日本消化器内視鏡学会雑誌
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59 巻, 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
総説
  • 竹中 完, 北野 雅之, 工藤 正俊
    2017 年 59 巻 3 号 p. 255-264
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
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    慢性膵炎は悪性新生物の合併率が高く,非可逆性,進行性の予後不良疾患とされるが,従来の慢性膵炎診断基準は「高度の完成された慢性膵炎しか診断できない」という問題点があり,早期診断,早期治療導入による予後改善を目指し,本邦から世界に先駆けて「早期」慢性膵炎の診断基準が作成された.その特徴の一つに画像項目において,早期で慢性膵炎を診断する手段として多くの報告がなされているEUSに重きが置かれていることがあげられる.その所見の多くは新しいEUSによる慢性膵炎の分類・診断基準である,Rosemont分類から進行慢性膵炎の所見を除いたものが引用されている.

症例
注目の画像
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
  • 斎藤 彰一, 河内 洋
    2017 年 59 巻 3 号 p. 300-310
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
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    大腸腫瘍に対する術前診断として通常観察と拡大観察は必要不可欠なモダリティーである 1).拡大観察は主として,Narrow Band Imaging (NBI)観察とIndigo carmine撒布およびCrystal violet染色による色素拡大観察に二分される.

    本章では拡大観察のうち,NBI拡大観察と色素拡大観察を中心にその手技と有用性につき概説する.

  • 樫田 博史
    2017 年 59 巻 3 号 p. 311-325
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
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    有茎性病変は通常のポリペクトミーの適応である.無茎性や平坦型病変で大きいもの,小さくとも癌を疑うような病変はEMR(やESD)の適応である.コールドポリペクトミーの適応は,癌を疑わない無茎性ないし平坦型病変で,9mm以下までが妥当な線と思われる.有茎性ポリープでは,頭部寄りにスネアをかける.茎が太い場合は出血予防のために留置スネアも使用する.コールドポリペクトミーの場合,周囲粘膜を含めて切除するため,常に病変をスネアの中央付近に捉えるよう,微調整しながらスネアを閉じる.EMRの成否の大半は,局注にかかっていると言っても過言ではない.屈曲部やヒダにまたがっている病変では口側から局注を開始する.SM癌を除く大きい病変では中央部から局注を開始する方が膨隆を得られやすい.穿刺した針で病変を少し持ち上げるようにし,注入しながら針をゆっくり引き戻していく.スネアをかける際は,軽く病変を押さえ込むようにするが,筋層を巻き込まないよう注意する.患者が痛みを訴える場合や,介助者がゴムのような弾力を感じてなかなか切れない場合は,筋層を巻き込んでいる可能性が高いので中止する.

資料
  • 吉田 直久, 内藤 裕二, Kewin Tien Ho Siah, 村上 貴彬, 小木曽 聖, 廣瀬 亮平, 稲田 裕, 井上 健, 小西 ...
    2017 年 59 巻 3 号 p. 326-336
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
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    [背景および目的]大きな大腸腫瘍に対する内視鏡治療後の異時性多発病変については報告が少ない.本研究では長径20mm以上の大腸腫瘍に対する内視鏡治療後の長期経過観察における異時性多発病変の特徴を検討した.

    [対象と方法]対象は2006年11月から2013年11月までに2つの施設において大腸腫瘍に対して大腸内視鏡治療を施行した連続的な患者を解析した.すべての患者は経過観察に入る前に2回以上の全大腸内視鏡検査にてその他の病変の検索を行い,毎年経過観察の内視鏡検査を行った.切除を行ったポリープを20mm以上と未満に分け最終的に20mm以上群239例と20mm未満群330例の解析を行った.検討項目は両群におけるadvanced adenoma (AA:10mm以上の腺腫および絨毛性病変)および癌の累積発生頻度とその臨床病理学的特徴とした.

    [結果]AAおよび癌の累積発生頻度に関して,20mm以上群は20mm未満群に比して有意に高値であり(3年累積発生率22.9% vs 9.5%, P<0.001),また5-9mmの腺腫の発生率も有意に高値であった(45.2% vs 28.8%, P<0.001).異時性病変の特徴については,部位に関して右側大腸の率が両群間に有意差を認めた(78.8% vs 50.0%, P=0.015).

    [結語]長径20mm以上の大腸腫瘍切除後の異時性多発病変は高頻度であった.

ガイドライン
  • 糸井 隆夫, 良沢 昭銘, 潟沼 朗生, 岡部 義信, 洞口 淳, 加藤 博也, 土屋 貴愛, 藤田 直孝, 安田 健治朗, 五十嵐 良典, ...
    2017 年 59 巻 3 号 p. 337-365
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
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    日本消化器内視鏡学会は,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として,「EPLBD診療ガイドライン」を作成した.EPLBDは近年普及している総胆管結石に対する治療法の一つである.この分野においてはエビデンスレベルが低いものが多く,専門家のコンセンサスに基づき推奨の強さを決定しなければならないものが多かった.本診療ガイドラインは「EST診療ガイドライン」に準じて,定義と適応,手技,特殊な症例への対処,偶発症,治療成績,術後経過観察の6つの項目に分け,現時点での指針とした.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 牟田口 真, 岩男 泰
    2017 年 59 巻 3 号 p. 375
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/22
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    【背景・目的】潰瘍性大腸炎(UC)関連大腸癌のサーベイランス法としてランダム生検が推奨されてきたが,狙撃生検がより効果的である可能性がある.狙撃生検とランダム生検による腫瘍性病変発見率比較のためRCTを実施する.【方法】2008年10月1日から2010年12月31日までに日本の52施設において,7年以上の罹病期間のUC患者246名を登録した.患者はランダム生検群(大腸を10cm毎に4カ所ずつ生検を行い,腫瘍性病変が疑われる部位には狙撃生検を加える群,n=122)と狙撃生検群(腫瘍性病変が疑われる部位から生検を行い,直腸からは炎症がなくてもランダムに生検を行う群,n=124)に振りわけた.主要評価項目は1回のサーベイランス大腸鏡で発見した腫瘍性病変数である.両群間で平均腫瘍性病変数の割合や差を評価した.探索的研究として両群間の非劣性も評価した.0.65(0.13/0.20)を両群間における腫瘍性病変の平均数比率の非劣性マージンとした.【結果】1内視鏡あたりの平均腫瘍性病変数は,狙撃生検群で0.211(24/114),ランダム生検群で0.168(18/107)であった(両群間比率1.251 95%信頼区間0.679-2.306).下限値が0.65の非劣性マージンより上であった.患者あたりの腫瘍性病変の割合は,狙撃生検群で11.4%,ランダム生検群で9.3%であった(P=0.617).1内視鏡検査あたりの生検数は,ランダム生検群が狙撃生検群より多く(34.8個 vs 3.1個;P<0.001),そして検査時間も長かった(41.7分 vs 26.6分;P<0.001).ランダム生検群において,発見された腫瘍性病変はすべて過去や現在炎症のある粘膜から採取されていた.【結論】RCTにおいて,狙撃生検とランダム生検では腫瘍性病変の検出率は同じであった.しかし,狙撃生検はより費用対効果が高い方法と考えられた.ランダム生検において,過去や現在炎症のない部位で腫瘍性病変は認めなかった.

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