【背景および目的】プロポフォールは内視鏡検査においてベンゾジアゼピンに比較して優れた鎮静効果を有する可能性が示唆されている.今回われわれは,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)におけるプロポフォールによる鎮静の安全性と有効性に関するシステマティックレビューを行った.
【方法】PubMed,Cochrane Library,医学中央雑誌において論文検索を行い,その中から適切な無作為化比較試験を精選した.選択基準を満たした研究データから治療中断を要する体動,ESD1時間後の完全覚醒,低酸素血症および血圧低下の発生率における統合オッズ比を算出した.
【結果】無作為化比較試験3件(ESD患者298名)が採択された.従来型鎮静剤群に比較して,プロポフォール群の体動発生率とESD1時間後の完全覚醒率の統合オッズ比はそれぞれ0.41(95%信頼区間 0.21-0.81),8.59(95%信頼区間4.29-17.2)で,各研究間の異質性も認めなかった.低酸素血症と血圧低下に関しては,従来型鎮静剤群に比較してプロポフォール群の統合オッズ比は1.13(95%信頼区間0.58-2.21)および0.92(95% CI 0.25-3.41)と両群間に有意差を認めなかった.
【結論】ESDにおけるプロポフォールによる鎮静はベンゾジアゼピンに比較し,より有効で,合併症リスクは同等であった.
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