日本消化器内視鏡学会雑誌
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58 巻, 1 号
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症例
  • 趙 智成, 工藤 進英, 三澤 将史, 矢川 裕介, 久行 友和, 工藤 豊樹, 若村 邦彦, 林 武雅, 宮地 英行, 山村 冬彦
    2016 年58 巻1 号 p. 4-9
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    腹部放線菌症は内視鏡診断が困難な疾患である.下部消化管内視鏡検査(CS)で初発期を疑い,抗菌薬治療で奏功した一例を経験した.30歳代男性が右下腹部違和感とCRP高値を指摘され,腹部骨盤部造影CT検査で直腸・S状結腸が浮腫状に肥厚していた.CSで直腸・S状結腸に血管透見低下,びらんを認め感染性腸炎を疑った.抗菌薬治療が奏功せず入院となり,入院後のCSでS状結腸の浮腫状肥厚による管腔狭小化を認めた.放線菌症を疑い生検粘膜の培養を再検しActinomyces israeliiを検出し,腹部放線菌症に準じた抗菌薬で治癒した.CSで非特異的な炎症所見を認めた場合,本症を鑑別に挙げることが重要である.
  • 徳丸 佳世, 伊原 栄吉, 岩佐 勉, 板場 壮一, 安藤 幸滋, 沖 英次, 瀧澤 延喜, 平橋 美奈子, 小田 義直, 中村 和彦
    2016 年58 巻1 号 p. 10-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性.下部消化管内視鏡検査にて,終末回腸に3mm程度の黄色調の粘膜下腫瘍を認め,生検にてNETと診断された.造影CT,FDG-PET及び小腸内視鏡検査では,同時多発病変や転移性病変は明らかではなく,回腸NET(cT1,N0,M0,cStageI)と診断し,回腸部分切除および3群リンパ節郭清を施行した.術後病理所見にて回腸NET G2と確定診断した.また,病変は3mm大であったが,脈管侵襲を認め,主リンパ節である回結腸根リンパ節(#203)にリンパ節転移を認めた.回腸NETの治療は,病変の大きさに関係なくリンパ節郭清を含めた腸管切除が望ましいと考えられた.
  • 長生 幸司, 井上 信之, 谷本 考史, 小山 秀和, 笹川 廣和, 湯口 清徳, 黒島 俊夫
    2016 年58 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.右下腹部痛を主訴に近医を受診し,同日,虫垂炎の疑いで当院救急外来を紹介受診された.腹部CT検査にて盲腸の脂肪腫が原因と考えられる腸重積の所見を認め,緊急大腸内視鏡検査を施行した.上行結腸に腸重積の先進部と考える粘膜下腫瘍を認め,内視鏡的に整復を行った.さらに腸重積の再発を回避する目的で,引き続き内視鏡的開窓術(endoscopic unroofing;EU)を施行した.今回,脂肪腫による腸重積の整復後に,条件が整えば一期的なEUが選択肢となりうる症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
  • 板倉 由幸, 内田 靖, 山本 悦孝, 原田 恵理奈, 花岡 拓哉, 千貫 大介, 串山 義則, 香川 幸司
    2016 年58 巻1 号 p. 20-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.主訴は発熱,下痢.血液検査で炎症反応上昇を,腹部CTで直腸壁肥厚と周囲脂肪織の炎症所見を認め,感染性腸炎として加療を開始するも改善せず.大腸内視鏡検査を施行したところ,上部直腸に限局する全周性の潰瘍を認めた.潰瘍底は小粒状の隆起によって「魚卵様」の所見を呈していた.潰瘍部位の生検組織から封入体像が認められ,免疫染色やサイトメガロウイルス(CMV)抗原血症検査からCMV腸炎と診断.Valganciclovirの投与により軽快した.治療に難渋する腸炎に対し,積極的に内視鏡検査やCMV抗原血症検査を行うことはCMV腸炎の診断に有用である.またこれまで「魚卵様」の内視鏡像を呈した本症の報告はなく,貴重な症例と考え,ここに報告する.
  • 氏原 正樹, 白井 修, 三浦 正博, 樋口 俊哉, 小鳥 達也
    2016 年58 巻1 号 p. 26-31
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    症例は40歳の男性.4年前に他院で潰瘍性大腸炎を指摘されたが無治療にて放置.1週間前から下痢と少量の粘血便を自覚し,下腹部痛も生じてきたため当院救急外来を受診.腹部造影CT検査では上行結腸に同心円状構造を認め腸重積と診断した.原因検索と整復を行う目的で大腸内視鏡検査を施行した.内視鏡下のガストログラフィン造影では蟹爪様の陰影欠損像を認め,重積部に先進する腫瘍性病変は認められず,内視鏡的に整復を行った.約2カ月後の内視鏡所見でも回腸末端部には腫瘍性病変は認められず,盲腸・上行結腸に潰瘍性大腸炎によるごく軽度の炎症所見を認めるのみであった.成人の潰瘍性大腸炎患者に腫瘍性病変を伴わない腸重積が発症した稀な症例を経験した.
経験
  • 齋藤 大祐, 林田 真理, 三浦 みき, 櫻庭 彰人, 徳永 健吾, 小山 元一, 森 秀明, 久松 理一, 大倉 康男, 高橋 信一
    2016 年58 巻1 号 p. 32-37
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】高周波電流を使用しない大腸ポリープ摘除法であるcold snare polypectomy(CSP)が欧米では広く行われ,近年は本邦でも広がりをみせている.今回CSPと内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)について比較検討を行い,CSPの安全性および有用性について検討した.【方法】2014年8月より2015年3月までの7カ月間でCSPが施行された204病変をCSP群,2014年1月より2014年7月までの7カ月間でEMRが施行された282病変をEMR群とし,両群を比較検討した.【結果】一括切除率,偶発症併発率,病理組織学的診断に関して両群に有意差はなかった.断端評価可能病変はCSP群86/204(42.2%),EMR群232/282(82.3%)でありEMR群で有意に高率であったが,平均治療時間はCSP群36秒,EMR群87秒であり,CSP群で有意に短縮が得られていた.【結論】CSPはclean colon達成に寄与する重要な治療法である可能性が示唆されたが,遺残の評価など検討すべき課題も多く,今後さらなる症例の蓄積が必要である.
注目の画像
資料
  • 神澤 輝実, 大原 弘隆, Kim Myung Hwan, 菅野 敦, 岡崎 和一, 藤田 直孝
    2016 年58 巻1 号 p. 40-49
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP)は膵臓癌と,IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は胆管癌や原発性硬化性胆管炎(PSC)との鑑別を要する.主膵管の長い狭細像,狭細部の上流主膵管の軽度拡張,スキップした狭細像,狭細部からの分枝膵管の派生などの膵管像は,膵臓癌よりAIPを示唆する.短い狭窄(band-like stricture),数珠状変化(beaded appearance),肝内胆管の減少(pruned-tree appearance)や憩室様突出(diverticulum-like outpouching)などのPSCで見られる特徴的な胆管像の変化は,IgG4-SCではほとんど見られない.一方,胆管の長い狭窄後の拡張所見はIgG4-SCに良く見られる.胆管狭窄部の経乳頭的生検は,胆管癌を否定し,IgG4免疫染色によりIgG4-SCの補助診断に有用である.主乳頭からの生検組織のIgG4免疫染色は,AIPの診断を補助する.造影超音波内視鏡(EUS)と超音波内視鏡下エラストグラフィーは,病変の組織学的本質を予測する可能性を持つ.管腔内超音波検査による胆管造影で狭窄のない胆管における胆管壁の肥厚所見は,IgG4-SCを胆管癌と鑑別するのに有用である.超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は,膵臓癌を否定するために広く使われている.AIPの組織学的診断に足りうるだけの十分な量の組織を採取するには,EUS下のTru-cut生検や19ゲージの穿刺針を用いたEUS-FNAが推奨される.しかし,22ゲージの穿刺針を用いたEUS-FNAでも,取集後の注意深い検体処理と膵臓内でのFNA針の素早い動作により十分な量の組織を採取することができる.内視鏡所見の検証と内視鏡的に採取した組織による診断能を高める新しい技術やデバイスの開発が求められる.
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