今回われわれは2カ月間続く下痢を主訴に来院し下部消化管内視鏡検査にて大腸に散在性の軽度発赤・浮腫を認め,同部位からの生検にて腸管スピロヘータ症(Intestinal Spirochetosis,IS)と診断された若年女性の1例を経験した.その他の感染性腸炎や炎症性腸疾患は否定されISによる腸炎と診断しメトロニダゾールによる除菌を行った.治療後は臨床症状,内視鏡所見ともに改善した.ISは
Brachyspira属を原因菌とする人畜共通感染症で大腸粘膜上皮表面にスピロヘータの菌体付着が観察され診断される.ヒトにおける病原性については明らかとなっておらず,若年女性でのISは稀であり文献的考察を加え報告する.
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