日本消化器内視鏡学会雑誌
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55 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
原著
  • 太田 敬之, 若崎 久生, 早川 隆洋, 宮本 和佳, 石橋 達也, 中川 貴之, 高木 伴幸, 栗栖 清悟, 遠藤 久子, 川嶋 弘道, ...
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1453-1459
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    逆流性食道炎(RE)と胃食道逆流症(GERD)症状の関連性が糖尿病の有無で変化するかを健診受診者を対照群として比較検討した.スクリーニング目的で上部消化管内視鏡を施行した糖尿病患者88名と非糖尿病者263名を対象とし,自答式問診票を用いてGERD症状を認めた者をsymptomatic GERDと診断した.REの頻度は糖尿病患者で有意に高かったが,symptomatic GERDの頻度は両群に差を認めなかった.非糖尿病者ではsymptomatic GERDの有無でRE有病率に差が認められたが,糖尿病患者では認められなかった.糖尿病患者では非糖尿病者と比較し,胃酸逆流が生じてもsymptomatic GERDが顕在化しにくくなる可能性が示唆された.
症例
  • 阿曽沼 祥, 阿部 靖彦, 藤坂 泰之, 洞口 愛, 梅村 賢, 飯岡 佳彦, 大沼 勝, 三浦 雅人
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1460-1466
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.若年時に完全内臓逆位を指摘.上部消化管内視鏡検査で胃体上部小彎後壁に4cm前後の0-I+IIa型早期胃癌を認めた.初回の内視鏡検査では左側臥位で開始したが嘔吐反射が強く,途中で右側臥位に変更したが途中仰臥位になることで誤嚥を来たし検査に難渋した.2回目の検査時には右側臥位で挿入し観察したところ嘔吐反射は軽度であったが,通常と異なる姿勢での検査となり精密な内視鏡操作が困難であった.粘膜下層への浸潤を疑う所見を認めず,内視鏡治療の適応拡大病変と考えられESDを施行した.鎮静下に左側臥位で施行したが,剥離した病変の垂れ下がる方向や出血方向が通常と逆で口側から肛門側への方向ではあったが合併症なく切除し得た.
  • 山口 哲司, 大上 英夫, 塚田 一博
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1467-1472
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は82歳の女性.脳梗塞後の嚥下障害のため,経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:以下PEG)を予定した.PEG前評価として,経鼻内視鏡検査を行い十二指腸球部まで粗大病変がないことを確認した.胃内にガスを充満させた状態で,直後に腹部単純CTを行ったところ,腹腔内遊離ガスを伴った結腸型腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intstinalis:以下PCI)を認めた.臨床所見に乏しく保存的加療を選択し,増悪することなく改善した.上部消化管に狭窄や潰瘍病変がない症例で,内視鏡検査後に発症したと思われるPCIの1例を経験したので報告する.
  • 木村 豊, 山本 守敏, 團野 克樹, 巽 信之, 金子 晃, 久保 光彦, 門田 卓士
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1473-1477
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は高血圧症で通院中の77歳女性.貧血精査の上部消化管内視鏡検査の後,意識消失・心肺停止をきたしたため心肺蘇生処置を行い緊急入院となった.腹部造影CT検査で左胃大網動脈瘤破裂による腹腔内出血を認め,腹部血管造影検査で左胃大網動脈瘤破裂と診断され,マイクロコイルで塞栓した.上部消化管内視鏡検査時の胃壁の圧排伸展が動脈瘤破裂に関与した可能性があると考えられた.
  • 會澤 信弘, 岩田 恵典, 高嶋 智之, 坂井 良行, 榎本 平之, 河野 友影, 中村 志郎, 松本 譽之, 三輪 洋人, 西口 修平
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1478-1483
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性で,タール便を主訴に入院となった.非代償期C型肝硬変と肝細胞癌にて経過観察されていた.食道静脈瘤に対し6年前に内視鏡的静脈瘤硬化療法を行った.肝細胞癌に対し計7回肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行った.腹部造影CTにて十二指腸周囲に静脈瘤を認めた.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸水平部に白色栓を伴う腫瘤状の静脈瘤を認めた.この静脈瘤に対し,ダブルバルーン内視鏡を用いて内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行した.初回治療3週間後のCTにて十二指腸静脈瘤は消失しており,内視鏡検査ではEVL後の瘢痕を認めた.十二指腸静脈瘤破裂に対して,ダブルバルーン内視鏡を用いたEVLは有用な治療法と考えられた.
  • 中村 威, 島田 理子, 千葉 斉一, 有澤 淑人, 橋本 光正
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1484-1487
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    Spigelヘルニアは比較的まれな腹壁ヘルニアである.今回,われわれは腹腔鏡で修復し得たSpigelヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は82歳の女性.嘔気,嘔吐を主訴に当院受診した.イレウス像を呈し,CTでSpigelヘルニア嵌頓と診断した.イレウスチューブを挿入した上で手術を施行した.腹腔鏡下手術でヘルニア門を単純閉鎖して修復し得た.術後経過は良好で術後5日目に退院した.
  • 日下 順, 鈴木 敬, 藤田 直孝, 野田 裕, 平澤 大, 尾花 貴志, 菅原 俊樹, 大平 哲也, 原田 喜博, 前田 有紀
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1488-1493
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    56歳男性.全大腸内視鏡検査で上行結腸に約15mmのIp病変を認めた.内視鏡所見より腺腫を考え切除の方針としたが,患者の都合で10カ月後に治療となった.治療時,病変はIsに明らかに形態変化を来たし,拡大観察ではVN pit patternを呈し,SM深部浸潤を示唆する所見であった.診断的治療目的で内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織診断は高分化管状腺癌で深達度はpSM(3,800μm)であった.
  • 麻生 暁, 久保 宏明, 中村 和彦, 下川 雄三, 大野 隆真, 伊原 栄吉, 五十嵐 久人, 伊藤 鉄英, 後藤 綾子, 小田 義直, ...
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1494-1501
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の男性.背部痛を主訴に近医を受診した.腹部CTにて膵頭部に40mm大の不整な嚢胞性病変を認め,慢性膵炎の急性増悪,膵仮性嚢胞と診断され,保存的に症状が軽快した.5カ月後に皮膚黄染を認め,CTにて病変は75mmまで増大を認め,胆管圧迫に伴う閉塞性黄疸の診断にて当院に入院となった.内視鏡ドレナージ後も黄疸が遷延したため,減圧と組織学的評価を行うために超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)が施行され,膵腺房細胞癌(ACC)と診断された.自験例はACCとしては稀な画像所見を呈し,EUS-FNAによる病理学的評価が診断,治療方針決定に有用であった.
注目の画像
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
  • 工藤 進英, 若村 邦彦, 森 悠一
    2013 年 55 巻 4 号 p. 1510-1517
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/21
    ジャーナル フリー
    大腸をはじめとする消化管診断学の分野では,内視鏡機器の開発・発展に伴い,腺口形態(pit pattern),毛細血管のパターン(IPCL pattern),異常微小血管の観察が可能になった.さらに内視鏡画像の解像度が改善され,腫瘍・非腫瘍の鑑別診断や癌の深達度診断の精度が一層高くなり,診断・治療は飛躍的な進化を遂げた.超拡大内視鏡(endocytoscopy:EC)は,生検せずにreal timeで病理診断を行うという発想のもとに誕生した次世代の内視鏡である.ECは,標的粘膜にスコープ先端を接触させることで,生きた腫瘍細胞の生体内診断が顕微鏡レベルまで可能である.今後も検討を重ねることで,さらに生物の本質に迫った観察・診断がなされることが期待される.
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