目的:急性消化管出血患者におけるリスクスコア(Glasgow-BlatchfordスコアおよびAIMS65スコア)を含む予後因子を評価すること.
方法:過去5年間に消化管出血が疑われ,緊急内視鏡検査を受けた患者192例に対する内視鏡検査232件(上部内視鏡130件,下部内視鏡102件)を対象とし,その診療録を遡及的に解析した.
結果:対象患者の年齢中央値は66歳で,男性が64%を占めた.内視鏡で出血源が同定できた者は173例(腫瘍性病変に対する内視鏡治療後36例,大腸憩室34例,胃十二指腸潰瘍29例,胃びらん15例,血管拡張14例,生検後出血13例,悪性腫瘍10例,炎症性疾患9例,食道胃静脈瘤5例,マロリー・ワイス裂創4例,鼻出血3例,ブリスターパックによる傷害1例)であった.輸血を97例(51%),内視鏡的止血を97例(51%)に施行した.経過観察中に49例(26%)で再出血を認め,このうち7例でinterventional radiologyを行った.種々の原因疾患により39例(20%)が死亡した.3年および5年生存率は各々71%および67%であった.Cox多変量解析の結果,輸血,内視鏡的止血およびAIMS65高スコアが独立した予後不良因子であった.
結論:AIMS65スコアは急性消化管出血患者の予後予測に有用である.
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