡 良一, 紺野 直紀, 渡辺 研也, 高野 真, 猪狩 弘之, 内海 康文, 村島 正泰, 引地 拓人, 小原 勝敏, 大 ...
    2013 年 55 巻 3 号 p. 450-458
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    69歳,男性.市民検診にて胃の隆起性病変を指摘され,精査加療目的に当科を受診した.内視鏡検査では胃体上部大弯後壁側に上皮性変化を伴う3cm大の亜有茎性腫瘍を認め,早期胃癌と考えESDを施行した.病理組織にて胃癌とカルチノイドが同一病変内に併存している所見を認め,背景粘膜には非腫瘍性内分泌小胞巣が認められた.さらに本例では,胃体部粘膜の萎縮,高ガストリン血症,抗胃壁細胞抗体陽性を認めA型胃炎と診断した.A型胃炎を背景に胃癌と胃カルチノイドが同一病変内に併存した症例は稀であり,内視鏡的に切除し得た1例を経験したので報告する.
  • 山田 正明, 加藤 慶三, 鹿島 励, 藤本 誠, 梶浦 新也, 藤浪 斗, 山田 一樹, 田中 三千雄
    2013 年 55 巻 3 号 p. 459-466
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性,黒色便と意識障害,ショック状態にて搬送された.内視鏡検査を行い,十二指腸球部前面に潰瘍病変と露出血管を認めた.クリッピングによる止血術を施行直後に視野が確保できないほどの噴出性出血となり,ショックを呈した.そこで血圧維持のため大動脈閉塞バルーン(intra-aortic balloon occlusion,IABO)挿入法を施行した.上半身の血圧維持と出血部の血流遮断効果にて,内視鏡視野が良好となったため止血術を再開,完遂させることに成功した.その後,出血部は膵癌による十二指腸浸潤と判明した.IABO挿入法が出血性ショックを伴う内視鏡的止血術の施行に際し,血圧の維持と同時に内視鏡的止血術の補助として有効であった症例を経験した.
  • 竹内 庸浩, 前田 哲男, 多田 秀敏, 西田 悠, 野村 祐介, 牧野 哲哉, 仙波 秀峰
    2013 年 55 巻 3 号 p. 467-475
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は83歳男性.黒色便を主訴に救急搬送され,下部消化管内視鏡検査にて回腸に多発潰瘍を認めた.低用量アスピリンとの関係が疑われ,内服を中止の上,絶食にて加療した.経過中,高熱,炎症反応高値を繰り返したが,内視鏡所見上,小腸潰瘍はほぼ治癒した.腰部脊柱管狭窄による腰痛のため入院第53日よりセレコキシブ200mg/日投与を開始した.入院第78日,激しい腹痛が出現し,腹部CT検査で遊離ガスを認め,消化管穿孔と診断し開腹手術となった.終末回腸に10カ所の打ち抜き穿孔を認め,病理組織所見で非特異的炎症と診断され,セレコキシブとの関連が疑われた.
  • 久保 公利, 宮城島 拓人, 小田 寿, 山本 純司, 長佐古 良英, 小笠原 和宏, 高橋 達郎, 市原 真
    2013 年 55 巻 3 号 p. 476-484
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は近医より出血源不明の下血として紹介された75歳男性.カプセル内視鏡検査で回腸に表面に網目状白線を持つ隆起病変を認めたため,経肛門的ダブルバルーン内視鏡検査を施行したところ,回腸末端から90cmの部位に内腔に突出する棍棒状の隆起病変を認めた.表面は小腸正常粘膜に覆われ,頂部は陥凹していた.小腸造影でも回腸内に棍棒状隆起を認め,メッケル憩室内翻症と診断し当院外科にて腹腔鏡下切除術を施行した.病理組織学的には内翻した真性憩室であった.術前診断にカプセル内視鏡・ダブルバルーン小腸内視鏡が有用であった.
経験
  • 吉田 行哉, 岩永 智恵子, 尹 京華, 仲又 進, 宮坂 信雄, 中山 聡, 江副 純
    2013 年 55 巻 3 号 p. 485-489
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経鼻内視鏡用のディスポーザブル生検鉗子ジェイスルーは,スコープが最大up-angleの状態でも比較的容易に彎曲部を追加し,また,鉗子抜去時に鉗子が彎曲部を通過する時の抵抗値が少なかった.本生検鉗子はカップ先端から25mmまで,特にカップとワイヤの接続部の柔軟性が高いという特徴を有しており,この構造が良好な鉗子の通過性を実現させた理由と考えられた.また,本生検鉗子によって採取可能な組織量は生検組織診断に必要とされる組織量を確保できていた.
    以上から,ジェイスルーは鉗子チャンネルの通過性に優れ,かつ,鉗子の出し入れによる鉗子チャンネルへの負荷を軽減できるディスポーザブルの経鼻内視鏡用生検鉗子と考えられ,今後の臨床応用が期待される.
注目の画像
手技の解説
  • 金子 剛, 松井 裕史, 頼 冠甫, 間宮 孝, 溝上 裕士
    2013 年 55 巻 3 号 p. 494-501
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    光化学療法(Photodynamic Therapy:PDT)は,癌親和性のある光感受性物質とその吸収波長に適合したレーザーを用いた組織破壊法の一つである.これは高出力レーザー治療とは異なり,癌特異的に集積する光感受性物質を投与後にレーザー照射をすることで細胞内にフリーラジカルを発生させ,癌選択的壊死を惹起する治療であり,消化器領域だけでなく呼吸器科・婦人科・眼科領域にも幅広く保険適応を有する低侵襲治療である.高齢化が進む本邦においては,安全かつ生活の質を妨げない治療法の需要がいや増して高まっており,PDTはその一端を担う治療として有望である.本稿では高齢者においても安全で有効な治療法であるPDTの概略を当院における治療の流れに沿って紹介する.
資料
  • 岩野 博俊, 良沢 昭銘, 石垣 賀子, 田場 久美子, 仙譽 学, 吉田 加奈子, 坂井 田功
    2013 年 55 巻 3 号 p. 502-509
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    【目的】肝門部胆道狭窄に対して,片葉ドレナージか両葉ドレナージのいずれを選択すべきか統一的な見解はない.そこで,片葉と両葉のどちらが優れているか検討を行った.
    【方法】肝門部狭窄に金属ステント留置を行った82人を,片葉留置群と両葉留置群に分けて後ろ向きに検討した.
    【結果】生存期間,ステント開存期間,合併症なく生存した無合併症生存期間は両群で差はなかった.最も高頻度な合併症は閉塞で,次は胆管炎であった.肝膿瘍は片葉留置群(1.5%)に比べ両葉留置群(17.6%)で有意に多く認めた(P=0.0266).2回以上の繰り返す合併症(P=0.247),致死的な合併症(P=0.0577),ステント閉塞(P=0.0912)では,両群に差を認めなかった.
    【結論】片葉留置群のステント開存期間,無合併症生存期間は両葉留置群と同等であり,肝膿瘍は有意に低率であった.肝門部胆道狭窄には,まず片葉ドレナージを行い,両葉ドレナージは対側の胆管炎を生じた場合に追加で行うのが良い.
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