日本消化器内視鏡学会雑誌
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57 巻, 9 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著
  • 濱本 英剛, 長南 明道, 松田 知己, 中堀 昌人, 石橋 潤一, 三島 利之, 三宅 直人, 高林 広明, 佐藤 俊, 遠藤 希之
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2335-2343
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    【目的】narrow band imaging(NBI)併用拡大観察でシアン調血管(cyan colored vessel:CCV)を認める分化型早期胃癌の特徴を検討する.【対象・方法】2011年4月から2012年12月においてESDで治療し,内視鏡所見と切除検体の対比が可能な分化型早期胃癌41病変.CCVの有無,White Zone(WZ)の視認性,病変の粘膜の厚さ,腺窩の深さ,窩間部の広さを検討し,組織型と微小血管像・微細粘膜模様の関係を検討した.【結果】CCVは9病変(22.0%)で認められ,全例でWZは視認されず,有意に粘膜の厚さは薄く,腺窩は浅かった.CCV(+)例は分化型癌でもWZが視認出来ず,CCV(+)の高分化管状腺癌7例の内irregular mesh patternを呈するものが4例(57.1%)であった.【結論】CCVを認める分化型早期胃癌は粘膜が薄く,腺窩が浅いためWZが視認できず,微小血管像も不整さが強調される.よって組織型診断は慎重に行う必要がある.
症例
  • 西江 裕忠, 奥村 文浩, 水島 隆史, 福定 繁樹, 井上 匡央, 加地 謙太, 尾関 貴紀, 安部 快紀, 岩崎 弘靖, 佐野 仁
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2344-2350
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.嗄声,食思不振を主訴に受診.左反回神経麻痺とリンパ節腫大(気管分岐部リンパ節;No.107)を認めたため,縦隔リンパ節に対し超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)を施行された.検査後37日目に食思不振を主訴に受診,血液検査で炎症反応の上昇を認め,CTでは縦隔リンパ節の腫大,膿瘍形成を認め入院となった.第3病日に施行した上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道前壁に穿通を疑う潰瘍性病変を認めた.縦隔リンパ節膿瘍の食道穿破と考え,絶食,抗生剤治療を開始した.保存的治療開始後,徐々に症状は改善し第41病日に退院となった.EBUS-TBNAを契機に縦隔リンパ節炎,膿瘍を発症し食道穿破をきたした稀な症例であるため報告する.
  • 永原 照也, 今川 敦, 平良 明彦, 藤木 茂篤, 山崎 理恵
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2351-2357
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    ESDにて切除した食道pyogenic granulomaの1症例を経験したので報告する.症例は74歳男性,検診の食道透視で胸部下部食道に隆起性病変を指摘された.食道内視鏡検査では切歯より35cm,10時方向に頂部に薄い白苔を伴いヨード染色で淡染を示す10mm大の亜有茎性病変を認めたが生検では確定診断がつかなかった.超音波内視鏡検査では第二層までの病変として認識され,入院のうえ,Total biopsyとしてのESDを行い切除し,pyogenic granulomaと診断した.治療適応決定にはEUSでの深達度診断が有用であった.
  • 渡辺 卓央, 平澤 欣吾, 原田 真吾, 小野 秀高, 土田 知史, 大田 貢由, 佐々木 毅, 福島 忠男, 國崎 主税, 益田 宗孝
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2358-2363
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.スクリーニングの上部消化管内視鏡検査で,食道胃接合部の腫瘍を指摘された.腫瘍は食道胃接合部に位置する20mm大の0-IIa+IIcで,背景にバレット上皮を有していた.病変の口側3分の2は発赤調の扁平隆起で,生検では高分化腺癌が検出されたが,肛門側3分の1は正常の腺窩上皮に覆われており,生検でも癌は検出されなかった.以上の所見から同部位で粘膜下層浸潤があると判断し,術前診断cT1b(SM),cN0,cM0,cStageIの診断で開腹胃全摘,経食道裂孔下部食道切除術,D1リンパ節郭清を行った.病理診断は中分化バレット食道腺癌pT1b(SM1:50μm),N0,M0で,術前に粘膜下浸潤と判断した病変肛側3分の1は胃粘膜上皮の過形成であった.過形成性腫瘤から発生したバレット腺癌と考えられた.
  • 亀崎 秀宏, 石原 武, 黒澤 浄, 大山 広, 横須賀 收
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2364-2367
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は87歳男性.腹部膨満感を主訴に大腸内視鏡検査が施行された.S状結腸の通過に難渋し,一時スコープが固定され動かなくなった.検査後のCTで鼠径ヘルニアよりS状結腸が脱出していることが判明した.同様の症例でスコープ抜去困難例・穿孔例の報告もあり,高齢男性における大腸内視鏡検査の合併症のひとつとして,注意を要する.検査前に鼠径ヘルニアの有無を確認しておくこと,検査中に体表から鼠径部を観察すること,透視でスコープと恥骨との位置関係を確認することが合併症の予防に重要である.また,スコープが固定され動かなくなった際には,用手圧迫・牽引が有用である.
注目の画像
手技の解説
  • 浦岡 俊夫, 松田 尚久
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2370-2378
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    大腸腺腫に対する内視鏡的ポリペクトミーは,大腸癌の発生率抑制と大腸癌の死亡率低下効果があるが,スクリーニング目的での大腸内視鏡検査にて発見される病変には,1-5mmの微小ポリープと6-9mmの小ポリープの1cm未満の小型ポリープが多くを占める.近年,高周波電流を使用しない,いわゆるCold polypectomyが後出血や穿孔の偶発症の危険性がより低いポリープ摘除法であることが知られ,欧米を中心に普及しつつある.微小ポリープに対してはjumbo鉗子を用いたCold forceps polypectomyが,小ポリープには小型で剛性があるスネアを用いたCold snare polypectomyが勧められる.ただし,高周波通電によるburning effectが無い分,病変摘除直後には十分な洗浄とNBIなどの画像強調内視鏡を用いた遺残の確認が必要である.
資料
  • 三好 秀明, 島谷 昌明, 加藤 孝太, 住本 貴美, 栗島 亜希子, 楠田 武生, 深田 憲将, 池浦 司, 高岡 亮, 岡崎 和一
    2015 年 57 巻 9 号 p. 2379-2384
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    ダブルバルーン内視鏡を用いたERCP(DB-ERCP)は難易度が高く長時間の検査となることが多く患者の負担も大きい内視鏡検査の一つである.このような消化器内視鏡検査におけるCO2送気は腹部症状の緩和効果のみならず,内視鏡の挿入を容易にすることから近年多くの施設で使用されている.しかし長時間鎮静下の消化器内視鏡検査にCO2送気を用いることで体内にCO2が蓄積することが危惧されている.本稿では2009年から2012年までに当院でDB-ERCPを受けた312例の患者に対し経皮的CO2分圧モニターを用いて経皮的CO2分圧(PtcCO2)を測定し検査中のPtcCO2の上昇に影響を与える因子を評価した.その結果,検査中にPtcCO2が50mmHg以上となった高CO2群は49例(16%)であった.高CO2群では検査時間,BMI,pentazocineの投与量が有意に高かった.またCO2ナルコーシスにより検査中断を余儀なくされた症例が1例認められたが,経皮的CO2分圧モニターにより早期に発見できたため迅速な対応をすることが可能であった.DB-ERCPの検査中は高CO2血症の危険性が潜んでいる可能性あり,非侵襲的な経皮的CO2分圧測定がその早期発見に有用であると思われる.
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