大腸内視鏡の軟性部には直線化しようとする性質がある.スコープが撓んだ状態でアングルノブ操作を行うと内部のケーブルが牽引されて軟性部に弾撥力が生じスコープは直線化しようとする.同時にスコープの先端部は前進する.その弾撥力を利用してスコープを挿入する手技がFlick法である.
換言すれば,Flick法は,左手のアングルノブ操作でスコープを前進させて挿入する方法である.その手技を習得するためには瞬時に自分の思う方向へスコープを操作する左手第1指と第4指の訓練が必要である.右手の役割はあくまでも左手の補助である.
スコープの進行方向は無名溝を参考にする.無名溝の垂直方向にアングルノブ操作を行うとスコープは自然と管腔内を進んでゆく.その際,腸管内にあるガスは極力脱気して腸管は虚脱させる.回盲部への到達率は96.1%で平均到達時間は6分06秒,出血穿孔例はない.鎮静剤や鎮痛剤は一切使用せず,検査は被検者と楽しい会話をしながら行う.
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