背景と目的:消化器内視鏡ではしばしばミダゾラムのような鎮静剤を必要とする.最近,α2アドレナリン受容体作動性鎮静剤であるデクスメデトミジンが開発された.消化器内視鏡におけるデクスメデトミジンによる鎮静の安全性と有効性を評価するために,システマティックレビューとメタ解析を行った.
方法:PubMed,Cochrane Library,医学中央雑誌において論文検索を行い,デクスメデトミジンとミダゾラムを比較した適切な無作為化比較試験を精選した.選択基準を満たした研究データから統合オッズ比もしくは加重平均差を算出した.
結果:無作為化比較試験9件が採択された.体動発生に関してミダゾラムに比較してデクスメデトミジンの統合オッズ比は0.078(95%信頼区0.013-0.453,
P<0.0001)で,各研究間の異質性も認めなかった.ミダゾラムに比較してデクスメデトミジンはRamsay鎮静スコアを有意に上昇させ(加重平均差+0.401;95%信頼区間 0.110-0.692,
P=0.0069),各研究間の異質性も認めなかった.低酸素血症,血圧低下および徐脈に関して,ミダゾラムに比較してデクスメデトミジンの統合オッズ比は,0.454(95%信頼区間0.098-2.11),1.37(95%信頼区間0.516-3.637)および2.58(95%信頼区間0.978-36.785)と両群間に有意差を認めなかった.
結論:消化器内視鏡,特にERCPとESDにおいてデクスメデトミジンはミダゾラムに比較してより有効で,合併症リスクに有意差を認めなかった.
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