【目的】FSSG質問票による胃食道逆流症の臨床症状評価がプロトンポンプ阻害薬(PPI)での治療評価に有用であるか調査した.
【方法】内視鏡検査で胃食道逆流症と診断した日本人患者185人(男性88人,女性97人,平均55.7±16.1歳)を,FSSG質問票でスコア8以上の自覚症状の多い群と7以下の少ない群に分りつけた.生活の質はSF-8質問票で評価した.全患者はPPI(ラベプラゾール,10mg/day)内服治療を8週間受け,治療効果を質問表で評価した.
【結果】症状の多い逆流性食道炎(reflux esophagitis,RE)患者(
n=92,49.7%),症状の少ない逆流性食道炎患者(
n=17,9.2%),症状の多い非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease, NERD)患者(
n=66,35.7%),症状の少ないNERD患者(
n=10,5.4%)の4群に分類した.症状の多いNERD患者は,症状の多い逆流性食道炎患者と比較して,FSSGの消化管運動不全スコアが有意に高かった(9.1±0.5 vs 6.8±0.5,P<0.05).PPI治療後,症状の多い群においては,逆流性食道炎群とNERD群の両方でFSSGと生活の質のスコアが有意に改善した.症状の少ない群においては,逆流性食道炎群では酸逆流スコアのみ改善したが,NERD群では治療効果は観察されなかった.
【結論】FSSG質問表は,スコアの高い胃食道逆流症患者ではPPI治療の優良な指標となるが,スコアの低い患者においては限度がある可能性がある.
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